4月が勝負!音楽授業の土台を築く:中学校における授業規律の具体的指導法

中学校音楽における授業規律の指導方法 生徒対応とコミュニケーション
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今日は「授業規律」について話をします。

【1年間が劇的に変わる】初回授業のガイダンス&アンケート3つの鉄則」でも触れましたが、授業規律は非常に大事です。今後の音楽の授業がうまくいくかどうかは、どのように授業規律を設定し、それを生徒と共有するかにかかっています。

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今回は、その授業規律をどのように作っていくかについてお話しします。

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授業前の環境づくりと準備

授業規律は授業前から始まっています。

教室が規律を守る場であると示すには、椅子や譜面台、隊形の掲示などを整えることが大切です。隊形がわからない、椅子が並んでいないといった状態では、チャイムと同時に授業を始めるという規律も守られません。これは生徒のせいではなく、教員の責任です。

椅子を生徒の人数分きちんと整頓し、チャイム着席を徹底させましょう。チャイムに遅刻した生徒には厳しく叱り、二度と遅れさせないようにします。小さなほころびがやがて大きなキズ口となるため、始めが肝心です。

4月・5月中は、何度でもやり直させ、注意を繰り返すことが大切です。

 

音楽室にあると助かる物を「音楽室に揃えておきたい!授業で活躍する便利グッズ3選【音楽教員・教育実習生必見】」の動画で紹介しました。自分の授業を想定しながら、何が必要か考えてみましょう。

 

 

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授業中の基本的な規律

授業中は、まず挨拶を徹底させます。そして、私語についての規律も初めに提示することが必要です。
私語は「雑音」と捉え、音楽室には不要なものであると繰り返し伝えます。耳にタコができるほど、言う方が呆れて疲れるくらい、4月・5月の段階で徹底することが大事です。

対応として、「静かに」「うるさい」ではなく、「雑音やめて」「雑音なし」と言うほか、「口を閉じて」「耳を貸して」「こっちを見て」など、生徒に具体的な行動を伝えることが有効です。また、「shhhh」と音を出したり、私語が収まるまで無言で待つ、「喋りたいです」「しゃべります」「大事なことを言います」と宣言するなど、様々な工夫も取り入れましょう。

 

子どものウソや喧嘩に対してどのように対処すべきか、「教員が教える子どものウソ・喧嘩への対応の仕方」で解説しました。
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皆さん、こんにちは。一歩先ゆく音楽教育、原口直です。現在は学校での教育研究の経験と、未来につながる新しい学びについて情報発信しています。このYouTubeチャンネルでは学び続ける先生と学生さんのために、学校で役立つ情報と提案を発信していま...

 

 

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楽譜・楽器の扱いと授業規律

楽譜や楽器の扱いに関しても、初めに徹底しておく必要があります。

楽譜を粗末に扱わない、なくす、床に置く、丸めて人を叩くといったことを防ぐために、「楽譜はとても尊い、大切なものだ」と伝えましょう。誰か一人が不適切な行動をした時には、その場で楽譜の大切さについて話すのも良い方法です。

楽器も同様に、尊く大切なものです。

「楽器を大切に扱いましょう」と言いながら、先生のピアノの上が荷物でいっぱいでは説得力がありません。教員自身が態度で示すことが大切です。マレットやスティックを投げる、人を叩くといった行動があった時には授業を止めて全員を注目させ、「これはダメなことだ」と断言しましょう。

 

私はピアノをピカピカに磨いておくことがこだわりでした。「【音楽教員必見】音楽室の作り方完全マニュアル|新年度準備で授業が変わる!」の動画で、それ以外のこだわりもいくつか紹介しています。音楽の先生の職場である音楽室を作るヒントにしてください。

 

 

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言葉遣い・身体の動きに関する規律

授業中の言葉遣いも重要です。

誰かの発言や歌、演奏に対して汚い言葉や罵る言葉を使う生徒がいれば、授業を止めて「その言葉はよくない」「聞いて心地よくない」と説諭することが大事です。

また、音楽の授業では立つ・座る・動くといった行動が他教科より多いため、ルールや目的を明確に共有する必要があります。

立つべき時に立たない、座るべき時に座らない場合には、それまで待つという徹底が必要です。
歌うべき時に歌わない、楽器の手を止めるべき時に止めないなども、初期段階から決して許さない姿勢を持ちましょう。

