今回は、年度の初めに立てる年間指導計画の立て方についてお話しします。
学校に音楽科教員が一人しかいない場合、3学年分を一人で立てることになります。どんな点に気をつけたらいいのか、しっかりツボを押さえて年間指導計画を作りましょう。
行事を考慮した年間指導計画の立て方
年間指導計画を立てる上で、まず一つ目に気をつけるべきは行事です。
入学式や卒業式など、時期が決まっていてその際に演奏する曲がある場合は、授業で取り上げる時間が必要です。そのため、
- 何月ごろから始めるのか
- 何曲取り組むのか
- 何年生が何を歌うのか
こういったことを把握し、初めに年間指導計画に組み込んでおく必要があります。
式典では国歌や校歌、市区町村の歌がある場合もあります。学年の歌を披露する学校もあり、年度ごとに全校で歌ったり学年ごとに歌ったりするものが、歌い継がれている場合や毎年変わる場合もあります。選曲や伴奏者の練習なども含めて、前々から計画しておく必要があります。
もう一つ行事で大きいのは、文化祭や合唱コンクールです。
合唱コンクールはいつ実施されるのか、たとえば自由曲と課題曲で各クラス2曲歌う場合、課題曲が歌い継がれているものなのか、それともまっさらな状態から取り組むのかも重要です。また、
- 選曲はいつから行うのか
- 伴奏者の練習期間はどうするのか
こうした点も加味して年間指導計画に反映していく必要があります。行事の音楽を当てはめるだけでも、かなりの時間の指導が固まってくるでしょう。
教材・教具の準備を踏まえた計画作成
年間指導計画を立てる際、二つ目に大切なことは教材や教具についてです。
たとえば和楽器を借りる場合は、その個数や期間が決まっています。そのため、自然に何月に何をやるかが固まってきます。
和楽器を借りて演奏する前に鑑賞を入れたい場合は、必然的に実技の前に鑑賞が組み込まれる形になります。また、リコーダーや合唱曲集など、副教材や教具が必要な場合は、それが何月に揃うのかも重要な要素です。4月にリコーダーを始めたいと思っても、発注が間に合わなければ実施できません。きちんと計画を練り、教材・教具がいつ手に入るのかも計算に入れましょう。
さらに、ゲストティーチャーやアウトリーチを活用する場合も注意が必要です。相手のスケジュールによってこちらの授業が決まりますので、年間指導計画を立てる際に、
- 何月ごろゲストティーチャーが来るのか
- 鑑賞の場合、何月頃にどんな内容を鑑賞するのか
これに伴って、事前の指導や事後の指導も自然に組み込まれてくるでしょう。こうした点も加味して年間指導計画を作成しましょう。
領域のバランスを意識する
年間指導計画を立てる際、三つ目に重要なのは領域のバランスです。
歌唱・器楽・創作・鑑賞が年間を通してバランスよく配置されているかが大切です。また、季節感を意識するのも良いでしょう。
春ならば鑑賞でビバルディの「春」を聴く、歌唱で「花」を歌う、といったように、各季節に合った教材が活用できると理想的です。もちろんうまくいかない場合もあります。例えば秋に「赤とんぼ」を歌いたくても、授業の時数や進度の関係でうまくはまらない場合もあります。
そうした場合は仕方がありませんが、自分が「ここで絶対にやりたい」と思う内容を優先的に配置し、他を調整してみてください。
まとめ:音楽科の年間指導計画の立て方
今回は年間指導計画の立て方についてお話ししました。
指導計画を立てたら、一度俯瞰してバランスが取れているか、偏りはないか、そして大前提として学習指導要領に書かれていることをきちんと網羅しているかを確認してみてください。
年度初めはバタバタと始まりがちですが、ゴールデンウィークなどのタイミングで一度年間指導計画をじっくり見直し、長期的な計画を立ててみてください。
この記事の内容は動画「【音楽教員必見】年間指導計画の立て方|行事・教材・授業バランスのポイント」をもとに作成しました。
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