近年、学校教育の在り方が大きく変わりつつあります。その中でも特に注目されているのが部活動の改革です。令和6年12月に学習指導要領が改訂され、部活動のあり方について明確な方針が示されました。しかし、教育現場では情報が十分に行き渡らず、改革の詳細を把握していない教員も多いのではないでしょうか?
この記事では、学習指導要領の改訂による部活動改革のポイントを分かりやすく解説します。今後の部活動の方向性について考えるきっかけになると幸いです。
部活動改革の背景
部活動改革が求められる最大の理由は、学校における働き方改革にあります。文部科学省の「学校における働き方改革について」の資料にもあるように、教師の業務負担の軽減が強く求められています。

たとえば、以下のような業務は「基本的には学校以外が担うべき業務」「学校の業務だが必ずしも教師が担う必要のない業務」として整理されています。
(出典:「学校における働き方改革に関する緊急対策 【概要】」より)
- 登下校に関する対応
- 学校徴収金の管理
- 校内清掃の対応
- 部活動の指導
部活動の指導は、教員が担う業務の中でも特に負担が大きいとされ、地域移行が推奨されるようになりました。
部活動の地域移行とは?
文化部・運動部ともに、部活動の指導を地域クラブなどに移行する流れが進められています。
すでにスポーツ系の部活動では地域移行が進んでおり、文化部も同様の動きが見られます。
文化部の地域移行に関する提言
私は音楽科ですので文化部の地域移行に特に注目しています。
文化部の地域移行に関しては、文化庁の検討会議においてたとえば以下のようなポイントが議論されています。
- 活動場所や指導者の確保
- 大会やコンクールの運営
- 活動費の負担方法
- 部活動の成績と高校入試への影響
- 教員が部活動指導者を続けるための兼職・兼業制度
このように、文化部の地域移行には解決すべき課題が多くありますが、働き方改革の一環として今後も推進される見込みです。

学習指導要領の改訂内容
学習指導要領の改訂についての詳細は「部活動改革に伴う学習指導要領解説の一部改訂について」のページに資料が掲載されています。興味関心のある方は、ぜひ資料原文をご覧ください。
今回の改訂に関して、この記事では中学校・高校の総則の改訂を、「部活動改革に伴う学習指導要領解説の一部改訂について」(スポーツ庁)の資料を抜粋して紹介します。
(出典:「部活動改革に伴う学習指導要領解説の見直しについて(概要)」より)
ポイントとなるのは以下の点です。
- 「ア.部活動」という項目が新設
- 部活動は教育課程外の活動であり、学校が必ず実施する必要はない
- 生徒の自主的・自発的な参加が基本であり、一律加入の必要はない
- 「イ.学校と地域クラブとの連携等」という新設項目で地域クラブとの関係性が明記
特に注目すべきは、「部活動は学校が必ず実施するものではない」と明文化された点です。
これにより、今後は学校単位で部活動を運営するのではなく、地域クラブとの連携がより重視されるようになります。
今後の部活動の方向性
令和7年度までには休日の部活動の地域移行が完了し、その後は平日の部活動も移行が進む予定です。すでに一部の自治体では平日の地域移行も始まっています。
今後、教員としては以下の点を意識する必要があります。
- 地域移行の動向を把握し、学校や自治体と連携する
- 生徒や保護者と情報を共有し、部活動の新しい形を模索する
- 指導を継続したい場合は兼職・兼業制度を活用する
まとめ
部活動の改革は、教員の働き方だけでなく、生徒や保護者、地域社会にも大きな影響を与えます。
これからの部活動のあり方について、教員だけでなく関係者全員で考えていくことが求められています。
この記事が、部活動改革について理解を深めるきっかけとなれば幸いです。
今後の動向にも注目しつつ、新しい形の部活動を共に考えていきましょう。
この記事の内容については、YouTube動画「学習指導要領改訂で部活動が変わる! これからの部活動のあり方とは?」でも解説しています。
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