生成AIでクラスソングを作るときの注意点|授業で使う前に確認したい3つのこと

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音楽を作れる生成AIが話題になり、授業や行事で子供たちとクラスソングを作ってみたいと考えている先生もいらっしゃるでしょう。生徒の言葉がすぐに曲になるのはとても魅力的で、子供たちも大喜びです。しかし、学校で音楽生成AIを使うときには、年齢制限やアカウント、歌詞の扱いなど、知っておきたい注意点があります。

この記事では、生成AIでクラスソングを作る前に確認したい3つのポイントと、どうしても実践したい場合の慎重な進め方がわかります。

生成AIでクラスソングを作るときの基本は、「自治体が契約している教育版アカウントの生成AI以外では音楽生成は原則として控える」ことです。一般の音楽生成ツールには、年齢制限や、入力した歌詞が学習に使われる規約、生成した曲の権利の扱いなど、学校で使うには注意したい点が多いからです。元中学校音楽科教員としての経験もふまえると、安全な環境が整うまでは無理に導入しないという判断も大切な選択肢の1つなのです。

 

 

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生成AIでクラスソングを作る前に確認したい3つの注意点

まずは全体像を整理しておきましょう。

注意点主な内容先生ができること
1. 年齢制限と個人アカウント一般ツールの多くに年齢制限がある。
個人アカウントの校務利用はリスクが高い
自治体が正式に許可した教育版アカウントだけを使う
2. 歌詞の学習と曲の権利入力した歌詞が学習に使われる規約や、生成した曲の権利や使い道を運営会社側が決める規約がある規約を確認し、子供の歌詞を安易に入力しない
3. 実践するときの進め方教員が1人の判断で進めるのは避けたい管理職・情報担当の承認を得て、代案で進める

 

 

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注意点1:一般の音楽生成ツールには年齢制限がある

ポイントは、世の中で流行している一般的な音楽生成ツールの多くが利用規約で年齢制限を設けていることです。多くの場合、13歳未満は利用禁止、18歳未満は保護者の同意が必要といった条件があります。

 

生徒の端末で使わせると規約違反になってしまう

年齢制限があるということは、授業中に生徒自身の端末でツールを使わせると規約違反になってしまうおそれがあるのです。「みんなで触ってみよう」という気軽な導入が思わぬ問題につながりかねません。

 

先生の個人アカウントで代わりに作るのも避けたい

では、教員が自分の個人アカウントを使って代わりに曲を作ればよいのでしょうか。

しかし、個人アカウントを学校の職務で使うことはセキュリティの面で非常に高いリスクがあります。教員が私用のアカウントを校務で使うことを厳格に禁止している自治体や教育委員会も多くあります。万が一トラブルが起きたとき、学校や教員自身が責任を問われることにもなりかねません。

大切なのは、子供を守るためにも先生自身を守るためにも、自治体が正式に許可した教育版アカウント以外は使わないことです。

▶ 動画では1:16〜で詳しく解説しています

 

教育版に音楽生成ツールがなければ「今はやらない」

現在自治体で導入されている教育版アカウントには、自由に使える音楽生成ツールが含まれていないことも多いでしょう。その場合は、無理をして一般ツールを使おうとせず、授業での導入を見送る勇気を持つことが大切です。安全な環境が整っていないなら「今はやらない」という判断も正しい選択なのです。

 

 

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注意点2:子供の歌詞の学習利用とできた曲の権利

クラスソングを作るときは、子供が一生懸命考えた歌詞を生成AIに入力することになります。ここで考えておきたいのが、子供の書いた歌詞の権利と入力したデータがAIにどう扱われるかという問題です。

 

入力した歌詞がAIの学習に使われることがある

重要なのは、子供が作った歌詞であっても著作権で守られる立派な1つの作品だということです。授業の中で生まれた作品であっても、先生が当然に自由に加工したり使ったりできるわけではない点も意識しておきたいところです。

一般的な音楽生成ツールには、入力したテキストや歌詞がAIの機械学習用のデータとして利用される規約になっているものが多くあります。自分たちが書いた大切な言葉がどこの誰に使われるかわからない形で学習されてしまうのは、教育的に避けたいところですね。

▶ 動画では3:21〜で詳しく解説しています

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生成した曲の権利は誰のものになる?

生成AIで作った曲や歌詞の権利や使い道の決まりはツールの規約によって全く異なります。なかには、生成された曲の権利や使い道をツールの運営会社側が決めている規約もあります。そもそも、AIが作った曲に著作権が生じるかどうかも、人がどれだけ創作にかかわったかによって変わると考えられています。

その場合、子供たちと作った曲であっても、学校行事で自由に歌ったり動画にして保護者に見せたりすることが制限されるおそれがあります。

 

無料版と有料版で条件が違う

ツールの無料版と有料版の違いにも注意が必要です。無料プランでは、作ったものの商用利用が禁止されていたりデータの学習が強制されたりする一方で、有料プランでは学習を拒否できる場合もあります。

しかし、規約は予告なく変わる可能性も大いにあります。「無料だから」と安易に使うのは、大変危険なのです。

なお、生成AIと著作権の関係そのものは現在も整理が続いている論点です。文化庁のウェブサイトでは、文化審議会がまとめた「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月)などが公開されていますので最新の見解もあわせて確認しておくと安心です。学校著作権の専門サイトでも詳しく解説しています。

▶ 生成AIと著作権の関係を詳しく見る

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注意点3:どうしても実践したいときの慎重な進め方

自治体版の教育アカウント以外は基本的には控えるのが安心です。それでも、教育的なねらいがあって実践したいという場合もあるでしょう。その際は、かなり慎重な準備と手順を踏むことが欠かせません。

