歌のテストが不安な方へ|音楽教員が教える評価方法と位置づけ

音楽教員が解説する歌の実技テスト(評価方法・位置づけ) 授業技術(発問・評価・板書・声かけ)
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「音痴だから音楽の成績が下がる」と心配したことはないでしょうか。あるいは、「なぜ学校では歌のテストがあるのだろう」と感じたことがある方もいるかもしれません。

この記事では、学校の歌のテストがどのような目的で行われ、どのような基準で評価されるのかを解説します。カラオケの採点とは何が違うのか、「音痴」だと本当に成績に大きく影響するのかという点についても、元音楽科教員の立場からお伝えします。

学校における歌のテストとは、音楽科の評価方法の一つであり、実施が義務付けられているものではありません。教員が多様な評価方法の中から選択できる手段の一つとして位置づけられています。

音楽科の評価観点(知識・技能/思考・判断・表現/主体的に取り組む態度)に基づいて、演奏・ワークシート・グループでの発言など他の評価項目とバランスを取りながら用いられます。

 

 

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歌のテストは義務?その位置づけを確認しましょう

ポイントは、「歌のテストをしなければならない」という決まりは存在しないという点です。

2021年度から中学校で適用されている学習指導要領では、評価の観点が4つから次の3つに整理されました。

  • 知識・技能
  • 思考・判断・表現
  • 主体的に取り組む態度

教職員支援機構(NITS)の解説動画では、この評価観点に基づいた音楽科の評価方法として、以下が示されています。

  • 演奏(歌唱・器楽など)
  • 作品(創作活動の成果)
  • ノート・ワークシート
  • 発表やプレゼンテーション
  • グループでの話し合いでの発言
  • 活動時の観察
  • 自己評価・相互評価
  • ポートフォリオ

この中の「演奏」が、いわゆる歌のテストに該当します。つまり、歌のテストは選択肢の一つであり、評価方法を工夫するための手段として位置づけられているのです。

 

▶ 動画では3:27〜で教職員支援機構の解説動画の構成と評価方法の一覧について説明しています

なお、「ポートフォリオ」とは、生徒の作品・自己評価の記録・教師の指導と評価の記録などを系統的に蓄積していくものです。作文・レポート・活動の様子がわかる写真やVTRなどをファイルに入れて保存する方法として定義されています。

 

▼評価の前に学習指導要領について知りましょう

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音痴だと成績が下がる?評価基準を正しく知りましょう

「音痴だから音楽の成績が下がる」という心配は、一定の条件下でのみ当てはまります。

具体的には、歌唱テストの評価項目に「旋律やリズムの正しさ」が含まれている場合に限られます。すべての歌のテストがそのような基準を設けているわけではないのです。

音楽科教員として歌のテストを実施していた経験からお伝えすると、たとえば1年生の校歌のテストでは、「声の大きさ」「歌詞の正確さ」のみを評価項目とし、旋律やリズムの正しさは評価対象から外していました。変声期にある生徒もいますし、緊張や羞恥心を抱えている状況でそのような評価を行う必要性は低いと判断していたからです。

また、歌のテストは年間の中で頻繁に行われるわけではありません。歌唱以外の単元、あるいは歌唱の単元でもワークシートや自己評価などの評価項目が並存しています。よって、いわゆる「音痴」であることが成績に大きく関わることは少ないと言えます。

 

 

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評価のバランスをどう設計するか

評価の重みづけ(複数の評価項目にどのような比率を設けるか)は、教員の裁量によって決まります。

私が実際に気をつけていたのは、次の3点です。

  • 実技テストを重めに設定しつつ、挽回できる項目も並行して設ける
  • 学期単位ではなく、1年間を通じたバランスを考慮する
  • 評価基準を事前に生徒へ示し、見通しを持って取り組めるようにする

特に「先に生徒へ示す」という点は、生徒の不安軽減にもつながります。何が評価されるのかを知ることで、テストへの向き合い方が変わってくるのです。

▶ 動画では5:47〜で重みづけの考え方について説明しています

 

▼音楽の成績評価に関連する動画はこちらです

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評価に関する公的資料について

歌のテストを含む音楽科の評価方法・評価基準は、公表されている資料から確認できます。

  • 教科の目標・評価観点:文部科学省ウェブサイトまたは書店で入手できる「学習指導要領」
  • 評価方法の解説:教職員支援機構(NITS)の解説動画
  • 評価の根拠となる参考資料:国立教育政策研究所が公表している「『指導と評価の一体化』のための学習評価に関する参考資料」

音楽科に限らず、どの教科・校種でも同様の資料を参照することができます。評価について疑問を持ったとき、まず公的な資料を確認する習慣は、保護者への説明責任を果たすうえでも役立つでしょう。

 

 

よくある質問

Q. 歌のテストは必ずしなければならないのですか?

A. そうではありません。学習指導要領や教職員支援機構の資料では、歌のテスト(演奏)は多様な評価方法の一つとして示されています。教員の判断によって、他の方法と組み合わせながら柔軟に設定できます。

Q. 音痴だと音楽の成績が大きく下がりますか?

A. 歌のテストの評価項目に「旋律やリズムの正しさ」が含まれていない場合は、いわゆる音痴が成績に大きく影響することはありません。また、歌唱以外にも多様な評価方法が用いられるため、テスト一つで成績が左右されることは少ないと言えます。

Q. カラオケの点数と学校の歌のテストの評価は何が違うのですか?

A. カラオケはピッチ(音程)の精度など技術的な正確さを数値化するものです。一方、学校の歌のテストは「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に取り組む態度」という教育的な観点から評価されます。声量や歌詞の理解、学習への取り組み姿勢なども評価の対象となります。

Q. 評価基準を事前に生徒へ伝える必要はありますか?

A. 教育的な観点から見ると、評価基準を事前に生徒へ示すことが推奨されます。生徒が学習の見通しを持てるようになるだけでなく、テストに対する不安の軽減にもつながります。


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この記事は、動画「音痴だと成績が下がる?歌のテストの評価方法を音楽教員が解説」をもとに作成しました。

この記事を書いた人
原口直

東京学芸大学 附属学校図書館運営専門委員会 著作権アドバイザー/元・東京学芸大こども未来研究所 教育支援フェロー

東京学芸大学教育学部卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。
東京都公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校で、教育実習生の指導、進路指導、「生活と社会に関わる音楽」分野の授業実践に取り組む。
会社員時代の経験を活かし、知的財産権教育に関する研究・発表も多数行う。

2020年春より、教室の外へとフィールドを広げ、YouTube・ウェブサイト・講演活動を通して、教員や教育実習生に向けた著作権教育コンテンツを発信中。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)

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