中学校音楽における授業規律の指導方法

中学校音楽における授業規律の指導方法 一歩先ゆく音楽教育(授業編)
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中学校音楽の教育実習ガイドを公開中!

【中学校音楽の教育実習生・実習生を受け入れる指導教員の先生へ】
指導教員経験を踏まえて、実習前から実習後までの中学校音楽の教育実習のポイントを網羅的に紹介。

【科目問わず全ての教育実習生へ】
STEP2「教育実習中の心得」・STEP6「教育実習が終わったら」では、指導教員へのお礼状や実習校でのマナーなど実践的知識を紹介。

中学校音楽の教育実習ガイド(実習前から実習後までのポイントを解説)

音楽教員歴10年の原口直です。

今日は授業規律について話をします。

1年間の授業を楽に進めるための初回授業(ガイダンス・アンケート)の3つのポイント」の中でも出しましたが、授業規律というのはとても大事です。
今後の音楽の授業がうまくいくもいかないも、どのように授業規律を設定するか、それを生徒と共有するか、ということが大事です。

 

初回授業でのガイダンス・アンケートをきちんとしておくと、今後1年間の授業がとても楽になります。「1年間の授業を楽に進めるための初回授業(ガイダンス・アンケート)の3つのポイント」の動画では、生徒と「初めまして」と出会うガイダンスで是非やって欲しい3つのことを紹介します。

 

今日は授業規律をどのように作っていくかという話をします。

 

 

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授業前:授業規律が守られるべき環境を教員が作る

まずは授業前。
授業の準備の段階で、きちんと授業規律が守られるべき教室であるかというのが大事です。

 

 

例えば、いすや譜面台・隊形の掲示など、このように準備をしておくことが大事です。

隊形がわからない、いすが並んでいないとなると、授業のチャイムと同時に授業を始めるという規律を作っていても絶対に守られません。それは生徒のせいではなく、教員のせいです。きちんと準備をして授業規律が守られる環境づくりを自ら作りましょう。

 

■いすをきちんと整頓しておいて、生徒の数並べておくこと。
■チャイム着席を徹底させること。
■チャイムで遅刻した子を厳しく叱ること、そして二度とさせないこと。

 

こういった細かいことをきちんとしておかないと、小さなほころびが大きな傷口となってきます。始めが肝心です。遅刻やチャイム着席ができなければ4、5月中は何度でもやり直させたり、注意をしたりすることが大事です。

 

音楽室にあると助かる物、また、これから学校の予算を有効に使うならこれを買ってほしい・揃えてほしいというものを「【3つを厳選】音楽室に常備したい便利グッズの紹介」の動画で紹介しました。自分の授業を想定しながら、何が必要か考えてみましょう。

 

 

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授業中の授業規律:挨拶・授業中の私語への対応

続いて授業中。
まず、あいさつが大事です。あいさつをきちんとすること、これを徹底させます

次に私語についての規律も始めに提示した通りです。
私語は雑音です。雑音は音楽の授業には要りません。音楽室の中に雑音は必要ありません。
これも始めは口すっぱく何度でも耳にタコができるくらい、言う方もあきれるくらい、それくらい徹底した方がいいです。4,5月の徹底がとても大事です。

 

次に私語に対する対応です。
よくやってしまうのが「静かに」「うるさい」と言ってしまうことです。
私は初めに雑音について話していますので「雑音やめて」とか、「雑音なし」と言います。

他にも「静かに」「うるさい」でなくて、本人がすべき行動を具体的に言うという方法をとっていました。

例えば、
■「静かに」これは授業者の要望です。
■「うるさい」これは現在の状況を説明しているだけです。

 

生徒に何をしてほしいか、「口を閉じて」「耳を貸して」「こっちを見て」といったように生徒の行動を具体的に口にするということが有効でした

それから、口癖のように「雑音やめ」「雑音なし」「sh―――」という無静音を出したり、私語がおさまるまで待ったり、「しゃべりたいです」「しゃべります」「大事なことを言います」と宣言したり、こういった工夫が必要です。

 

どのように話せば生徒に意図が伝わるか、考えることが大切です。「生徒の興味を惹くための話し方」などについては視聴者からの質問に答える形で「視聴者からの質問に回答②〜音楽科目が苦手・嫌いな生徒がいたらどうする?」で解説しました。

 

 

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授業中の授業規律:楽譜・楽器の取扱方法を指導

それから、授業規律について楽譜や楽器の扱いも始めに徹底しておく必要があります

楽譜を粗末に扱わない。
例えば、失くす、床に置く、楽譜を丸めて人を叩くとか。そういったことをしないように楽譜はとても尊く、大切なものなんだということを話します。誰か一人がこのような行動をしたときに、全体に話すのもいいでしょう。

それから、楽器の扱いについてです。
楽器は言わずもがな、とても大切な尊いものです。一番身近にあるピアノ。「楽器を大切に扱いましょう」と言っている先生のピアノの上が荷物でどっさりということはありませんか?

