【教育実習シリーズ番外編】教育実習アフターインタビュー(その2)

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中学校音楽の教育実習ガイドを公開中!

【中学校音楽の教育実習生・実習生を受け入れる指導教員の先生へ】
指導教員経験を踏まえて、実習前から実習後までの中学校音楽の教育実習のポイントを網羅的に紹介。

【科目問わず全ての教育実習生へ】
STEP2「教育実習中の心得」・STEP6「教育実習が終わったら」では、指導教員へのお礼状や実習校でのマナーなど実践的知識を紹介。

中学校音楽の教育実習ガイド(実習前から実習後までのポイントを解説)

私が教育実習を担当した3名の方に、

教育実習前後の心境の変化
教育実習前の準備内容
実習期間中の苦労とやりがい

などについてのアンケートに回答いただきました。

これから教育実習を迎える学生の皆さんの参考になるかもしれません。3回の記事に分けてお届けしますので、ぜひご覧ください。

 

 

 

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簡単な自己紹介と現在の様子(研究・進学・就職など)

専攻、研究内容、基礎実習以後の実習や授業
将来に向けての動き

B類音楽専攻 音楽学ゼミ

研究内容:音楽社会学(社会階層による趣味の差異を音楽を軸に捉える、演劇や 2.5 次元ミュージカルと音楽の
関わりなど)

基礎実習以後:応用実習は選択しませんでした。以後の授業は音楽学の授業を中心に、自分の興味がある美術科
や社会科の授業を中心に受講しています。教職に関する科目は受講していません。

将来に向けての動き:院に行くための勉強及び就職活動(希望業種は音楽とは関係ありません)

 

 

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教育実習前の前ー去年の今頃(ガイダンス前)の心境

実感がわいた/わかない・やばい/余裕・楽しみ/不安

特に先輩から話を聞くということもなく、漠然とした「面倒だな」「不安だな」という気持ちが大きかった
自分自身の研究や部活動に打ち込んでいたため、あまり考えが及んでいなかった 。

同じゼミの仲間と「さすがに準備しなきゃだけど何すればいいのかわからない」という話をよくしていた 。

 

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教育実習前ー7月・8月(ガイダンス後)の準備や心境

いつからエンジンがかかったか。
どれくらい教材研究や実技練習をしたか。
大学2年生までと同じこと・ちがったこと。
世中班で集まったり、情報交換したりしたか。

エンジンがかかったのは、実際に世田谷中に行ってから。具体的な授業の割り振りや内容が少しわかり、何も
わからないことからの不安から「本当に教壇に立てるのか」という不安に変わった。

・最初勧進帳をやらなければならないことが決まったので、「音楽学専攻としては知識で他の人に後れを取れな
い」というプレッシャーからも相当数の教材研究を行った。

去年の先輩の授業のビデオをみたり、指導案を書く練習を始めた途端、自分が全く指導案をかけないことに気
づき焦る(7月頃)。一番時間を使ったことは指導案を書くこと。

 

 

・教材研究は、勧進帳はほぼ一からの状態だったため述べ 3 週間ほどかけてゆっくり行った。学校の図書館だけでなく市の図書館や池袋の図書館にも出向いた。

・合唱曲に関する教材研究は伴奏練習や歌の練習がほとんどとなった。曲に関する調べ物はインターネットを調
べた程度で、合唱の指導法等に関する教材研究は特に行っていない。(3 年の伴奏が難しかったため 8 割その練
習でした)

・自由に作れる授業に関しては、自分が 2 年半研究してきたことを応用したいと考えていたことや、そこまで時
間が及ばなかった(実は 7 月中旬から演劇部の引退公演が動き出していた)ことから後回しにしていた。

・世田谷中で直接集まった回数は 1 回くらい?(他の人の方が覚えているかもしれません…)

・誰かと模擬授業は特別行ったりはしませんでした。一人でしゃべってみたものを録画したくらい

大学 2 年生の頃と変わったことは、自分自身実技科目が一切なくなったことが大きすぎたため、実習に際して
何か特別変わったという印象はない。しいて言えば合唱の伴奏練習が息抜きになって楽しかった。

 

 

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教育実習中の心境

印象に残っていること(授業/学級/原口の指導??)
挫折、喜び、達成感、今だから言える懺悔など

印象に残っていること

学級

想像していた以上に 1 つの社会として学級が成り立っていた

・「キーパーソン」をみつけるということ。

・生徒の思考力の高さ。私自身が最後に設定した問題提起も考えるだけの思考力があり、自分の予想もしない回
答も次々と出てきた。そのような回答に対する対応力も学んだ。

 

授業・原口先生の指導

・伝えなければならない要点をとにかく絞らなければならないこと。1 時間はとても短いので何か一つに狭く目
標を設定することの大切さ(目標を逆算していく感覚)。

・音楽科の存在について。「音楽を教える」こと自体の意義に関して疑問を持っていたが、教員自身が疑問を持
ち、そして音楽科の存在について考え続けていくことの大切さ。

「音楽家」と「音楽科」。両方とも「オンガクカ」と発音する単語ですが、1文字違いが大違いという話をします。音楽家に必要な技術と音楽科に必要な技術はどう違うかという話をしています。

