新年度の始まりや式典シーズンになると、校歌の指導が必ず求められます。しかし、「とりあえず歌わせておけばいい」と事務的になっていないでしょうか?
この記事では、音楽的な視点を大切にしながら、校歌を指導するための基本的かつ実践的な3つのポイントをお伝えします。小学校・中学校・高校いずれの現場でも応用できますので、ぜひ参考にしてみてください。
校歌の背景を共有する:楽曲への愛着を育てる
まず最初に意識してほしいのは、校歌が「誰によって、どんな思いで作られたのか」を子どもたちと共有することです。
校歌も他の音楽作品と同様に、作詞者・作曲者がいて、誕生の経緯があります。その背景を紹介することで、生徒は校歌に対して自然と愛着や誇りを持つようになります。これは、学校への帰属意識や校歌への主体的な関わりにもつながります。
私が指導で大切にしているのは、「作った人を明らかにして、大切にする」という視点。ぜひ一度、校歌の成り立ちについて調べ、授業内で共有してみてください。
明確な目標設定:本番に向けての意欲を引き出す
次に大切なのは、校歌を指導する目的や目標を明確にすることです。
「いつ、どこで校歌を披露するのか」をはっきりさせると、生徒のモチベーションが大きく変わります。朝礼や昼礼、運動会や学期末の式典など、学校によってタイミングはさまざまですが、「○月○日の式までに暗譜する」「その日までに歌詞を正確に覚える」といった具体的な目標を設定すると、練習にもメリハリが生まれます。
特に新入生にとっては、最初の大きな行事で自信を持って校歌を歌えることが、その後の学校生活にも好影響を与えるでしょう。
音楽性のある演奏を:毎回が本番のつもりで
校歌の練習が繰り返される中で、つい「ただの儀式」として事務的に扱ってしまうことがあります。しかし、校歌も立派な音楽です。他の合唱曲と同じように、音楽性をもって丁寧に指導することが大切です。
歌詞の子音をはっきりと発音する、フレーズの強弱を意識する、といった基本的な合唱のポイントを押さえるだけでも、歌声に深みが増します。また、ピアノ伴奏も同様です。演奏に慣れてしまった頃こそ、強弱記号やフレージングを見直し、「慣れ」に流されず、音楽的に弾く意識を持ちましょう。
一度、楽譜をアナリーゼして校歌の魅力を再確認することで、指導する側のモチベーションも高まります。
まとめ:音楽教員のための校歌指導の3つのポイント
いかがでしたか?校歌の指導は、つい毎年のルーチンになりがちです。
しかし、生徒にとってはその年の「初めて」の校歌。音楽の先生が心を込めて指導することで、校歌は学校の誇りとなり、生徒にとって大切な思い出にもなります。
ぜひ、今回ご紹介した3つの視点を取り入れて、校歌指導を見直してみてください。
この記事の内容は動画と同じです。
動画「【音楽教員向け】校歌をどう教える?生徒の心に届く3つの指導法」も是非ご覧ください。
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