教育実習を前にして、「うまくやれるだろうか」という不安を感じている学生さんは多いのではないでしょうか。初めての実習はもちろん、2回目以降であっても校種や環境が変われば、また新たな緊張感が生まれます。
この記事では、50人以上の教育実習生を指導してきた経験をもとに、音楽科実習生が共通してつまずきやすい3つのポイントを解説します。「声の大きさ」「板書・パワーポイントの言葉選び」「音楽用語の読み方」、この3点を事前に知っておくことで、不要な不安を解消してより深い学びに集中できるでしょう。
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音楽科の実習生がつまずきやすい3つのポイント
教育実習生を毎年受け入れていると、個人差はあっても「ここでは誰でも引っかかるな」という共通のポイントが見えてきます。それが、次の3つです。
- 声の大きさ
- 板書・パワーポイントの言葉選び
- 音楽用語の読み方
それぞれ順番に見ていきましょう。
つまずき① 声の大きさ——自分が思う「1.5〜2倍」を目指す
音楽室は普通教室よりも広い
先生という職業の人は、音楽科に限らず声の大きい方が多いものです。実際に「学校で一番声の大きい先生は誰?」と生徒に聞いたところ、音楽科の名前が挙がるかと思いきや、国語や理科の先生の名前が返ってきたことがあります。それほど皆さん一様に声が大きいのです。
音楽室は、普通教室よりも広く、天井が高いことが一般的です。つまり、同じ大きさで話しても普通教室よりも声が届きにくい環境なのです。そこに緊張が加わると、声はどうしても小さくなりがちです。
「元気と若さ」が最大の武器
ポイントは、自分が思っているよりも1.5倍から2倍大きな声で話してみることです。最初は大げさに感じるかもしれませんが、それくらいでちょうどよい音量になります。声を大きく出すことは、緊張を和らげる効果もあります。特に教育実習生の皆さんにとって、元気と若さは何ものにも代えがたい強みです。自分の声を信じて、思いきって話してみましょう。
つまずき② 板書・パワーポイント——生徒の言葉に「翻訳」する視点
生徒がどんな言葉を知っているかを意識する
初めての板書やパワーポイントがうまくいかないのは、当然のことです。相手がどんな知識を持っているか分からないまま作るのですから、多少のずれが出るのは仕方がありません。
大学での模擬授業は相手が大学生ですから、文字量が多かったり言葉が難しかったりしても通じてしまいます。しかし対象が中学生・高校生になると、また話が変わります。学年・地域・クラスによっても、生徒の語彙や知識のバックグラウンドは様々です。
重要なのは、生徒がどんな言葉を知っているかを意識して、板書やスライドを「翻訳し直す」視点を持つことです。
ノープランはNG——まずたたき台を作る
とはいえ、最初からベストなものを作ろうとする必要はありません。まずたたき台を作り、生徒の様子をよく観察した上で言葉を調整していきましょう。指導教員や普段から生徒と関わっている先生に添削をお願いすることも有効です。1ページに収める文量、言葉の難易度、話す内容の順序——こういった点をご指導いただきながら磨いていきましょう。
音楽の授業における板書の仕方(→動画はこちらから)
音楽授業におけるパワーポイントの使い方(→動画はこちらから)
音楽授業で板書とパワーポイントを使い分ける方法(→動画はこちらから)
つまずき③ 音楽用語の読み方——基準は「教科書」のみ
自分が習ってきた読み方とは異なることがある
音楽科実習生が毎年つまずくポイントの一つが、音楽用語の読み方です。例えば、次の用語を声に出して読んでみてください。
| 記号 | 教科書での読み方 |
|---|---|
| <(クレシェンド記号) | クレシェンド |
| ff | フォルティッシモ |
| poco | ポーコ |
ピアノ教室などで「クレッシェンド」「フォルテッシモ」と習ってきた方は、驚いたかもしれません。しかし、何が基準かといえば、それは教科書です。中学生・高校生が使う教科書には音楽用語が掲載されたページがあり、そこに書かれている読み方が授業での基準になります。
「交響曲第5番ハ短調」が正式名称
用語の読み方だけでなく、曲名にも注意が必要です。例えばベートーヴェンの「運命」は、教科書には「運命」とは記載されていません。正式な曲名は「交響曲第5番ハ短調」です。「モルダウ」と「ブルタバ」も同様に、どちらが教科書の表記かを確認しておく必要があります。
テストで「クレッシェンド」と書いたらどうなるか
中学校の音楽は教科である以上、テストでの採点基準も教科書に準じます。「クレッシェンド」と書いた場合は、「クレシェンド」が教科書表記であれば不正解になります。実習生自身の思い込みを一度リセットして、教科書で読み方・書き方を確認し直してから実習に臨みましょう。
また、用語・曲名だけでなく、作詞者・作曲者の名前や楽器の正式名称なども、思い込みが間違いにつながりやすいポイントです。生徒に教える前に、自分がまず学び直すことからスタートしましょう。
まとめ——共通のつまずきを知れば、より広く学べる
教育実習でつまずきやすい3つのポイントをまとめると、次のようになります。
| ポイント | 対策 |
|---|---|
| ① 声の大きさ | 自分が思う1.5〜2倍の声で話す |
| ② 板書・パワーポイント | 生徒の言葉に翻訳し直す。指導教員に添削を依頼する |
| ③ 音楽用語の読み方 | 基準は教科書。思い込みをリセットして確認する |
共通のつまずきを事前に知っておくことで、同じ場所でつまずかずに済む分、実習中により深いことを学ぶ余裕が生まれます。緊張や失敗を恐れすぎず、ぜひ積極的に実習に臨んでください。
よくある質問
Q. 板書とパワーポイントはどちらを使えばよいですか?
A. どちらが正解ということはありません。大切なのは生徒に伝わる言葉と量で作ることです。指導教員に事前に確認してもらい、対象の学年に合ったものに調整するとよいでしょう。
Q. 声が小さいと毎回指摘されます。どうすればよいですか?
A. 自分が思っているよりも1.5倍から2倍の大きさを意識して話してみましょう。音楽室は天井が高く広いため、普通教室よりも声が通りにくい環境です。また、声を大きく出すこと自体が緊張を和らげる効果もありますので、まずは思いきって大きな声を出してみることをおすすめします。
この記事は動画「教育実習の3つのつまずき【声・板書・音楽用語】を指導教員が解説」をもとに作成しました。













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