【音楽の新学習指導要領】口唱歌の解説と授業実践例

ドドッコドンドンステテコドンドンで伝わる!新しい学習指導要領の言葉『口唱歌』の解説・音楽の授業実践例 一歩先ゆく音楽教育(スキルアップ編)
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中学校音楽の教育実習ガイド(実習前から実習後までのポイントを解説)

音楽教員歴10年の原口直です。

「口唱歌」は音楽を伝えるのにとても便利なツールです。そしてこの口唱歌は、中学校では2021年度からの学習指導要領に載った言葉です。

 

新しい音楽の学習指導要領の3つの改訂ポイントを「【音楽の新学習指導要領】音楽教員のための3つの改訂ポイント解説」の動画で解説しています。

 

学習指導要領ではこのように解説されています。

我が国の伝統的な歌唱や和楽器の指導に当たっては、言葉と音楽との関係、姿勢や身体の使い方についても配慮するとともに、適宜、口唱歌を用いること

とあります。

 

和楽器の指導については、すでに学習指導要領に載っている通り、必ず指導することとなっています。また、長唄なども教科書に載っています。

…なお、3学年間を通じて1種類以上の和楽器を取り扱い、その表現活動を通して、生徒が我が国や郷土の伝統音楽のよさを味わい、愛着をもつことができるよう工夫すること。

 

 

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口唱歌とは?

ではこの口唱歌とは何でしょうか。口唱歌は声で歌うための楽譜です。

唱歌という漢字だと文部省唱歌(しょうか)例えば《もみじ》《虫のこえ》《ふるさと》といったものと間違いやすいので、区別するために口唱歌(くちしょうが)と書いています。

曲の方は「しょうか」。和楽器の楽譜の方は「しょうが」と濁ります。

 

ではここで皆さんにクイズです。

Q.口唱歌を今から5つ言いますので、音の高いと思われる順に並べてください。

ツン/チン/ドン/トン/テン

 

多くの人が高い順に

チン/ツン/テン/トン/ドン

ドンが一番低い音だと感じられたと思います。

 

このように口唱歌は音楽を形づくっている要素でいうと音色だけでなく、リズム、旋律、強弱を表すことができます。

今のクイズの音の高さは旋律にあてはまります。それだけではなくて、奏法もわかります。例えばドン/トンでは、どうやって太鼓を叩いているかが何となく想像できますね。バチをどれくらい振り上げて、どれくらい大きい音で出すのかが口唱歌でわかってしまいます。それくらい口唱歌はとても便利なものです。

 

 

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中学校音楽における口唱歌の利用例(和太鼓の指導)

私は指導の際に、口唱歌を和太鼓で使っていました。

ツクドンツクドン
ツクドンドン
ドドッコドンドン
ステテコドンドン

 

この口唱歌がどのような打ち方をするのかを生徒に話したり、口唱歌を先に口伝してから奏法を学ばせていたりしました。太鼓は「叩く」「叩かない」の2つしかないはずなのに、ドンとかステテコとか。音を出さない時も、ツクとかンとか色々な表現の仕方があります。口唱歌という形はとても生徒になじんでいました。

 

学習指導要領にある「生活と社会との関わり」を念頭においた和太鼓の授業を中学音楽で実践していました。

 

和太鼓を教える時には、口唱歌と奏法をやっただけではありません。

生徒には授業の最後に口唱歌と合唱などの五線譜の違い…メリットデメリットについて考えさせました。生徒からは様々な意見が出ました。

例えば「わかりやすい」という言葉。口唱歌の方がわかりやすい。いやいや五線譜の方がわかりやすい。これは生徒の音楽的な背景、生徒が持っている知識によって全然違ってきます。

「覚える」「忘れる」といった関心も高かったです。五線の場合は、記録をするので覚えやすい。でも、五線譜の仕組み…音符や休符の知識、楽語や音階の知識がないとその楽譜を読み取ることができないという意見もありました。楽譜に残さない口唱歌は忘れてしまったり、間違えて伝わってしまうという危険性がある話や、伝える人がいなくなると音楽そのものがなくなってしまうという意見もありました。

生徒によって口唱歌と五線譜、どちらがわかりやすいのか、覚えやすいのかというのが全く違っていたのが興味深く、生徒たちもとても深く考えていました。

口唱歌は和楽器を教える上でとても便利な道具です。自分もそうですし、生徒もそれを実感できます。また一度教えると、生徒は呪文のように覚えて忘れずに覚えていてくれるのも教員としてはとてもうれしかったです。

新しい学び「口唱歌」ぜひ色々調べて取り組んでみてください。決して難しいものではありません。

 

私がやっていた和太鼓授業の実践例は「【音楽の新学習指導要領】中学校音楽科における和太鼓の授業実践例(和楽器指導)」で紹介しています。あわせてご覧ください。

 

 

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まとめ:【音楽の新学習指導要領】口唱歌の解説と授業実践例

西洋音楽を中心に学んできた先生方にとっては口唱歌は難しいもの、異質なもの、新しいものという考えがあるかもしれませんが、実はとっても便利で簡単で生徒たちにもなじみやすいものです。

 

「西洋音楽」を学んできた人が世界各地の民族音楽を指導するときに注意してほしいことを「民族音楽を音楽の授業教材とする時に気をつける3つのこと」でお話しています。

 

まずはそれをご自身が実感してほしいと思いますので、太鼓や三味線、お箏など色々なものに触れてみてください。

 

ブログ記事の内容は動画と同じです。
動画「【音楽の新学習指導要領】口唱歌の解説と授業実践例」も是非ご覧ください。

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この記事を書いた人
原口直

元東京学芸大こども未来研究所教育支援フェロー

東京学芸大学教育学部卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。
東京都内の公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校において、教育実習生の指導・進路指導・新しい学習内容「生活と社会に関わる音楽の授業実践」を重ねる。
会社員時代の経験を活かした知的財産権教育の研究・発表実績多数。

2020年春より教室からYouTube動画・ウェブサイト・講演にフィールドを移し、教員や教育実習生が学ぶためのコンテンツを発信している。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)

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