今回は「教育実習シリーズ」として、ピアノ専攻の学生の皆さんに向けてお話しします。
音楽を専攻する学生の中でも、ピアノ専攻の方が最も多いと思います。そんなピアノ専攻の皆さんが教育実習に臨む際、他の専攻と少し異なる点に注意が必要です。この記事では、そのポイントを3つに分けて解説します。
合唱指導における注意点
教育実習では合唱指導がよく扱われます。
ピアノ専攻の皆さんは、次のような点に注意しましょう。
歌に自信を持つ
声楽専攻の仲間と行動を共にし、彼らの歌声を聴いていると、自分の歌に自信が持てなくなることがあるかもしれません。
しかし、生徒よりは上手に歌えるはずです。自信がないと感じても、しっかり練習を積み、自分に自信を持って歌ってください。
合唱経験の少なさを補う
中学・高校時代、伴奏ばかりで合唱を歌ってこなかったという方も多いと思います。
そのため合唱指導に不安を感じるかもしれませんが、指導者としては生徒より上手であれば問題ありません。
伴奏は完璧でなくてもよい
伴奏者が完璧であればよく、指導者は完璧な演奏を求める必要はありません。
音取りの段階では伴奏が不要、あるいは邪魔になることもあります。
ハーモニー確認の際など、あえて伴奏を外した方が効果的なこともあります。
簡易伴奏やコード進行だけで演奏することも選択肢に入れましょう。その場に応じた伴奏を心がけてください。
絶対音とアンサンブルの意識
絶対音に配慮する
生徒の中で絶対音感を持っている子は非常に少ないです。ピアノは鍵盤を押せば音が出るため、普段は意識しないかもしれません。しかし、合唱や歌唱の練習時には、開始音を丁寧に、しかも何度も与えることが必要です。
アンサンブルの意識を持つ
ピアノは一人で演奏することが多いため、他人とのアンサンブルに不慣れな場合があります。授業では、クラス35人+先生とのアンサンブルという意識を持ちましょう。
開始音だけでなく、開始の拍や位置、特にアウフタクトなどのタイミングは非常に重要です。自分一人で演奏しているのではなく、みんなと一緒に音楽を作っているという気持ちを忘れずに持ってください。
楽譜中心の指導に偏らない
私たちは演奏時、楽譜から情報を得て表現に活かしています。しかし、それは当たり前ではありません。
生徒は耳や歌詞で覚える
中学校での指導経験から感じたのは、生徒の多くがリズムや旋律を耳コピーや口伝で覚えているということです。合唱の楽譜を配っても、音符ではなく手書きの歌詞だけを見て歌っており、それでも正確に歌えているのです。
彼らにとって、音符よりも歌詞の方が重要なようです。そのため「楽譜から情報を得て演奏する」という感覚が、生徒に必ずしも当てはまるわけではありません。
楽譜を前提とした指導に注意
「楽譜があるから歌える」「この部分を見て」といった指導が、生徒には伝わらないことがあります。
楽譜があることを前提にした音楽にならないよう、十分配慮しましょう。
おわりに
今回はピアノ専攻の皆さんに向けて、教育実習で特に注意すべき3つのポイントをお話ししました。
- 合唱指導では歌に自信を持ち、完璧な伴奏を求めすぎないこと。
- 絶対音感を持たない生徒を意識し、アンサンブルを重視すること。
- 楽譜依存の指導に偏らず、生徒の実態に即した柔軟な対応を心がけること。
日々のピアノ練習で培った技術と努力は、必ず授業で活かせます。自分の力を信じて、教育実習でもその力を存分に発揮してください。
この記事は動画「【教員を目指す人へ】ピアノ専攻の教育実習生が気をつけたい3つのポイント」をもとに作成しました。
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