学校の儀式的行事では必ず歌われる「君が代」。しかし、他の共通教材に比べて、その指導法や教材研究について詳しく語られる機会は少ないと感じている先生方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「君が代」も音楽科が責任を持って指導すべき大切な歌唱教材です。そこでこの記事では、先生や学生の皆さまが知っておくべき関わり方や扱い方の基本を、3つのポイントに分けて解説します。
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他の教材と同じように準備する
まず大切なのは、「君が代」を他の歌唱教材と何ら変わりなく扱うということです。
普段、私たちは歌唱曲だけでなく、器楽や創作、鑑賞の教材についても、時間をかけて丁寧に教材研究を行います。「君が代」もそれと全く同じです。
学校で扱い、音楽科が指導し、全校で演奏する以上、その教材に責任を持ちたいものです。他の教材と同じように、伴奏を練習したり、歌を練習したりといった指導準備をしっかりと行いましょう。
指導の幅を広げる、多角的な教材研究
次に、他の歌唱教材と同じように、多角的な視点から教材研究を進めていきましょう。当たり前に行うべきことを丁寧に行うことが、指導の質を高めます。
教材研究の基本的なアプローチ
まずは、以下のような基本的な項目について調べてみましょう。
- 詞の分析(アナリーゼ)
- 曲の歴史
- 作詞者、作曲者、編曲者について
指導の切り口を広げる多様な視点
これらの基本的な研究に加えて、さらに多様な切り口からアプローチすることで、子どもたちの興味や学びを深めることができます。
- 詞の背景を探る:例えば、「君が代」の詞が**『古今和歌集』**から引用されている点に着目するのも面白いでしょう。
- 編曲者に注目する:編曲がドイツ人によって行われたという事実に焦点を当てることもできます。
- 「君が代」がある風景を考える:スポーツイベントなど、どのような場面で「君が代」が歌われるかを考えるのも一つの方法です。
- 他の国の国歌と比較する:他の国の国歌を引き合いに出すことで、新たな発見があるかもしれません。
このように、教材研究の切り口は様々です。学校の種類や子どもたちの実態に合わせて、多様な切り口で指導を組み立てていくと良いでしょう。
「国歌」としての側面を理解する
「君が代」が他の歌唱教材と全く違う点、それは「国歌」であるということです。この側面についてもしっかりと理解を深めておく必要があります。
歴史的経緯と学校での扱いを知る
まず、「君が代」が国歌になった経緯や歴史をきちんと調べておきましょう。また、国内の学校でどのように扱われてきたかを知っておくことも大切です。
多様な考えや思いがあることを知る
音楽科の教員として、まず知っておくべきことがあります。それは、「君が代」が国歌であることに対し、先生方一人ひとりが様々な考えや思いを持っているという事実です。
職員会議などでこの話題が出た際に、なぜそのような考えや思いを持つ人がいるのか、その背景を理解しておくことが求められます。
私自身、大学生になった2000年頃は、ちょうど国歌についての議論が白熱していた時期でした。そのため、音楽科の教員になるなら、自分なりにきちんと研究をした上で、考えや想いを持ちたいと思っていました。教育実習でこの教材を扱ったほどです。
先生方一人ひとりが、「君が代」を国歌として扱うことについて自分の考えを持ち、同時に、周りの人々には色々な考えや思いがあることを理解した上で、指導や演奏に臨んでほしいと思います。
まとめ
今回は、歌唱教材「君が代」について、その関わり方や扱い方のポイントをお話ししました。
この話題は、学校で音楽科として関わる場合、必ず通る道です。知っておかなければいけない知識や、向き合うべき考えや想いがあります。
この記事で紹介した視点が、先生方一人ひとりの想いを大切にした、自信のある歌唱指導につながることを願っています。
この記事は動画「【音楽の先生向け】「君が代」の指導、もう迷わない!教材研究3つの視点!」をもとに作成しました。
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