教育実習で「授業をどう作ればいいか分からない」と悩んでいませんか?
この記事では、授業づくりの出発点となる教材研究の考え方について解説します。「何の教材を使うか」ではなく「何を教えたいか」を先に決めることが、実習の授業を大きく変えるポイントです。教材研究の量と質のバランスについても、具体的にお伝えします。
教材は「道具」である
重要なのは、教材はあくまでも道具だということです。
「ベートーヴェンの運命を教える」のではなく、「運命で教える」という考え方があります。運命という作品を通して何を生徒に伝えるかを先に決め、その目的のために運命を使う、という順序です。
「運命で教えられることはたくさんあります。その中で何を教えるのかということを、自分の中でしっかりと軸を作っておくことが大切です」と私は動画の中で話しています。教材が先にあるのではなく、「教えたいこと」が先にある。この順序を意識するだけで、授業の組み立て方が変わってきます。
【教育実習シリーズ番外編】教育実習アフターインタビュー(その1)
【教育実習シリーズ番外編】教育実習アフターインタビュー(その2)
【教育実習シリーズ番外編】教育実習アフターインタビュー(その3)
同じ教材でも、授業はまったく違うものになる
ポイントは、教材が同じでも「教えたいこと」が違えば授業はまったく別物になるということです。
これを実感したエピソードがあります。3人の実習生に「勧進帳を教材に授業を作ってほしい」とお願いしたことがあるのですが、できあがった授業は三者三様で、まったく違う内容になりました。
教材は同じでも、それぞれが「何を教えたいか」を持っていたからこそ、異なる授業が生まれたのです。大切なのは、「この教材を使おう」ではなく、「これを教えたいから、この教材を使う」という順序で考えることです。
自由に教材を選ぶときこそ「何を教えるか」を先に決める
教育実習では、教材や題材を指定される授業だけでなく、「自由にやっていい」という授業もあります。そのとき、教材ありきで考え始めてしまいがちです。
しかし、自由だからこそ「何を伝えたいか、何を教えたいか」を最初に問いかけてみましょう。
では、何を基準に教材を選べばよいのでしょうか。答えは「自分の好きな曲・作曲家・時代・ジャンルから選ぶ」ことです。自分が語れるものを選んだほうが、授業に力が出ます。
ただし、一点だけ必ず押さえておくことがあります。それは、その教材が学習指導要領のどの部分に対応するかを、自分できちんと確認しておくことです。
好きなものを扱うと、つい自分の好みや言いたいことを伝えるだけで終わってしまいがちです。「自分の好きな曲を通して、これを伝えたい」という『これ』の部分が、学習指導要領のどこにあたるのかを確認しておくことが大切です。
教材研究の進め方
今回は教材研究についてお話ししました。教材研究は100やっても授業で活かせるのは2か3程度と考えて大丈夫です。それくらいたくさん教材研究を行い、何が授業に適しているか、何が中学生に向いているか、中学1年生に向いているか、中学3年生に向いているかなどを考えることが大切です。
教材研究を100行って3しか使わなかったとしても、残りの97は無駄ではありません。97があるからこそ、その3が選べたのです。教材研究は広く浅く、そして時には深く、ぜひ進めてみてください。
教材研究は「100やって3」でいい
教材研究は、100やっても授業で活かせるのは2〜3だと考えておいてよいです。
これは少なすぎるということではありません。それくらいの量の教材研究をして、「何が授業に良さそうか」「中学1年生に向きそうか」「中学3年生に向きそうか」を考えることに意味があります。
重要なのは、使わなかった97が無駄ではないということです。97があるからこそ、3が選び出せるのです。広く浅く、そして時には深く、教材研究を積み重ねていきましょう。
よくある質問
Q:好きな教材を選んでも、授業として成立しますか? A:好きな教材は「語れる」強みがあります。ただし、授業として成立させるためには、その教材が学習指導要領のどの部分に対応するかを事前に確認しておくことが大切です。「好き」と「指導のねらい」を両立させることで、説得力のある授業になります。
Q:教材研究にはどれくらい時間をかければよいですか? A:「100やって3しか使わない」という感覚で、広く浅く取り組むのが基本です。量を確保することで選択肢が広がり、「この授業にはこれが最適」という判断ができるようになります。特定の授業に向けて深く掘り下げる時間も大切ですが、まずは広く研究を積み重ねることを意識してみましょう。
Q:「教材で教える」と「教材を教える」の違いは何ですか? A:「教材を教える」は、その作品の知識や情報を伝えることを目的にしています。一方、「教材で教える」は、その作品を通して音楽の見方・感じ方・考え方を生徒に身につけさせることを目的にしています。授業のねらいを設定する際に、この違いを意識しておくと見出しの方向性が定まりやすくなります。
この記事の内容は動画「教材に振り回されていませんか?教育実習生のための教材研究の考え方」をもとに作成しました。











コメント