音楽教員歴10年の原口直です。
教科書には様々な民族、様々な国、様々な世代の音楽が載っています。
一昔前の教科書だとほとんどが西洋音楽いわゆるクラシックでしたが、現在の教科書にはアジアの諸民族の音楽・海外の音楽も現代のものも載っています。もちろん、日本の音楽もたくさん載っています。
いわゆる「西洋音楽」を学んできた人たちにとって、これらを教える時にどのような点に気をつければいいのか。
私は和太鼓や民族舞踊を大学で学んできましたし、それを実践してきました。その経験も踏まえて3つお話しします。
西洋音楽と同じく「尊敬」の念を持つ
音楽を伝えてきた人たちに対する尊敬の念を常に持っておく必要があります。音楽そのものに対する尊敬ももちろんそうです。
西洋音楽だけやってきてしまうと、西洋音楽が基準になったり、西洋音楽を上にしてそれ以外の音楽を下に見てしまうこともあります。そうではなく、音楽をきちんと公平に見て尊敬の念を持つことが大事です。
それから、尊敬の対象は音楽だけではありません。これを伝えていく人々に対する尊敬の念も大事です。
例えば、
それからその音楽を伝えていこうとする熱意。
それからその音楽を伝えていかなければならないという責任。
これらをその音楽を伝えていく人たちは持っています。この伝統・熱意・責任に対する尊敬の念をもって、教材にする必要があります。
民族音楽を受け継いでいく人たちは、ほとんどの人たちが音楽を主にプロとしてやっているわけではありません。皆さんそれぞれに仕事や家庭を持ったうえで、その音楽に取り組んだり引き継いだりしているのです。こういったことへの尊敬の念も常に持っていないといけません。
西洋音楽と同じく「謙虚」に接する
いくらその音楽を研究したり演奏できたりしても、その音楽を伝えていこうとしている現地の人たちには敵わないということを自覚する。この謙虚な気持ちが大事だと思います。
西洋音楽をやってきた私たちは、音楽の技術を習得したり・知識を身につけたり・西洋音楽の技法で解釈して身につけたりすることが一見得意なように見えます。技術や習得が早い…かもしれませんが、それを子どものころから主として伝えてきた人に敵うことはありません。その謙虚な気持ちが大事です。
また、その芸能を見せていただいた時・教えていただいた時、そして教材にさせていただいた時にも謙虚な気持ち…「見せていただく」「教えていただく」「教材にさせていただく」という謙虚な気持ちを絶対に忘れてはいけません。
謙虚な気持ち…いくらやっても敵わないということ。
そしてそれを「させていただく」という気持ち。これを忘れてはいけないと思います。
西洋音楽と同じく「真剣」に向き合う
教材研究をする時に、その芸能・その地域のことをなるべくしっかりたくさんできる限り、教材研究をし尽くすということが大事です。この音楽を通じてどのようなことを子どもたちに伝えたいかということも、現地の人や教えてくださる人に伝える。その熱意を伝えることも大事です。
その音楽に対する真剣さは必ず伝わります。
自分がどうしてこの音楽が好きか。
この音楽が魅力的であること。
そしてこれを通じて子どもたちにどのようなことを教えたいかという真剣さを持ち合わせていること。
これはとても大事なことです。
まとめ:民族音楽を音楽の授業教材とする時に気をつける3つのこと
「尊敬・謙虚・真剣」これらはややもすると、西洋音楽を扱う時にだって必要なことだと思います。
西洋音楽も一つの民族音楽です。すべての音楽に対して尊敬の念を持ち、謙虚な心を持ち、真剣な姿勢で取り組む。これはどの音楽にも大事だと思います。
ブログ記事の内容は動画と同じです。
動画「民族音楽を音楽の授業教材とする時に気をつける3つのこと」も是非ご覧ください。
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