「なぜ音楽を勉強するの?」生徒からの困った質問への答え方

「なぜ音楽を勉強するの?」生徒からの困った質問への答え方 一歩先ゆく音楽教育(授業編)
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音楽教員歴10年の原口直です。

中学校に10年いましたので、いろいろな質問を受けました。純粋に音楽のことを知りたい、授業でわからないことがあるという質問もありますが、時に困らせてやろうと質問してくることもあります。

この動画では困った質問3つを取り上げたいと思います。

答えられるようになるというのはもちろん、自分のアイデンティティーの確立にもつながりますのでぜひご覧ください。

そしてこの困った質問に対応すべく、「音楽教科における教材研究の方法」や「音楽教員のための新しい学習指導要領の3つの要点」の動画もあります。是非参考にしてください。

 

 

 

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教員自身が知らないことや事前に調べてないことを質問されたとき

この「作曲家はこうなんですか?」とか「この楽器はこうこうこう何ですか?」とか。そういった教材研究で調べていなかったこと、そして自分が知らないことについて質問されることもあります。

そのときには素直に「今は分からない」と言いましょう。そして「良い質問だね」とか「私も知らなかった、気づかなかった」というふうに評価してあげられることがいいと思います。そして、必ず次までに調べて答えを伝えてあげる。もしくはわからなければ「調べてもわからなかった」と素直にいうことが大切だと思います

変に嘘をついたりごまかしたりしないで、自分も一緒に学んでいるんだ、わからないことを学んでいくんだということがとても大事だと思います。

 

【教育実習生必見】指導教員が教える音楽の教材研究のやり方のコツ」で、教材研究のポイントを紹介しました。

 

 

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音程がとれない!楽器が弾けない!●●ができない!

例えば歌唱において音程がとれないとか、器楽において楽器が弾けないとか。そういうこともあると思います。もちろんできるようになるために指導方法などを伝える事はありますが、それ以外に一言添えてあげるといいと思います。

それは「音楽はすぐにできることではない。すぐに結果が出ることではない。」というのを伝えてあげるといいと思います。国語の漢字や英語の英単語のように何度も何度も繰り返す。音楽もそうなんだということを伝えてあげると良いです。

事例として、
「私がピアノ何歳から毎日何時間練習してようやく今弾けるようになったんだ」
「音楽というのは繰り返しが大事だし日々の努力が必要なんだよ」
ということを言ってあげるといいと思います。

子どもはどうしても「自分は苦手だから」とか「不器用だから」とか「才能がないから」とかすぐに結果を求めがちですが、音楽というのはそんな簡単に結果が出るものではないというのを自分の実体験をもとに話してあげると、生徒も少し気が楽になるのではないかなと思います。

具体的な指導方法とともにそんな声かけもしてあげてください。

 

音程が取れない子どもの指導方法については、YouTube動画視聴者の方からの質問がありましたのでお話しています。

 

 

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「音楽は何で勉強しなきゃいけないんですか?」

これは少し困らせてやろうという質問かもしれません。もしくは純粋にそう思っているのかもしれません。

確かに中学生からしたら音楽は受験科目ではありません。評定で東京都の場合は2倍で換算されるのでその点においてはとても大事な教科ですが、実際に受験科目に入っているわけではありません。

皆さんはこの質問どう答えますか。

 

音楽という教科がなぜ必要か?については「音楽という教科の必要性を知る【音楽の授業いる?いらない?】」の動画のなかで改めて考えてみました。

 

まずは自分の哲学をきちんと話しましょう。なぜ音楽を勉強するのかについてそれぞれ答えを持っていると思います。これを生徒と向き合ってきちんと話してあげるのがいいと思います。自分は音楽でどんなことを身に付けられた、どんな風に救われた、音楽をしたことでどんな人生だという哲学をきちんと話してあげます。

私の場合は学習指導要領の「生活や社会と関わる音楽」というのをヒントに、生徒に対してこのような思いで音楽をやってきました。音楽で著作権や税金、CSR(企業の社会的貢献のことです)、それから政治と音楽について考えたりするということをしていました。音楽を通して生活や社会について考えたり学んだりしていたんだというふうに伝えていました。生徒全員が音楽高校や音楽大学に進み、音楽家になるわけではありません。

 

著作権・税金・CSRを音楽の授業でどのように指導するのか、以下の動画がヒントになると思います。
■音楽を通じて著作権を考える授業例→音楽科で教える知的財産権の内容とは?
■音楽を通じて税金を考える授業例→「文楽」をテーマに取り上げた授業を実施しました
■音楽を通じてCSRを考える授業例→音楽のオンライン授業実践編《教材:交響曲第5番ハ短調(運命)》

 

 

全員が必修科目としての音楽をする意味。それは私は、音楽を通じて「生活や社会を見る・考えることだ」と思っています。ですので、生徒になんで音楽を勉強しなきゃいけないのと言われても、堂々と胸を張って答えられました。

実際に音楽を学ぶ意味を中学校3年生の授業で行った時に、生徒たちはいろいろな感想を書いてくれました。音楽でなければ学べなかったこと、音楽そのものよりも音楽の向こう側、音楽の周りにあるものをよく学び取ってくれたと思います。音楽をする意味…先生方一人ひとりが持つ哲学。とても大事なことです。ぜひ考えてみてください

 

 

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まとめ:「なぜ音楽を勉強するの?」生徒からの困った質問への答え方

困った質問が来た時、これは自問自答できるきっかけと思ってください。出た質問は次年度への教材研究や授業改善の最大のヒントとなります。

困った質問を出してくる子どもに「なんだ?」と思わずに、自分が成長するための糧だと思ってぜひ前向きに考えてみてください。

 

ブログ記事の内容は動画と同じです。
動画「「なぜ音楽を勉強するの?」生徒からの困った質問への答え方」も是非ご覧ください。

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この記事を書いた人
原口直

元東京学芸大こども未来研究所教育支援フェロー

東京学芸大学教育学部卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。
東京都内の公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校において、教育実習生の指導・進路指導・新しい学習内容「生活と社会に関わる音楽の授業実践」を重ねる。
会社員時代の経験を活かした知的財産権教育の研究・発表実績多数。

2020年春より教室からYouTube動画・ウェブサイト・講演にフィールドを移し、教員や教育実習生が学ぶためのコンテンツを発信している。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)

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