▶ 動画では5:35〜で詳しく解説しています

 

生徒は触らず教員が操作を限定して見せる

代案の1つは、生徒にはツールを一切触らせず、教員が教育委員会の許可を得たうえで操作を限定して見せる方法です。進め方は次のとおりです。

1. 使用するツールの利用規約を隅々まで確認する
2. 管理職や情報担当の教員に企画書などを出し承認を得る
3. 教育委員会の許可を得たうえで、教員が操作を限定して見せる

重要なのは、教員が1人で判断して進めないことです。ここだけは、ぜひ避けていただきたいと思います。

 

歌詞は入力せず伴奏パターンだけをAIに作ってもらう

歌詞の学習リスクを避ける代案として、子供が作った歌詞をAIに入力しないという方法もあります。AIには曲調やコード進行といった伴奏のパターンだけを作ってもらい、メロディーや歌詞は生徒たちが自分で考えるという工夫です。

これなら、生徒の大切な作品の権利を守りながら音楽づくりのヒントとしてAIの良さを体験させることができます。

 

完成した曲は教室の中で楽しむ

完成したクラスソングの扱いにも慎重さが必要です。インターネット上の動画サイトや学校のホームページには公開せず、自分たちの教室の中で楽しむことを大切にしましょう。

そして最後は、生成AIの音源に頼り切るのではなく子供たち自身の歌声で合唱に仕上げる。そうすることで安心で温かい実践になるはずです。

避けたい進め方代わりの方法
生徒の端末で一般ツールを使わせる生徒は触らず、教員が操作を限定して見せる
教員が1人で判断して進める管理職・情報担当に企画書を出し、承認を得る
子供の歌詞をそのままAIに入力する伴奏パターンだけをAIに作らせ、歌詞とメロディーは生徒が考える
完成した曲をネットやホームページで公開する教室の中で楽しみ、最後は子供たちの歌声で合唱に仕上げる

 

 

Googleの教育版アカウントでGeminiが使える場合は

学校でGoogleの教育版アカウントを使っていてGeminiが利用できる場合は、音楽生成を選択できることもあります。正式に許可された教育版の環境でこうした機能が使えるならぜひ試してみてください。

 

 

まとめ:クラスソングの価値は仲間と悩みながら作った時間にある

生成AIでクラスソングを作るときの注意点をあらためて整理します。

• 一般ツールの年齢制限や個人アカウントを使う危険性を知る
• 子供の歌詞の学習利用やできた曲の権利の行方に注意する
• どうしても扱うときは慎重な代案をとる

何より大切なのは、教育版アカウント以外には安易に手を出さないという姿勢です。

新しいテクノロジーを授業に取り入れることはとても魅力的ですが、子供たちの権利や安心・安全を守ることの方がずっと重要です。安全な教育版の環境が整うまでは、焦って導入する必要はありません。既存の楽器演奏や自分たちでの作詞作曲など、音楽科本来の豊かな学びの時間をまずは大切にしていきましょう。

生徒の心に残るクラスソングは生成AIが作った完成度の高い曲ではなく、仲間と一緒に悩みながら作った時間の中に生まれるのです。責任やリスクを1人で背負い込まず、安心できる授業づくりを進めていきましょう。

 

 

よくある質問(FAQ)

Q. 授業中に生徒の端末で音楽生成AIを使ってもいいですか?
A. 一般的な音楽生成ツールの多くは、13歳未満の利用禁止や18歳未満の保護者同意といった年齢制限を設けています。授業中に生徒自身の端末で使わせると規約違反になるおそれがあるため、自治体が許可した教育版アカウントの範囲で考えましょう。

Q. 先生の個人アカウントで代わりに曲を作るのはどうですか?
A. 個人アカウントを校務で使うことはセキュリティ面のリスクが高く、禁止している自治体や教育委員会も多くあります。トラブルが起きたときに学校や先生自身が責任を問われることもあるため避けた方が安心です。

Q. 子供が書いた歌詞をAIに入力しても大丈夫ですか?
A. ツールによっては、入力した歌詞が機械学習用のデータとして利用される規約になっています。歌詞は入力せず伴奏のパターンだけをAIに作ってもらい、メロディーと歌詞は生徒が考える方法がおすすめです。

Q. AIで作ったクラスソングを動画サイトで公開してもいいですか?
A. 生成した曲の権利や使い道を運営会社側が決めている規約もあり、行事で歌うことや動画での公開が制限されるおそれがあります。完成した曲はインターネット上には公開せず教室の中で楽しむのが安心です。


合唱指導について、初任時代の自分に教えてあげたかったことを1冊にまとめました。『歌いたくない生徒を歌いたくさせる 中学校音楽教師のための合唱指導』(明治図書)、詳しくは書籍の紹介ページをご覧ください。

 

この記事は、動画「生成AIでクラスソングを作る前に|音楽の授業で知っておきたい3つの注意点」をもとに作成しました。

 

 

この記事を書いた人
原口直

東京学芸大学 附属学校図書館運営専門委員会 著作権アドバイザー/元・東京学芸大こども未来研究所 教育支援フェロー

東京学芸大学教育学部卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。
東京都公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校で、教育実習生の指導、進路指導、「生活と社会に関わる音楽」分野の授業実践に取り組む。
会社員時代の経験を活かし、知的財産権教育に関する研究・発表も多数行う。

2020年春より、教室の外へとフィールドを広げ、YouTube・ウェブサイト・講演活動を通して、教員や教育実習生に向けた著作権教育コンテンツを発信中。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)

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