 

私はピアノをピカピカに磨いておくことがこだわりでした。「快適な音楽室を作るヒントを公開!音楽教員のための音楽室づくり」の動画で、それ以外のこだわりもいくつか紹介しています。音楽の先生の職場である音楽室を作るヒントにしてください。

 

楽器を大切に扱うということを授業者自ら態度で示すのも大切なことです。
楽器やマレット、スティックを投げるとか、それで人を叩くとか、こういった時はきちんと授業を止めて全員を注目させて、「これはダメなことだ」と断言するのが大事です。

 

 

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授業中の授業規律:言葉の指導

他に授業規律で大事なことは、言葉についてです。

汚い言葉や罵る言葉。

例えば、誰かが発言したときや、歌った時、演奏した時に、その子を罵る言葉や汚い言葉を使う子もいるでしょう。その時にも必ず授業を止めてでも、「その言葉はよくない、どうしてよくないか、聞いて心地よくない」ということをきちんと説諭することが大事です。

 

次に立つ、座るの切り替えについてです。

音楽の授業では、立ったり座ったり動いたり、ということが認められます。それは他の通常教室の授業では考えられないことです。
ですので、きちんとルールや目的を話す、共有する、ルールを明確にすることが大事です。立つべき時に立たない子がいたら、立つまで待つ。座るべき時に座らない子がいたら、座るまで待つ。そのように徹底していました。

それから、歌うべき時に歌わない、楽器の手を止めなければいけない時に止めない、そういったことも早いうちから絶対に許さないという強い意志が大事です
これも始めにルールを明確に示して、これをあなたは破ったから、今私は怒っているんだということをきちんと伝える必要があります。ルールもないのに怒っているのでは、なぜ怒られているのか生徒はわかりません。初めのルールの徹底と共有が大切です。

 

授業規律をあまりにも守らない生徒に対しては怒る必要があります。適切な怒り方については「【家庭でも使える】教員が教えるプロの子どもの怒り方」という動画でお話しています。

 

 

授業後の生徒へのフォローも忘れないで

最後に忘れてはいけないは授業の後の生徒へのフォローです。

特に強く注意をした子や、注意をしても直らなかった子については後で呼んで1対1できちんと話をすることが大事です。
話をする際には、始めに提示したルールがコレで、これを破ったから私は注意をした、これをこのように直せば私は注意をしない、楽しい授業ができる、というふうに最後は必ずポジティブな話で終わるようにしましょう

短い休み時間でしっかり話ができない場合は、一言声をかけておいて後で話をしましょう。次の授業へわだかまりが残らないように、最後まできちんとフォローするのが授業規律が守られるコツです。

 

それから忘れてはならないのが、クラスの担任の先生への報告です
今日、音楽の授業でこのようなことをしたので、このような指導をしました。もしくは、これから指導をします。こういうことに困っているかもしれませんという話をします。それから、改善されたなら、改善されたこともきちんと報告するということが大事です。

 

生徒指導をする場合の重要なポイントは「すべての行動の責任は生徒にはない。子ども本人のせいではない。理由は必ず他にある。」ということです。「生活指導の必要な生徒に対する配慮」の動画の中で、個々の事情にあわせて生徒指導する方法について解説しています。

 

困ったことを相談すると、他の授業でもそうだとか、こういうふうにすればあの子にはわかりやすいといったアドバイスをいただけることもありますし、音楽の授業だけそういう態度を取っている、もしくはすべての授業でこういう態度を取っている、女の先生にはこういう態度を取っているなど傾向が分かります。

怖がらず、悪いなと思わず、必ず担任の先生に伝えましょう。場合によっては管理職や保護者の方への連絡にもつながるかもしれませんので、落ちのないように必ず伝えておきましょう。

 

子どものことは大学・実習などでたくさん学ぶと思いますが、保護者のことについてきちんと学べるわけではありません。実際に保護者との関わり方について学ぶのは現場に行ってから・即実践です。「教員のための保護者対応の3つのポイント【保護者と良い関係を保つには?】」で、私の経験から話せる保護者対応のコツを紹介します。

 

 

まとめ:中学校音楽における授業規律の指導方法

今日は授業規律について話をしました。

私は女ですし、背が小さいですし、週に一回しか会わないですし、なかなかすぐに信頼を勝ち得ることは難しいです。だからこそ、きちんと、規律を作ってダメなものはダメ。いい時はとっても褒めるということをすれば、信頼関係にもつながってくると思います。

 

音楽のオンライン授業の作り方の動画で解説していますが、オンライン授業においても授業規律は大切です。オンライン授業ならではの利点を活かした授業を作りのポイントについて解説しています。

 

ブログ記事の内容は動画と同じです。
動画「中学校音楽における授業規律の指導方法」も是非ご覧ください。

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この記事を書いた人
原口直

元東京学芸大こども未来研究所教育支援フェロー

東京学芸大学教育学部卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。
東京都内の公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校において、教育実習生の指導・進路指導・新しい学習内容「生活と社会に関わる音楽の授業実践」を重ねる。
会社員時代の経験を活かした知的財産権教育の研究・発表実績多数。

2020年春より教室からYouTube動画・ウェブサイト・講演にフィールドを移し、教員や教育実習生が学ぶためのコンテンツを発信している。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)

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コメント

  1. 古賀友博 より:

    よくYouTubeでは拝見していましたが、コメントははじめてします。
    とくに、ポップスの授業での展開についての動画、とても良かったです、

    もしよかったら、先生とはまた違う教材、視点から授業に参考になる動画をだしているので、こちらにも遊びにいらしてください

    https://youtu.be/gg08aywT6sI

    • 原口直 原口直 より:

      古賀先生
      コメントをいただき、ありがとうございます。
      ポピュラー音楽については、先生方の興味関心の度合いや自身の体験、リスペクトする姿勢が大きく関わると感じています。
      どのような実践をなさっているか興味があります。