小学校・中学校・高校の音楽科教員として、「君が代」の指導に悩む場面は少なくありません。式典では必ずといってよいほど歌われるこの曲を、どのように扱えばよいのか。
今回は、「君が代」の歌唱指導に向けた準備として、教材研究や歴史的背景の押さえ方など、基本的なポイントをお話しします。
音楽教育の現場から
今回は、式典で必ず歌われる「君が代」を取り上げます。
他の共通教材と違い、「君が代」についてはあまり詳しく語られることが少ないと感じていますが、音楽科教員としては必ず指導する場面に直面します。そこで、「君が代」を教材としてどのように扱うか、その基本的な考え方をお話します。
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「君が代」は他の教材と同じように扱う
「君が代」も他の教材と同様に、しっかりとした教材研究が必要です。普段の歌唱教材や器楽、創作、鑑賞などと同じように、時間をかけて計画的に準備を進めましょう。伴奏や歌唱の練習も、丁寧かつ着実に行うことが大切です。
学校教育の中で扱い、音楽科が指導し、全体で演奏する以上、「君が代」という教材に対しても十分な理解と責任ある姿勢をもって臨む必要があります。
多角的に「君が代」の教材研究を進める
教材研究では、例えば以下のような観点から掘り下げていくことができます。
- 歌詞の意味や背景(『古今和歌集』に由来する点など)
- 音楽的構造(アナリーゼ)
- 作詞者・作曲者・編曲者のプロフィール
- 曲の成立過程や歴史的背景
「君が代」の編曲がドイツ人によるものであることなど、意外性のある事実を調べていくことで、指導の幅も広がります。こうした視点からの研究を通して、教材への理解をより深めていきましょう。
また、スポーツイベントなどで演奏される「君が代」の風景や、他国の国歌と比較するのも良い切り口です。校種や子どもたちの実態に応じて、多面的な視点で教材研究を進めましょう。
「君が代」の歴史的背景を理解する
「君が代」は国歌であり、その点が他の教材とは大きく異なります。国歌として採用されるまでの歴史や経緯を調べておくことは、指導の上で非常に重要です。また、国内の学校における扱い方や、それに対するさまざまな立場・意見についても知っておくべきでしょう。
教員の中には、「君が代」に対して異なる考えや思いを持つ方もいます。音楽科教員として、そうした背景を理解しておくことは必要です。
私が大学生になった2000年当時は、ちょうど国歌に関する議論が社会的に活発化していた時期でした。音楽科を目指す立場として、単に知識を得るだけでなく、自分自身の考えや立場を明確にする必要性を感じ、私は意識的に研究を進めてきました。
教育実習でも「君が代」を扱いましたが、生徒に教えるうえで、自分自身の立場や周囲のさまざまな考えを理解しておくことの大切さを実感しました。
まとめ:教員としての姿勢と責任
今日は「君が代」についてお話ししました。
このテーマを取り上げるかどうか、正直に言えば悩みました。しかし、音楽科教員として学校現場に関わる以上、必ず向き合うことになる大切な教材です。だからこそ、正しい知識を身につけたうえで、自分なりの考えや立場を持ち、子どもたちに丁寧に指導していただきたいと思います。
この記事の内容はYouTube動画「【音楽科教員向け】「君が代」指導の基本と教材研究のポイントをわかりやすく解説!」と同じです。
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