音楽教員歴10年の原口直です。
教育実習の配当校が決まって、中学校を希望していたのに高校になってしまった人、またその逆もあると思います。
実際私も、高校の実習にしか行ったことがなかったですが、中学校で教員をして中学校が大好きになりました。中学校と高校では求められることが全然違います。この違いについて3つ話します。
音楽が必修科目の中学校・音楽が選択科目の高校
中学では音楽は必修科目
中学校は必修です。
音楽が嫌いな子も、音楽が苦手な子も、歌いたくない子も一緒に授業をします。ですので、歌わない子をいかに歌わせるか、関心のない子にいかに興味を持たせるかが大事になってきます。
それから、個人差があるのも中学校の特徴です。知識や技能の個人差…例えば習いごとや部活動をしていると音楽に対する知識や技能が違ってきます。
出身の小学校が違うと、知識や技能がまるで違うこともあります。こういったことをうまくコントロールできるか、配慮できるかが、中学校の音楽です。
高校では音楽は選択科目
高校は選択です。
ほとんどの高校が芸術選択で音楽・美術・書道や工芸の中から、音楽を選択してきてくれた子が授業に集まります。ですので、音楽が好きという子が多いです。知識や技能、関心はもともと高い子が多いですので、高いものをいかに引っ張り上げられるかが重要です。
音楽が必修科目or選択科目、これが中学・高校の大きな違いです。
声変わりの有無
中学校では声の差は千差万別
中学校は1年生と3年生では特に男子は子どもと大人ぐらい、声の差があります。
中学3年生になると低い声が出て、混声4部合唱のきれいな歌を歌えます。逆に1年生では男子の中にもまだソプラノやアルトを歌える子もいて、変声期前の声もまたすてきです。
それから同じ年齢の中にも差がとてもあります。
同じ1年生と言っても、声が高い子もいれば成熟した声を持った子もいます。声変わりもじわじわ変わる子とガクンと変わる子がいます。夏休み明けに別人のようになっている子もいれば、1年間かけて声が低くなっていく子もいますので、色々な子がクラスに混在していると考えてください。
それを配慮した選曲…混声3部か4部か、パート分けをどうするか。指導の際の心理的な配慮…声変わりが済んでいる子・済んでいない子が混ざっていますので、それぞれの気持ちを考えた声かけが大事です。
評価についても声変わりだからうまく歌えないということをどう評価するか、を配慮するのも大事です。
高校では多くの生徒が声変わりを済ませている
高校生はほとんどが声変わりを済ませていますので、持っている声をより豊かに美しく出すにはどうすればいいかを考える段階にあります。この声変わりは中学・高校の大きな違いと言えます。
授業規律の徹底具合
授業規律については別で動画「中学校音楽における授業規律の指導方法」を作っています。
中学校の場合は生活指導の面もあります。なので、時間に厳しく、服装もピシッとする、持ちものをきちんと持ってくる、歌う時の姿勢をきちんとする、といった音楽以外の要素…生活指導の要素が強く出ます。
高校は学校によりますが、その点は少しゆるくなると思います。「どう学ぶか?」よりも学習の中身にスポットが当たります。
こういった中学・高校の違い、ひいては授業の雰囲気の違いを踏まえて準備することをおすすめします。
まとめ:【中等教育課程の教育実習生の皆さんへ】中学校音楽教員と高校音楽教員の3つの大きな違い
冒頭で話したように、私は教育実習が2回とも高校だったので高校の先生になりたいと思っていました。中学に配属された時はちょっと残念な気持ちがありましたが、一度中学を経験するともう絶対に中学しかやりたくないと思ってしまうほど中学生が魅力的になります。
規律や声変わりなど大変な点もありますが、逆に言うと声変わりの瞬間に立ち会えるのはとても光栄なことだと感じています。これらの点を楽しんで、中学高校の校種の違いを踏まえて準備をしてください。
ブログ記事の内容は動画と同じです。
動画「【中等教育課程の教育実習生の皆さんへ】中学校音楽教員と高校音楽教員の3つの大きな違い」も是非ご覧ください。
コメント