 

・自分と生徒、生徒と社会の「接点」としての音楽という視点。

・民族音楽を扱うことの大変さ(リスペクトの大切さや、自分自身が「好き」であることの重要性)

生徒たちにとっては音楽の授業は高校受験に必要な内申を取る場所でもあるという感覚。評価を適切にするこ
との重要性を知った。(説明できることの重要性)

 

 

・活動する際のルール作りの大切さ。生徒が余計な混乱をしないように、そして平等に評価する土壌づくりのた
めにも共通認識のルールは大切だと学んだ。
→特に、音楽を形づくる要素に関する共通認識。入学時の知識の差に関わらずすべての生徒が音楽に対して抱い
た感情を同じ認識の言葉によって言語化することができる環境の重要性。

・自分自身の知識も疑うということ(拍という言葉の概念を議論したのは良い経験でした)

・スモールステップを踏むこと

著作権指導という視点

 

知的財産権を教えるようにという項目は、以前の学習指導要領に比べて新しい学習指導要領では3倍くらいの量に増えています。

 

・ジェンダー教育と音楽教育を絡めた実践という視点

指導者によって大切にしたいことの軸がこんなにも違うものだと知れたこと

・他の人の授業を見る際になにを観ればいいかがわかるようになった。

常に自分の情報をアップデートし続けることの重要性。

 

挫折や喜び、達成感、今だから言える懺悔

・1 回目の勧進帳は、上記のように目標を絞り切れていなかったこと、勧進帳のことを自分自身が「好き」にな
ることができなかったこと、初めての指導で緊張していたことなど様々重なり、とにかくうまくいかなかった。

・その分、その授業から一週間たったころには、初回の授業がありえない!と思うくらいには成長できたことが一番の喜びだった。自らの固定観念が砕かれていくこと、視点が増えていくことがなによりも楽しかった。

・特に合唱指導では、「先生が私のクラスで良かった」と言ってくれた時に達成感とともに夫頑張ろうとい
う気持ちになれた。

・今だから言える懺悔は、実習初週の 3 日間は本当に行くのが嫌だったこと。

 

 

教育実習後の心境

考え方が同じこと、変わったこと(大学の授業/ピアノや歌、楽器/将来)

・大学での模擬授業は、一度も実際に生徒の前で授業をしたことがない状態でやっても何の意味もないと感じた。
生徒がどうこたえるのか、どれだけの理解度なのかをリアリティをもってなるべく多くの想定をすることは、一
度やってみないと限りなく不可能だと思う。

・自分の好きなことしか授業できないと感じた。中途半端な気持ちで扱うことはその音楽に対しても失礼だし、
いい授業は作れるはずもないと思った。だから先生は「知ること」をやめないこと、好奇心を持ち続けることが
大切なのだと考えるようになった。

 

 

・上に通じるが、自分の得意なことは絶対に教育実習には生きると感じた。専攻が違うと何かが不利になると思
っていたが、逆に有利だと感じる機会が多かった。

他人の意見を受け入れることの重要性を知った。以前までは変にプライドが高く、自分の不足を認めること、
他人のよさを認めることが一番苦手だった。しかし、この実習で意見を交わし合うことによりよりよい授業に繋
がった経験をし、改善していきたいと感じるようになった。

・自分は教師になる予定はなく教育実習を行ったが、教育実習を終えた後は、「逆に」教師になる選択肢はないと
感じるようになった。自分が 1 年半後に本当の教師として教壇に立つ資格はない、そのための知識も覚悟もない
と思ったからだ。

・知識に寄っても、経験によってもいけないと知ることができた。知識で経験は補完できないし、経験で知識は
補完できない。

 

 

現在と実習を迎える学生に伝えたいこと

今だから思える、実習前・中に欲しかった情報、これから実習を迎える学生に言いたいこと

・実習前から、「好きになること」という視点をもって勧進帳に臨んでいたらもう少し変わっていたかもしれな
い。

・偏見だけど音楽科はプライドが高い人が多い傾向にあると思うので、他人の意見を素直に受け入れる精神、固
定観念が自分のなかにあるという認識を持つと自分の一番の成長の機会になると思う。

 

 

・実習で知れることは実際の業務の一部にしか過ぎないが、それでも評価に関する感覚をもてるいい機会だと感
じた。実際は評定をつけることはなくても、指導案の段階から評価に関して具体的な想定をすればよかった。

 

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この記事を書いた人
原口直

元東京学芸大こども未来研究所教育支援フェロー

東京学芸大学教育学部卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。
東京都内の公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校において、教育実習生の指導・進路指導・新しい学習内容「生活と社会に関わる音楽の授業実践」を重ねる。
会社員時代の経験を活かした知的財産権教育の研究・発表実績多数。

2020年春より教室からYouTube動画・ウェブサイト・講演にフィールドを移し、教員や教育実習生が学ぶためのコンテンツを発信している。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)

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