吹奏楽部や合唱部に外部指導者として関わることになった方もいらっしゃるでしょう。音楽の専門家に来ていただけるのは学校にとっても子どもたちにとっても心強いことです。
一方で、学校での指導には民間の音楽教室とは違う約束ごとがあり戸惑う場面もあるかもしれません。この記事では、外部指導者が知っておきたい学校の常識3つを中学校の音楽科教員として部活動に関わってきた経験からお伝えします。顧問の先生が外部指導者をお招きするときのヒントとしてもご活用ください。
部活動の外部指導者が知っておきたい学校の常識とは、「一人で抱え込まず学校を頼ること」「自分が習ってきたやり方を少し横に置き、今のルールに合わせること」「コンクールの金賞よりも音楽が大好きな人を育てること」の3つです。
どれも、指導者自身を守りながら子どもたちが思いきり音楽を楽しめるようにするための約束ごとなのです。学校の仕組みを知っておくだけで顧問の教員とよいチームを組みやすくなります。
困ったときは一人で抱え込まず顧問の先生に伝えましょう
大切なのは、どんな小さなことでも自分だけで判断せず、すぐに顧問の教員に伝えることです。街の音楽教室であれば、生徒の様子がおかしいときやけがをしたときに先生と保護者が直接話し合って解決することが多いでしょう。しかし、学校はチームプレーで動く場所です。指導者が一人で問題を抱え込まずに済む仕組みが学校には整っているのです。
| こんなとき | どうすれば安心か |
|---|---|
| 生徒が熱っぽい・指を挟んだなど | 自分で判断せず、すぐ顧問の教員に伝える |
| 練習の連絡を生徒にしたい | 直接のメッセージやLINE交換は控え、学校の教員・学校の連絡方法を通す |
顧問に伝えれば、そこから担任の先生や保護者、管理職へとスムーズに連絡がつながります。学校には保健室の先生(養護教諭)がいて、けがや体調不良に対応してくれます。また、学校独自の保険の仕組みも備わっています。
指導者の方が一人で責任を背負う必要はまったくありません。学校の教員をどんどん頼り巻き込んで大丈夫です。周りの教員に相談しながら進めることが指導者自身を守ることにもつながります。
生徒との連絡は学校を通すのが安心です
練習の連絡などで生徒と直接メッセージをやり取りしたい、LINEを交換したいという場面もあるでしょう。そんなときはちょっと立ち止まってみてください。誤解や思わぬトラブルから指導者を守るためにも、連絡はすべて学校の教員や学校の連絡方法を通すのが安心です。直接連絡を取らないことは学校現場ではお互いを守るためのルールなのです。
▶ 動画では1:27〜で詳しく解説しています
自分が習ってきたやり方は「ちょっとだけ横に」置いてみましょう
ポイントは、指導の方法を今の学校のルールに合わせてアップデートすることです。
皆さんが中高生だったころ、朝から晩まで練習したり厳しい言葉で気合いを入れられたりして上達した経験があるかもしれません。その情熱や努力は本当に素晴らしいものです。音楽に真剣に向き合ってきたからこそ今の高い技術があるのでしょう。
ただ、現在は国や学校のルールが大きくアップデートされています。たとえば、次のような基準があります。
- 練習時間は平日2時間まで
- 休養日をしっかり取る
- 大声で叱責しない
これらは生徒の健康を守るために作られた新しい基準です。昔の部活動の感覚のまま指導すると今の学校生活のリズムと合わなくなってしまうことがあります。そして、悪気がなくても「不適切な指導」と受け取られ、責められてしまうリスクもあるのです。周囲から誤解されてしまうのはとても悲しいことですね。
短い時間と前向きな言葉で音楽を育てる
素晴らしい音楽の技術を今の子どもたちに届けるために、練習メニューや声かけも今のやり方にアップデートしてみてはいかがでしょうか。短い練習時間のなかで、どう効率よく音を作るかを工夫するのも楽しいものです。また、厳しい言葉ではなく前向きな言葉かけで生徒のやる気を引き出す指導もたくさんあります。時代に合わせた指導法を取り入れることで、指導者も生徒も笑顔で長く部活動を続けられるようになるでしょう。
