今回は教育実習シリーズとして、教材研究についてお話しします。
教材はあくまでも授業の道具
教材というのは授業の道具にすぎません。例えばベートーヴェンの「運命」を例にとると、「運命を教える」のではなく、「運命で教える」という考え方が重要です。
「運命」を通して教えられることはたくさんあります。その中から何を教えるのかという軸をしっかりと持っておきましょう。
これまで私が担当した実習生に「勧進帳」を教材に授業を作るようお願いしたことがあります。3人の実習生それぞれに依頼したところ、3人3様で全く違う授業が出来上がりました。同じ教材でも教えたいことが違うため、教材の使い方もまったく異なってくるのです。
【教育実習シリーズ番外編】教育実習アフターインタビュー(その1)
【教育実習シリーズ番外編】教育実習アフターインタビュー(その2)
【教育実習シリーズ番外編】教育実習アフターインタビュー(その3)
教材選びの考え方
皆さんも教材を「何かにする」のではなく、何を教えたいからこの教材を使うのかという視点を持ってください。「運命」を使う、「勧進帳」を使う、というふうに考えるのが大切です。
教育実習では教材や題材が与えられる授業もありますが、自由に授業をしてよいという場合もあります。その際には、教材ありきにならないようにしましょう。教材はあくまでも道具です。何を伝えたいか、何を教えたいかを重視してください。
好きなものから選ぶのもOK
教材を選ぶ際には、自分の好きな曲や作曲家、好きな時代やジャンルから選ぶのが良いでしょう。その方が語れる内容が多くなります。ただし、選んだ教材が学習指導要領のどの部分に該当するのかを自分の中できちんと把握しておくことが重要です。
好きなものを教材にすると、どうしても自分の嗜好や言いたいことだけを話して終わってしまうことがあります。そうではなく、**好きな曲を通して「これを伝えたいんだ」**という明確な目的を持ちましょう。そしてその「これ」が学習指導要領のどこに当たるのかを確認しておきましょう。
教材研究の進め方
今回は教材研究についてお話ししました。教材研究は100やっても授業で活かせるのは2か3程度と考えて大丈夫です。それくらいたくさん教材研究を行い、何が授業に適しているか、何が中学生に向いているか、中学1年生に向いているか、中学3年生に向いているかなどを考えることが大切です。
教材研究を100行って3しか使わなかったとしても、残りの97は無駄ではありません。97があるからこそ、その3が選べたのです。教材研究は広く浅く、そして時には深く、ぜひ進めてみてください。
まとめ
教材は授業の道具であり、「何を教えたいか」が最も大切な視点です。自分の好きな教材を選ぶ際も、学習指導要領との関連性を意識して選びましょう。
教材研究は広く深く行い、多くの選択肢の中から最適な内容を授業に取り入れることが大切です。今回の内容を参考に、ぜひ教育実習での教材研究に取り組んでみてください。
この記事の内容は動画「【教育実習生必見】音楽の教材研究はこう進めよう!授業に活かす考え方とコツ」をもとに作成しました。
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