音楽教員歴10年の原口直です。
今日は皆さんからいただいた質問に答えます。(3回目/全4回)
教材研究のコツは何か?
再生リスト【教育実習編】の動画にもありますが、好きなことをやるのが一番良いです。
広く浅く好きなことを調べていくと、何か「これを伝えたい」「これを教えたい」「これを学んでほしい」というものに引っ掛かります。それを見つけたら深く掘り下げればいいので、まずは広く知っていくのが大事です。
自分が好きでないことはなかなか教えることができません。興味があることをまず調べてみるといいです。
音程が取れない生徒の適切な指導方法
音程が取れない子は必ずクラスにいると考えていてください。その背景は必ずしも全員同じではないと思ってください。
もしかしたらその日その時に調子が悪いだけかもしれません。声変わりや風邪など自分ではどうしようもないことで音程が取れないのかもしれません。自分が音程が取れていないことに気づいているかもしれないし、気づいていないかもしれないので配慮が必要です。
何よりも、その子が音楽によってプライドを傷つけたり、周りに茶化されたりしないことが大事です。
私がしていたことは、1つ目は授業が終わった後、まったく関係のない時間でその子を呼んで丁寧に指導しました。もちろんその時も「あなたは音程が取れていないから来い!」ではなく、一緒に練習するために呼ぶということもしました。
変声期の場合は時が解決することがあるので、気長に待ってあげる。歌がうまい子・音程が取れている子がクラスにいるので、その子の隣で歌えるようにしたり、その子の音程を聴くといいとアドバイスしたりしました。
所謂、音痴の指導に関する本から情報を得るのも大事です。雑誌『教育音楽』等にも対策はよく掲載されているので、研究をした上でその子に向き合ってあげてほしいです。
大事なのは、その子を音楽を嫌いにさせないこと、プライドを傷つけないこと、周りにわかるような指導をしないことが大事です。
学校での楽器の取り扱いの注意点
いくつか種類があります。生徒誰でもが触っていい楽器・部活動の生徒だけが触っていい楽器・生徒全員が持っている楽器など区分が分けられます。
4月の授業の始めで授業規律できちんと伝えることが大切です。どの楽器には、どういう子が触っていい、どういう指導を受けてないと触ってはダメときちんと伝えておきましょう。全体の指導時は指導を統一して、毎回同じように説明することが大事です。
生徒とのコミュニケーションで注意すべきこと
言葉や言葉づかい、これに配慮が必要です。配慮なく言ってはいけない言葉・汚い言葉・罵る言葉、これは教員は発してはいけないと思っています。
子どもを子ども扱いしないのも中学校においては大事だと思っていました。
音楽に関しては、教える立場・教わる立場ですが、子どもから学ぶこと・学ばせてもらうこともたくさんありますので、他の分野では子どもたちの方が知識や技術があることもあります。なので、いつも上からにならないようにするのが必要です。
友だち感覚にならないのも大事です。教える立場・教わる立場を明確に分ける。その上で敬語を使う、授業では「ですます調」、普段は呼び捨てでも授業では「さんづけ」などすみわけが必要です。
生徒からの難しい質問に対する対処法
わからないこと・できないことは教員にももちろんあります。
例えば、男声パートを出すのは女性の先生には難しいですし、調べていないことや知識のないことを聞かれた時ももちろん答えられません。その時は素直に「できない」「今はわからない」と言い、次までに調べて答えを伝える、または「調べたけどわからなかった」と伝えるのが大事です。
変にごまかしたり、ウソをついたりするより、この方が誠実な対応ですので、困った時は困ったと共有することや「いい質問だね」と言うなどの対応が必要です。
生徒への有効的な声掛け・言葉かけ方法
なるべくポジティブなことを言うようにしました。部活動やレッスンの指導はできていないことを指導されるのが多いです。授業の場合は、できていないことと同じくらいできていることも言ってあげるのが大事です。
例えば合唱では歌ったあと「ここがダメだ」「あれをこうしろ」といいがちですが、やってできていることをきちんと褒めてあげるのが大事なので、ポジティブな声かけが大事です。
教員のアドリブ力の重要性
アドリブの力は大事です。こちらが発信すること、与える情報がまったく同じでも生徒の反応は授業やクラス、環境によってまったく違ってきます。それに対する返す言葉は、いろいろなパターンを準備しておくのが大事です。
始めは返すのがすごく難しいですが、回数や経験を重ねるとできるようになってきます。アドリブがすごいのはお笑い芸人さんです。芸人さんのトークや複数で話しているトーク番組・バラエティ番組は学べる要素があるので聞き流しでもいいので、色々なトーク番組を観るといいと思います。
教育実習の合格ラインとは?
非常におもしろい質問です。
教育実習生には成績が出ます。教材研究、学習指導案、授業の内容等の成績です。それ以外の合格ラインということであれば、授業を楽しんで生徒と一緒に授業をおこなえれば合格だと思います。
自分のやりたいことを突っ走ってやるとか、置いてけぼりにするのではなく、生徒の反応を受けて、そして自分の言いたいことを言って、また生徒の反応を受けて、自分の言いたいことを言って…というキャッチボールがきちんとできている授業は、合格だと思います。生徒と共に授業をできているなと思えば合格と言えます。
ブログ記事の内容は動画と同じです。
動画「【視聴者の質問③】音程が取れない子ども・教材研究のコツ・有効な言葉かけ(全4回)」も是非ご覧ください。
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