▶ 動画では3:37〜で詳しく解説しています
▼生徒のやる気を引き出す声かけのやり方

目指したいのはコンクールの金賞よりも「音楽が大好きな人」
重要なのは、学校の部活動がプロを育てる養成所ではないということです。部活動は、音楽を通じて仲間と支え合い、人として成長する場なのです。賞を取ることだけが目的になると練習が辛いものになってしまいます。何よりも大切なのは音楽を楽しむ心です。
部活には、うまい子だけでなく、楽譜が読めない初心者や練習についていくのが少しゆっくりな子もいます。経験やスキルに差があるのは学校の自然な姿です。上手に演奏できる生徒だけでなく、苦手さを抱えている生徒の頑張りにも目を向けてみてください。部全体の雰囲気が温かくなり全員が安心して活動できるようになります。
もちろん、大会でよい結果を目指すのも素敵な目標です。そのうえで一番大切にしたいのは、みんなで音を合わせる楽しさを全員が味わえることでしょう。技術の差があっても一人ひとりの居場所を作り見守っていただけると、子どもたちにとって一生の宝物になります。演奏の優劣に関わらず全員が舞台や教室で大切な役割を持っているのです。
音楽を通して得られる自己肯定感や仲間と一つの曲を作り上げた実感は、大人になっても心に残ります。部活動を引退した後も一生涯音楽を愛し続ける人を育てること。それが学校教育における部活動の大切な役割です。指導者の方の温かい励ましが子どもたちの音楽への愛着を育てる大きな力になります。
▶ 動画では5:43〜で詳しく解説しています
▼学校での合唱・吹奏楽部で生徒に指導するためのポイント



まとめ:外部指導者と顧問がチームになると部活動はもっと豊かになります
外部指導者が知っておきたい学校の常識は次の3つでした。
- 一人で抱え込まず、顧問の先生をはじめ学校を頼り巻き込む
- 昔のやり方をいったん横に置き、今のルールにアップデートする
- 金賞を目指すこと以上に音楽が大好きな子どもを育てる
これらを意識するだけで学校での指導はとてもやりやすくなるはずです。音楽の専門家である外部指導者の存在は学校にとって大きな力です。教員とこまめに会話を交わし、チームとして子どもの成長を見守っていただけたら嬉しく思います。
これからは「部活動の地域展開」として部活動が学校から地域へと展開されていきます。外部の指導者と子どもたちが毎日楽しく笑顔で音楽を奏でられるように。お互いを尊重し合いながら、素晴らしい音楽の時間を積み重ねていきましょう。
▶ 動画では7:58〜で詳しく解説しています
よくある質問(FAQ)
Q. 生徒が体調を崩したりケガをしたりしたらどうすればよいですか?
A. 自分だけで判断せず、どんな小さなことでもすぐ顧問の教員に伝えましょう。顧問から担任・保護者・管理職へ連絡がつながり、養護教諭による対応や学校の保険の仕組みもあります。
Q. 練習の連絡のために生徒とLINEを交換してもよいですか?
A. 生徒と直接メッセージをやり取りするのは控え、学校の教員や学校の連絡方法を通すのが安心です。誤解や思わぬトラブルから指導者自身を守ることにつながります。
Q. 自分が受けてきたような厳しい指導ではいけないのですか?
A. 今は「練習時間は平日2時間まで」「休養日をしっかり取る」「大声で叱責しない」といった基準があります。悪気がなくても不適切な指導と受け取られるリスクがあるため、練習メニューや声かけを今のやり方に合わせてみましょう。
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この記事は、動画「部活動の外部指導者が知っておきたい学校の常識3つ【吹奏楽部・合唱部】」をもとに作成しました。





