音楽科教員のための著作権研修|長野県音楽科自主研修会 レポート【研修事例】

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2026年6月、長野県内の音楽科教員による自主研修会「OTOBASE」からご依頼をいただき、「音楽授業における著作権」をテーマに研修を行いました。県内各地から集まってくださった音楽科の先生方をはじめとする約30名との時間でした。

元中学校音楽科教員として現場に立っていた頃、著作権の判断に迷う場面は数えきれないほどありました。合唱コンクールの楽譜、卒業式のBGM、部活動の演奏会。音楽科は、著作物と最も近い距離で仕事をする教科の一つだと感じています。

なお、今回はJASRAC(日本音楽著作権協会)主催「出張講座JASRAC ラーニングスクエア」の制度を使った研修でした。出前講座の制度や申込み方法については「学校で使える!「出張講座JASRACラーニングスクエア」の活用法と事例紹介」で詳しく解説しています。

 

 

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音楽科教員どうしの学び合いを大切にした研修スタイル

OTOBASEは、音楽科教員による自主的な学び合いの場という印象を受けました。参加者にはAhaSlidesを使って、投票やワードクラウド、クイズ形式のワークに参加していただき、対話を重視した進行にしています。

教員歴を見ると、16年以上のベテランの先生が多い一方、1〜5年目の若手の先生も参加しており、世代を超えて学び合う場になっていたようです。専攻もピアノ・声楽・音楽科教育などさまざまで、「歌唱は得意だが創作は苦手」といった得意領域のばらつきも見られ、音楽科教員らしい多様な顔ぶれでした。

研修では、合唱コンクールでの歌詞・楽譜コピー、卒業式のBGM準備、部活動の演奏会運営など、日々の授業や行事の中で著作権と向き合う場面を具体的に挙げながらお話ししました。

 

 

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研修で扱った内容

アンケートで「役に立った」と挙げていただいたのは、次のような内容です。

  • 著作権の基礎(作品は作った人のもの、という原則)
  • 学習指導要領・教員採用試験・教科書の変化
  • 授業目的公衆送信補償金制度(SARTRAS)
  • 「今日から、自分から、できることから」始められる著作権との付き合い方

制度の細かな条文解説は、専門の解説記事に譲ることにして、研修では現場ですぐに使える判断の視点をお伝えすることを心がけました。詳しい制度の解説は、姉妹サイト「学校著作権ナビ」の記事で補っていただければと思います。

原口 直の学校著作権ナビ
「原口直の学校著作権ナビ」 へようこそ!学校での著作権の意味や必要性は大きく変化しています。子ども1人1台端末・オンライン授業・公衆送信の定額制・教科書や教員採用試験への掲載「著作権を知らないこと」が、学校への信頼失墜・音楽コンクール失格・...

 

研修後半には、「教員採用試験にチャレンジ!許諾必要or不要」というクイズ形式のワークも行いました。吹奏楽部の定期演奏会での入場料徴収、演奏動画のホームページ公開など、音楽科教員なら一度は直面しそうな場面を題材にしたクイズに回答していただきました。

 

 

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研修のポイント:判断に迷ったら、チャートで整理する

今回特にお伝えしたかったのは、著作権を丸暗記するのではなく、判断の軸を持っていただくことです。

依頼者の先生からは、「許諾の有無に関するチャートが有効だった」というお声をいただきました。また、「出版会社によって許諾の可否が異なる」ことに驚いたという感想もありました。音楽の教材は、扱う出版社や権利者によってルールが異なる場面が実際にあります。一律の答えを求めるのではなく、その都度確認する姿勢を持っていただくことが、現場での安心につながると考えています。

 

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参加者の声

研修をご依頼くださった先生からは、「現場に寄り添いながら、わかりやすい講義を行ってくれる」ことを依頼の決め手として挙げていただきました。

参加者からは、次のような感想が寄せられました(AhaSlidesでの匿名回答)。

「劇団四季の話に驚いた。気をつけなければと思った」
「校名変更にともなう校歌の歌詞変更は認められないという理解でよいか。新たに歌詞を作成する場合、作詞者・作曲者それぞれに著作権があるのではないか」
「文化庁の資料では、授業用にプロ用楽譜を子ども用に簡単にすることは可能とあったが、どこまでがセーフなのか、かえってわからなくなった。音楽会の合奏譜づくりで悩みそう」
「生徒に著作権を教える立場でありながら、自分自身の行動を振り返れていなかったことに気づいた。今日から、やれることをやっていきたい」

音楽会の合奏譜づくりや校歌の指導など、音楽科教員ならではの具体的な質問が多く出たことが、今回の研修らしさだったと感じています。

 

 

研修中アンケートから見えたこと

研修冒頭の「『著作権』からイメージする言葉」ワードクラウドでは、「権利」「大切」「よくわからない」「難しい」「守る」といった言葉が多く挙がりました。大切なものだと感じながらも、実際の判断には難しさを感じている先生方の実感が表れていたように思います。

 

 

おわりに

長野県内の音楽科の先生方と、著作権についてじっくり対話できた研修でした。合唱・楽譜・行事といった、音楽科ならではの場面に即した疑問を数多くいただき、私自身も学びの多い時間になりました。

著作権は、いたずらに恐れるものではなく、正しく知って正しく使うためのものです。今回の研修が、日々の授業づくりの中で「これはどう考えればよいだろう」と立ち止まったときの、ヒントの一つになれば幸いです。

参加してくださった皆様、そして今回の機会をつくってくださったOTOBASEの運営の先生方に、あらためて感謝申し上げます。


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この記事を書いた人
原口直

東京学芸大学 附属学校図書館運営専門委員会 著作権アドバイザー/元・東京学芸大こども未来研究所 教育支援フェロー

東京学芸大学教育学部卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。
東京都公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校で、教育実習生の指導、進路指導、「生活と社会に関わる音楽」分野の授業実践に取り組む。
会社員時代の経験を活かし、知的財産権教育に関する研究・発表も多数行う。

2020年春より、教室の外へとフィールドを広げ、YouTube・ウェブサイト・講演活動を通して、教員や教育実習生に向けた著作権教育コンテンツを発信中。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)

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