ルールを明確に示し、「あなたはこのルールを破ったから私は怒っている」と伝えることが重要です。ルールがなければ、生徒はなぜ怒られているのか分かりません。

 

授業規律をあまりにも守らない生徒に対しては怒る必要があります。適切な怒り方については「【家庭で使える】教員が教える中学生の怒り方」という動画でお話しています。

 

 

授業後のフォローと報告

授業規律で最後に忘れてはいけないのが、授業後の生徒へのフォローです。
特に強く注意した生徒や、注意しても改善しなかった場合には、後で呼んで一対一で話をしましょう。

初めに提示したルールを再確認し、「このルールを破ったから注意をした」「こう直せば注意はしない、楽しい授業になる」というように、最後は必ずポジティブな話で終えるようにします。短い休み時間では声かけだけでも行い、後で時間を取って話をしましょう。次の授業にわだかまりを残さないように、最後まできちんとフォローすることが授業規律を守らせるコツです。

 

生徒指導をする場合の重要なポイントは「すべての行動の責任は生徒にはない。子ども本人のせいではない。理由は必ず他にある。」ということです。「【配慮事項】生活指導の必要な生徒への対応」の動画の中で、個々の事情にあわせて生徒指導する方法について解説しています。

 

また、クラス担任の先生への報告も忘れてはいけません。

「今日音楽の授業でこのようなことをしたので、このような指導をしました」「これから指導をします」「こういうことに困っているかもしれません」などと伝えましょう。
改善された点があれば、それも併せて報告します。

担任の先生から「他の授業でもそう」「あの子にはこうすると分かりやすい」といったアドバイスをもらえることもありますし、音楽の授業だけでの態度なのか、他の教科でも同様なのか、また女の先生にだけその態度を取るのかなど、傾向が分かります。

怖がらず、「悪いなあ」と思わず、必ず担任の先生に伝えることが大切です。場合によっては管理職や保護者への連絡にもつながるかもしれません。落ちのないように必ず伝えておきましょう。

 

子どものことは大学・実習などでたくさん学ぶと思いますが、保護者との関わり方について学ぶのは現場に行ってから・即実践です。「教員のための保護者対応の3つのポイント【保護者と良い関係を保つには?】」で、私の経験から話せる保護者対応のコツを紹介します。

 

 

おわりに

今回は授業規律についてお話ししました。

私は女性で背も小さく、週に1回しか生徒と会わないため、なかなかすぐに信頼を得ることは難しいです。だからこそ、規律をきちんと作り、「ダメなものはダメ」「良い時はとっても褒める」という姿勢を持つことで、信頼関係を築いていけると思います。

 

音楽のオンライン授業のやり方「私ならこうする」の動画で解説していますが、オンライン授業においても授業規律は大切です。オンラインならではの利点を活かした授業を作りのポイントについて解説しています。

 

この記事は動画「【4月が勝負】中学校音楽の授業規律づくり完全ガイド|信頼関係の土台を築く方法」をもとに作成しています。

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この記事を書いた人
原口直

東京学芸大学 附属学校図書館運営専門委員会 著作権アドバイザー/元・東京学芸大こども未来研究所 教育支援フェロー

東京学芸大学教育学部卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。
東京都公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校で、教育実習生の指導、進路指導、「生活と社会に関わる音楽」分野の授業実践に取り組む。
会社員時代の経験を活かし、知的財産権教育に関する研究・発表も多数行う。

2020年春より、教室の外へとフィールドを広げ、YouTube・ウェブサイト・講演活動を通して、教員や教育実習生に向けた著作権教育コンテンツを発信中。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)

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コメント

  1. 古賀友博 より:

    よくYouTubeでは拝見していましたが、コメントははじめてします。
    とくに、ポップスの授業での展開についての動画、とても良かったです、

    もしよかったら、先生とはまた違う教材、視点から授業に参考になる動画をだしているので、こちらにも遊びにいらしてください

    https://youtu.be/gg08aywT6sI

    • 原口直 原口直 より:

      古賀先生
      コメントをいただき、ありがとうございます。
      ポピュラー音楽については、先生方の興味関心の度合いや自身の体験、リスペクトする姿勢が大きく関わると感じています。
      どのような実践をなさっているか興味があります。