音楽教員必見!新学習指導要領に対応した学習評価の3つのポイント

音楽教員のための学習評価のポイント 一歩先ゆく音楽教育(授業編)
一歩先ゆく音楽教育(授業編)
本サイトはアフィリエイトプログラム等による収益を得ています
PR

2021年度から中学校で完全実施された新しい学習指導要領は、教育現場に大きな変化をもたらしました。特に評価方法では、従来の4観点から3観点に変更され、音楽教員としても対応が求められています。

この記事では、音楽教員歴10年の私が、新しい評価方法に基づいて授業を進め評価を付ける際に気を付けていたポイントを3つに絞り、わかりやすく解説します。

これらのポイントを押さえることで、生徒が評価に納得し、保護者からも信頼される評価が可能になります。ぜひ、実践的なヒントとして活用してください。

 

新しい学習指導要領は小学校では2020年度から、中学校では2021年度から完全実施されました。「音楽教員のための新しい学習指導要領(3つの改訂ポイント解説)」の動画で、現場レベルではどのようなことに注意したらいいのか、要点を押さえてお話ししました。

 

 

PR

学習評価の基本:新学習指導要領で変わる評価の視点

2021年度から中学校では、新学習指導要領が完全実施され、評価方法にも大きな変化がありました。
従来の「関心・意欲・態度」などの4観点評価から、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力・人間性」の3観点評価に改定されました。

 

新学習指導要領に対応した評価方法については、NITS教職員支援機構が公式に詳しく解説しています。以下の動画もぜひご参考ください:

 

 

PR

ポイント1:評価基準を生徒に事前に共有する重要性

評価基準を事前に生徒へ伝えることは、学習評価を円滑に進めるために非常に重要です。評価内容が曖昧なままでは、生徒にとって「後出しじゃんけん」のような印象を与えかねません。生徒が安心して学習に取り組むためにも、授業の初めや単元の導入時に評価基準を明確に説明することを心掛けましょう。

例えば、「この単元では歌唱力、表現力、筆記試験の3つを評価します」といった具体的な情報を提示することで、生徒が自分の得意な分野で努力する道筋を立てやすくなります。
歌が苦手な生徒は筆記試験で挽回する、筆記試験が苦手な生徒は実技で頑張る、といった計画を生徒自ら立てられます。

 

評価基準を事前に共有するメリット
・生徒の学習目標が明確になり、モチベーションが向上する
・教員と生徒の間で評価基準に対する認識のズレを防げる
・保護者からの理解と納得も得やすくなる

 

新学習指導要領の評価観点から小学校と中学・高校での教育実習を比較」の動画において、新しい学習指導要領の評価の観点である「資質・能力の3つの柱」に従って中学・高校の特徴を紹介しました。

 

 

PR

ポイント2:評価の基準を明確にする工夫

評価基準とその区分を明確に設定することは、公平で一貫性のある評価を行うために欠かせません。評価の軸が曖昧なままだと、教員自身が迷うだけでなく、生徒や保護者にとっても不透明な評価となり、不満や混乱を招く可能性があります。

たとえば、ワークシートを評価する場合、「A評価」「B評価」「C評価」の基準を具体的に設定し、生徒にも共有しましょう。「明確な基準」を持つことが、公平な評価の鍵となります。

 

音楽授業におけるワークシートの作り方」で解説していますが、ワークシートの役割は授業の記録はもちろんですが、知覚や感受・批評などといった個々の表現を受け止める役割もあります。もちろん、大事な評価についてもワークシートがとても重要になってきます。

 

 

工夫ポイント

評価のブレを防ぐために時間をまとめて評価する

評価作業は、できるだけ時間をまとめて一気に行うと良いでしょう。間隔を空けて評価すると、基準が微妙にブレる可能性があります。例えば、ワークシートの添削をクラスごとに一度に行うことで、基準を統一した評価が可能になります。

 

まとまった時間を確保する方法については「【教員の働き方改革】残業時間を減らすための教員の1日の時間の使い方」でも解説しています。

 

