新年度や新学期、また異動先の学校で最初に行うことの一つが「あいさつ」です。
第一印象は、その後の子どもたちや先生方との関係に大きく影響します。うまくいけば、良いスタートダッシュが切れる重要な場面です。
この記事では、音楽科教員として着任する先生方や、教育実習に臨む学生の皆さんに向けて、実際の教育現場で役立つ場面別のあいさつのポイントを紹介します。
「どうあいさつすればよいのか」「何を話せばよいのか」といった不安を解消し、より良い関係づくりのスタートを切るためのヒントとしてご活用ください。

表情と声のトーンで印象アップ
人は言葉の内容よりも、まず雰囲気を受け取ります。そのため、少し緊張していても、明るい笑顔と、はっきり聞き取りやすい声を心がけましょう。
職員室でのあいさつ例(教育実習生・新任教員)
笑顔で一礼しながら、
「○○から来ました△△です。これからどうぞよろしくお願いいたします」
と丁寧に伝えましょう。
体育館での全校生徒へのあいさつ
マイクの有無に関わらず、声のトーンはやや高めに設定しましょう。沈んだ声では相手に届きにくく、印象も薄くなってしまいます。
教室でのあいさつ(音楽の授業・学級担任)
クラスや教科の場面では、少し柔らかいトーンで
「これから1年間よろしくね」
「よろしくお願いします」
と、児童生徒との距離を縮めるような言葉を添えると効果的です。
状況に応じた伝えるべき内容
あいさつの内容は、その場の状況や相手によって適切に変えることが大切です。
職員室での自己紹介ポイント
「○○中学校から参りました。音楽を担当します△△です。3年目です。よろしくお願いいたします。」
と、経歴や担当教科を簡潔に伝えるのが基本です。
全校生徒への自己紹介例
ポジティブな印象を与えることがポイントです。
「○○先生の代わりに○年生の音楽を担当する△△です。趣味は○○です。皆さんと楽しく学べるのを楽しみにしています。」
音楽科の場合は、好きな音楽を3つほど紹介するのもおすすめです。子どもたちの興味を引くきっかけになります。
教室・音楽室でのあいさつ
- 学級担任の場合:親しみやすさを重視し、「自分が小学生の頃楽しみにしていたこと」や「今楽しみにしていること」などのエピソードを交えると良いでしょう。
- 教科担任の場合:授業に対する期待を持たせるように、「こんな授業をします」「授業を通してこんな力が身につきます」といった説明を加えると効果的です。
自己開示も重要な要素です。子どもの頃の思い出、好きな音楽、最近の出来事などを話すことで、児童生徒との心の距離を縮めることができます。

立ち姿と話し方の間で安心感を与える
教員という立場は注目を集めやすいため、立ち姿や話し方の間を意識するだけで、聞き手に安心感を与えることができます。
- 背筋を伸ばし、手は体の前に添えると、落ち着いた印象を与えられます。
- 一呼吸置くだけで、「この人は落ち着いているな」と感じてもらえることがあります。
- 体育館など広い場所では、話の途中で目線を左右に移動させることで、全体に向けて話している印象を与えられます。
- あいさつは「話す」だけでなく「見せる」要素も強いものです。万が一、言葉が詰まってしまっても、立ち姿が整っていれば、聞き手はそれほど気にしません。
おわりに:あいさつは“経験を重ねて育てる力”
新しい環境に飛び込むとき、不安はつきものです。でも、最初の一言がきっかけで、関係づくりがスムーズに進みます。緊張しているときには、素直に「緊張しています」と伝えるのも一つの方法です。
あいさつは、回を重ねることで自分のスタイルが自然に育つ力でもあります。他の先生のやり方を観察して学ぶことも、多くの気づきにつながります。
新年度や新学期のスタート、そして教育実習の場面でも、今回紹介したポイントを意識し、心を込めたあいさつで良い関係の第一歩を踏み出してください。
動画「教育実習&音楽の先生必見!伝わるあいさつ・自己紹介のコツ3選」では、この記事の内容をさらに詳しく解説しています。あわせてご覧ください。