学校の規模や学級の人数はさまざまですが、特に少人数学級では指導方法に特徴があります。
例えば、1クラスに10人未満の生徒しかいない環境では、全員がソロパートを担当することになり、演奏や合唱における責任がより大きくなります。そのため、音楽科の授業では少人数ならではの課題や利点を理解し、適切な指導を行うことが求められます。
この記事では、音楽科の先生や教育実習生の方々に向けて、少人数学級での効果的な指導方法を紹介します。
少人数ならではの課題と指導の工夫
生徒の能力を見極める
少人数学級では、すべての生徒が重要な役割を担うため、個々の能力を的確に見極めることが必要です。
すべての生徒がソロのような状態になり、それぞれのパートの責任が大きくなるため、一人ひとりの能力を正確に把握することが求められます。
特に、指揮者やバス、ドラムなどの重要なパートは、音楽全体の流れを左右するため、適材適所で割り当てることが大切です。また、生徒の得意分野を理解し、適切な役割を与えることで、授業の質を向上させることができます。
自信を持たせる指導
少人数学級では、一人のミスが全体に影響を与えやすいため、生徒の自信を高める指導が重要です。
まず、「褒める」ことを意識し、指摘と同じくらいの分量で肯定的に褒めることが大切です。その際、具体的に褒めることで、生徒が自分の成長を実感しやすくなります。
例えば、合唱や器楽演奏の際に「このフレーズの表現が素晴らしい」「リズムがしっかり取れている」といった具体的な声かけを行うと良いでしょう。
さらに、担任や他教科の先生と連携し、音楽の授業外でも生徒の頑張りを評価してもらうことで、自信の向上につなげることができます。
例えば、音楽の授業での活躍をホームルームなどで紹介してもらうのも効果的です。必要に応じて保護者とも連携し、生徒が成長を学校外でも認識できるようにすることで、さらに自信を持たせることが可能になります。
外部との関わりを意識する
少人数学級では、学級内の関係性が固定化しやすいため、外部との交流を積極的に取り入れることが効果的です。他学年との交流を行うことで、生徒は目標意識を持つことができます。例えば、中学1年生が3年生の合唱を聴く機会を設けることで、上級生の演奏技術や表現力を学ぶことができます。
また、地域の合唱団や吹奏楽団との連携を図ることも重要です。
外部の団体と関わることで、生徒がより広い音楽の世界を経験し、新たな刺激を受けることができます。
さらに、YouTubeやNHKコンクールのアーカイブを活用することで、同じ学年の生徒の全国レベルの演奏を聴く機会を増やし、生徒が高いレベルの音楽に触れることができます。
これにより、「上手い・下手」といった評価ではなく、「どこが違うのか」「どんな工夫があるのか」を考える視点を養うこともできます。

まとめ
少人数学級では、個々の生徒が大きな役割を担うため、指導の工夫が必要です。
生徒一人ひとりの能力を適切に見極めることで、適材適所の役割分担を行いましょう。
また、肯定的に褒めることを心がけ、生徒の自信を育み、学習意欲の向上につなげることができます。
さらに、外部との関わりを持つことで、生徒が多様な音楽経験を積み、視野を広げることができます。学校内外での交流や、オンラインの活用によって、生徒に教室外へ目を向けさせることが重要です。
このような工夫を取り入れながら、生徒が音楽を通じて成長できる環境を提供し、より実りある教育を目指しましょう。
動画「生徒が主役!少人数学級の音楽指導のポイントを解説」では、さらに詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
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