保護者への説明も視野に入れる

評価は生徒だけでなく、保護者にも理解される必要があります。「どういう基準で成績がつけられたのか」が分かるように、例や具体的なフィードバックを用意しておくと良いでしょう。

 

 

PR

ポイント3:実技試験の記録を残す理由とその方法

音楽の授業では、歌唱や演奏といった実技試験が評価の重要な要素になります。これらの試験では、記録を残すことが評価を公平かつ透明に行うために非常に役立ちます。
録音や録画を活用することで、生徒や保護者からの質問に対して具体的な根拠を示すことができ、教員自身を守るための材料にもなります。

 

記録を残す理由

後から評価を見直すため

実技試験では、教員がその場で評価を下すことが一般的です。しかし、後から「本当に正しい評価だったか」を確認したり、保護者や生徒からの質問に対応したりするためには記録が欠かせません。

生徒や保護者への説明責任を果たすため

「この評価はどのようにしてつけられたのか?」といった質問に、録音や録画を見せることで説得力のある説明が可能になります。特に保護者対応では、客観的な記録が大きな助けになります。

 

実技試験の記録方法

録音・録画を活用する

実技試験中にスマートフォンや録音機器、ビデオカメラを使用して記録を残しましょう。録音や録画の際は、生徒がリラックスできるように、事前に目的を説明しておくと良いでしょう。

デジタルデータとして整理する

記録はUSBメモリやクラウドストレージに保存し、後から容易に検索・参照できる状態にしておきます。フォルダを学年やクラス別に分けて整理すると便利です。

ワークシートはスキャンを活用する

ワークシートなどは時には複合機のスキャナー機能を使ってデジタル化しておきましょう。複合機の自動送り機能を使えば、大量のスキャンも効率的に行えます。

 

注意点

個人情報の管理を徹底する

記録に生徒の個人情報が含まれる場合は、適切なセキュリティ対策を講じましょう。データの取り扱いに十分注意することが求められます。

必要な記録だけを残す

すべてを記録する必要はありません。重要な内容や後で振り返る可能性が高い部分に絞って記録することで、効率的に管理できます。

 

記録を残すことは、評価の透明性を高めるだけでなく、生徒や保護者との信頼関係を築くためにも重要です。さらに、自分自身の指導法を見直す材料にもなり、授業の質を向上させる大きな助けとなります。

 

 

まとめ:生徒に信頼される評価方法を目指して

評価は生徒の未来を左右する重要なものですが、それと同時に教員自身の指導法を振り返る貴重な機会でもあります。

日々の授業や評価において今回のポイントをぜひ参考にしてみてください。

 

生徒への通信簿だけでなく、教員自身にも通信簿があります。その教員の通信簿はどのような内容かを「【教員にも通信簿はある!】教員はどのように人事評価されるのかー評価項目と目標管理シートの内容」で紹介しています。

 

 

この記事の内容は動画と同じです。
動画「音楽教員のための新学習指導要領対応!学習評価の3つのコツを解説」も是非ご覧ください。

ネットや本の情報・専門家への問い合わせでは解決しないことありませんか?
公立・国立の学校現場を知っている経験を生かして、机上の理論と学校現場の皆さんとをつなぎます。現実的に学校での対応が可能な施策を一緒に考えましょう。

▶研修のご依頼・ご相談はこちらの問い合わせページから受け付けています。
▶その他のご相談・ご質問はこちらの問い合わせページから受け付けています。

この記事を書いた人
原口直

元東京学芸大こども未来研究所教育支援フェロー

東京学芸大学教育学部卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。
東京都内の公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校において、教育実習生の指導・進路指導・新しい学習内容「生活と社会に関わる音楽の授業実践」を重ねる。
会社員時代の経験を活かした知的財産権教育の研究・発表実績多数。

2020年春より教室からYouTube動画・ウェブサイト・講演にフィールドを移し、教員や教育実習生が学ぶためのコンテンツを発信している。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)

原口直をフォローする
PR

コメント