校歌指導の極意:作者・目標・音楽性で「心に届く歌」を育てる

音楽教員のための校歌指導の3つのポイント 音楽の授業力アップ
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今回は「校歌の指導」についてお話しします。

校歌は学校の象徴であり、年度当初には必ず指導が必要となる楽曲です。しかし、その指導が事務的になってはいないでしょうか。

式典や行事のためだけでなく、音楽的にも校歌をしっかり捉えて指導するにはどうすればよいかを、3つの視点から考えてみましょう。

 

 

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作者や制作背景を明らかにする

校歌の指導でまず大切にしたいのは、「作った人を明らかにして大切にする」ことです。これは、私が重視している7つの項目のうちのひとつでもあります。

7つの項目については別の動画「【音楽の授業 実践例】新しい曲に取り組む授業で指導した「7つの項目」(こだわりの常時活動)」で解説していますので、そちらをご覧ください。
【音楽の授業 実践例】新しい曲に取り組む授業で指導した「7つの項目」(こだわりの常時活動)
音楽教員歴10年の原口直です。今日は新しい曲に取り組む前に必ず指導に取り入れていた7つの項目について話します。新しい曲に取り組む前に必ずおこなっていた常時活動のようなものです。著作者を明らかにするということが第一の目標でおこなっていました。...

 

校歌についても同じで、作者が誰なのか、どのような経緯で作られたのかを明らかにすることで、生徒たちに学校への愛校心や曲への愛着が自然と芽生えてくると考えています。

まずは、校歌の成り立ちや制作者について、生徒たちと一緒に一度共有してみてください。

 

 

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目標を明確にする

次に大切なのは、「目標を明確にする」ことです。
すなわち、校歌を披露する“本番”がいつなのかをはっきりさせることで、生徒たちのやる気がぐんと高まります。

例えば、学校によっては昼礼や朝礼で歌うことがあるかもしれません。春に運動会がある学校では、それを目標にするのもよいでしょう。また、1学期の終業式をゴールに設定する学校もあるでしょう。

「いつまでにここまで仕上げる」といった明確な目標があると、教員と生徒双方が努力しやすくなります。「その日までに歌詞を完璧に覚えよう」「暗譜をしよう」といった具体的な目標を立てることで、校歌への取り組みに対する意欲も高まっていくはずです。

 

校歌を披露する学校行事といえば入学式・卒業式ではないでしょうか?音楽教員にとって入学式・卒業式において大切なことを「音楽教員のための入学式準備(服装・ピアノ・曲の準備、大丈夫?)」「音楽教員のための卒業式準備の5つのポイント【着物でピアノ・草履で階段】」で紹介しています。

 

 

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音楽性を重視する

三つ目のポイントは、「音楽性を忘れない」ことです。

校歌を歌う場面では、つい事務的になりがちです。行事や式典、歌のテストのために歌うことが目的になってしまい、結果として無感情な“棒歌い”になってしまうケースもあります。

それを防ぐためには、子音をはっきり発音する、強弱を丁寧につけるなど、音楽的な工夫を忘れないことが大切です。他の合唱曲と同様に、校歌にも毎回しっかりと音楽性を込めて歌ってほしいと私は考えています。

このことは伴奏にも当てはまります。教員や生徒が何度も伴奏を繰り返していると、次第に指や口が“勝手に動く”状態、つまり事務的な演奏になりがちです。

そうしたときは、一度初心に立ち返りましょう。強弱記号を改めて見直したり、アナリーゼをしたりして、校歌のどこに音楽性があるのかを意識し直すことが大切です。一つひとつの演奏を丁寧に取り扱うよう心がけてください。

 

儀式的行事に必ずついてまわるのは国歌「君が代」も同じです。「君が代」という歌唱教材との関わり方や扱い方を「【音楽科教員向け】「君が代」指導の基本と教材研究のポイントをわかりやすく解説!」でお話しします。

 

 

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まとめ:校歌指導の再確認を

今回は、「校歌の指導」について3つの観点から考えてみました。

長年同じ学校に勤務していると、何度も、あるいは何百回と校歌を演奏することになり、どうしても作業的になってしまいがちです。しかし、校歌は立派な音楽作品ですし、新1年生にとってはその学校を象徴する、誇らしい音楽であるはずです。

だからこそ、音楽の先生自身が飽きずに、定期的に校歌の指導方法を見直すことが大切です。それが、生徒の心に届く校歌指導への第一歩となるのではないでしょうか。

 

この記事は動画「校歌指導の極意|「心に届く歌」を育てる3つの視点【音楽教員向け】」をもとに作成しました。

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この記事を書いた人
原口直

東京学芸大学 附属学校図書館運営専門委員会 著作権アドバイザー/元・東京学芸大こども未来研究所 教育支援フェロー

東京学芸大学教育学部卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。
東京都公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校で、教育実習生の指導、進路指導、「生活と社会に関わる音楽」分野の授業実践に取り組む。
会社員時代の経験を活かし、知的財産権教育に関する研究・発表も多数行う。

2020年春より、教室の外へとフィールドを広げ、YouTube・ウェブサイト・講演活動を通して、教員や教育実習生に向けた著作権教育コンテンツを発信中。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)

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