中学校の合唱指導で悩んだら——「音楽科の視点」で変わる授業づくりの実践書

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合唱コンクールの本番は多くの学校で秋。それを逆算すると、夏休みは合唱指導の準備を静かに整えられる最後の時間です。「去年の合唱の授業は、どこかかみ合っていなかった」「歌い始められるまでに時間がかかりすぎた」——そう感じている先生に、ぜひ手に取っていただきたい一冊があります。

歌いたくない生徒を歌いたくさせる 中学校音楽教師のための合唱指導』原口 直 著/明治図書出版著者:原口 直(はらぐち なお) 出版社:明治図書出版 2026年3月発売

この記事では、2026年3月に刊行された拙著『歌いたくない生徒を歌いたくさせる 中学校音楽教師のための合唱指導』(明治図書)の内容とエッセンスをご紹介します。合唱の技術論に入る前に知っておきたい「音楽科としての視点」が、この本の中心にあります。

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本書のキーワードは、2つの「オンガクカ」の違いです。
「音楽家」は、歌いたい人をより良く歌えるようにする。「音楽科」は、歌いたくない人を歌いたくさせる。 この2つの指導の種類を混同していることが、合唱授業で感じるズレの正体です。「指導が下手なのではない。求められている指導の種類が違うのだ」——その気づきが、合唱指導のスタートラインを変えます。

 

合唱授業で「壁」にぶつかるのは、あなただけではありません

音楽科教員として着任した頃、私は東京都の小規模中学校に配属されました。校内でたった一人の音楽科。右も左もわからないまま、誰にも相談できないまま、毎日の授業に向かっていました。

待ち受けていたのは、こんな場面です。

  • 「楽譜、忘れた〜」が毎時間のように繰り返される
  • おしゃべりが止まらず、歌い始められない
  • 「なんで歌わなきゃいけないの?」と真顔で聞かれる
  • 「お腹すいた〜」と授業中に言われる

パート練習やハーモニーの組み立てどころか、授業の「スタートライン」にすら立てない状況です。こうした問題は、技術や経験の問題ではなく、「求められている指導の種類を知っているかどうか」の問題なのです。

 

「音楽家」と「音楽科」——合唱指導を変えるキーワード

音楽科教員の多くは、自身が音楽に積極的に向き合ってきた「音楽家」的な経験を持っています。しかし、学校の現場で求められるのは「音楽科」としての指導力です。

「音楽家」「音楽科」
対象歌いたい人歌いたくない人
目的より良く歌えるようにする歌いたくさせる
学ぶ場所声楽・指揮の指導書・研修授業準備・生徒対応・環境づくり

重要なのは、このギャップを知っているだけで見える景色が変わる、という点です。「歌ってくれないのは自分の指導が下手だから」ではなく、「求められている指導の種類が違った」と気づくことで、次に何を学べばいいかが具体的に見えてきます。

この「音楽家 vs 音楽科」というフレームは、2020年に記事と動画で発信してから6年が経ちます。初任の先生や教育実習生から「これを知っていれば、あの頃もっと違う動き方ができた」という声をいただき続けてきた視点です。

 

本書が扱う3つのテーマ——全75項目

本書は3章・75項目の構成です。ハーモニーの作り方や発声法の詳細は書いていません。それは「音楽家」の指導書から学んでください。本書はそのスタートラインに立つ前に読む一冊です。

Chapter 1 合唱授業 その前に(16項目)

音楽室の環境づくり、年間指導計画、選曲から、「なぜ歌わなきゃいけないの?」への向き合い方、緊張・羞恥心への対応まで。合唱の授業に入る前に整えておくべきことを網羅しています。

→ 読み終えると、「合唱の授業が成立しない」という焦りの正体が見えてきます。

Chapter 2 合唱指導 基礎の基礎(40項目)

初回授業のつくり方、ピアノ・声楽・管弦打・作曲専攻それぞれの合唱指導のコツ、私語への対策、パート分け、ICT活用、感情的な指導を避けるための心構えなど、授業の実践に直結する内容です。

→ 読み終えると、「どこから手をつければいいか」がはっきりします。

Chapter 3 合唱コンクール 音楽教師の役割(19項目)

選曲、指揮者・伴奏者の育成、指導計画の立て方、人間関係トラブルへの対応、著作権の基本、多様な生徒への配慮まで。合唱コンクールを「音楽科教員の視点」で運営するための実践知を凝縮しています。

→ 読み終えると、合唱コンクールを運営するための道筋が見えてきます。

 

夏休みのうちに読んでほしい先生

  • 初任または若手で、合唱の授業や行事に不安がある
  • これから教育実習に行く予定で、合唱の授業を担当する可能性がある
  • 合唱コンクールの運営を任されているが、全体の段取りがつかみきれていない
  • 去年の合唱授業の手応えがなく、夏のうちにアプローチを見直したい
  • ICT活用・多様な生徒への配慮・著作権対応など、時代の変化に合わせて指導を見直したいベテランの先生

ピンときた項目から開いていただければ大丈夫です。全75項目、通読でも拾い読みでも使えます。

 

書誌情報

項目内容
書名歌いたくない生徒を歌いたくさせる 中学校音楽教師のための合唱指導
シリーズ中学校音楽サポートBOOKS
著者原口 直
出版社明治図書出版
発売2026年3月
判型A5判・176頁
定価2,420円(税込)
ISBN978-4-18-169119-6

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よくある質問

Q. 合唱の専門的な技術(発声・ハーモニーの作り方)は載っていますか?

A. 載っていません。本書は、発声指導や音楽的なアプローチを学ぶ「その前」——授業を成立させ、生徒を合唱に向かわせるための土台を扱っています。専門的な技術はぜひ声楽・指揮の指導書や研修で学んでください。本書はその前段階の一冊です。

Q. 初任・若手向けとのことですが、ベテランの先生にも役立ちますか?

A. はい。時代の変化(ICTの活用・多様な生徒への配慮・著作権への対応など)に合わせて合唱指導を見直したいベテランの先生にも、参考にしていただける項目が多くあります。

Q. 小学校の先生にも役立ちますか?

A. 本書は中学校音楽科の現場を前提に書いていますが、「歌いたくない児童を歌いたくさせる」という課題は小学校でも共通するものが多いです。音楽の授業に携わる先生であれば、学校段階を問わず参考にしていただける内容です。

 

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本書のテーマに関連するコンテンツをまとめています。本書と合わせてご活用ください。

※ 本ページは随時更新します。読者の声・関連コンテンツは追加予定です。
※ 書影は明治図書出版刊『歌いたくない生徒を歌いたくさせる 中学校音楽教師のための合唱指導』(原口 直 著)の表紙です。