著作権法改正2026年6月成立|音楽教員が知っておきたい3つのポイント

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この記事では、2026年6月に成立した著作権法改正について、音楽科の先生が知っておきたいポイントをまとめています。学校の授業で何が変わるのか、学校外の合唱団活動で気をつけたいこと、そしてこの改正がアーティストにとってどんな意味を持つのかを、順番に見ていきます。

2026年6月、著作権法の一部を改正する法律案が可決・成立しました。「著作権法が変わった」と聞くと、授業で音楽が使いにくくなるのでは、と不安になる先生もいらっしゃるかもしれません。結論からお伝えすると、学校の授業に関する部分は変わりません。今回の改正は、主にお店などで音楽をBGMとして流す際に、アーティストへ適切な対価を還元する仕組みを新しく作るものです。ただし、休日に地域の合唱団を指導しているなど、学校の外でも音楽に関わっている先生には関係してくる部分があります。

学校著作権ナビゲーターとして研修に伺う中でも、法改正のたびに「これで授業がやりにくくなるのでは」という質問をよくいただきます。今回もそうした声を耳にしたので、この記事で整理しておきたいと思います。

 

 

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学校の授業での音楽利用は今まで通りです

まず一番気になるポイントからお伝えします。学校の授業や学校行事での音楽利用は、今回の改正によって変わることはありません。

音楽の授業や部活動では、合唱の練習や演奏のためにたくさんの音源を使います。本来、著作物を使うときは許諾を得ることが原則ですが、学校には著作権法第35条(授業の過程での利用を認める規定)という特例もあります。この規定のおかげで、授業や学校行事での複製などは、基本的に許諾を得ずに行うことができます。

またオンラインで音楽を配信する場面、たとえばGoogleクラスルームなどのデジタル活用の場面については、SARTRAS(授業目的公衆送信補償金等管理協会)の補償金制度が対応しています。教員が個別に手続きをする必要はなく、設置者(自治体や学校法人など)がまとめて補償金を支払う仕組みです。金額は児童生徒1人あたり年額で、小学生120円、中学生180円、高校生420円と定められています。

この第35条とSARTRASの仕組みは、今回の法改正でも変わりません。合唱練習や部活動での演奏は、これまで通り安心して取り組んでいただけます。

 

▼学校の先生が知っておきたい著作権の基礎の解説記事

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学校外の合唱団活動では新しいルールに注意が必要です

一方で、変わる部分もあります。それが学校の外での音楽活動です。

土日に地域の合唱団を指導したり、指揮を振ったりしている先生もいらっしゃると思います。学校の中と外では、適用される法律の範囲が異なります。

今回の改正では、お店などでBGMとして音楽を流す際に、新しく対価を還元する仕組みが導入されることになりました。この仕組みは、いわゆる「レコード演奏・伝達権」と呼ばれるもので、音楽CDや配信音源を店舗などで利用した場合に、実演家やレコード製作者へ対価が還元されるようになります。

たとえば地域の合唱団の練習で、参考音源やCDの伴奏を流す場面があるかもしれません。こうした学校外での活動は、今回の改正のルールに関わってくる可能性があります。学校の中と同じ感覚のまま使っていると、意図せずルール違反になってしまうことも考えられます。学校の中と外では扱いが異なるという点を、丁寧に押さえておく必要がありそうです。

▶ 動画では3:31〜で詳しく解説しています

 

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なぜ改正されたのか?音楽を生み出す人たちへの対価還元です

3つ目のポイントは、この改正がどんな目的で行われたのかということです。

著作権の話というと、「お金を取られる」「手続きが面倒」といったネガティブなイメージを持たれることがあります。しかし今回の改正は、音楽を守るための改正だと捉えることができます。

これまで、日本のアーティストの楽曲が海外で使われても、適切な対価を受け取ることが難しいという課題がありました。海外ではすでに広く導入されている「レコード演奏・伝達権」が日本には整備されていなかったためです。今回の改正はこの課題を解消し、実演家やレコード製作者への対価還元を進めるものです。

私たちは音楽科の教員になるまでに、たくさんのアーティストや作詞家、作曲家、実演家の作品から恩恵を受けてきました。そして目の前の子どもたちも、いつか音楽を生み出す側になるかもしれません。音楽の未来を支えるという意味で、今回の改正は前向きに受け止められる内容だと言えるでしょう。

 

 

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よくある質問

Q. 授業や部活動での合唱練習は、これまで通り音源を使ってよいですか?
A. はい、学校の授業・学校行事での利用は著作権法とSARTRASの仕組みによって守られており、今回の改正で変わることはありません。

Q. 休日の地域合唱団の指導では何に気をつければよいですか?
A. 学校の外では適用される著作権法の範囲が異なります。参考音源やCDの伴奏を流す場面では、今回導入された対価還元の仕組みが関わる可能性があるため、学校内と同じ感覚で使わないよう注意が必要です。詳細は今後の公式発表で確認することをおすすめします

Q. この改正はいつから施行されますか?
A. 2026年6月に法律案が成立した段階です。具体的な施行日や運用の詳細は、今後、実演家団体やレコード製作者団体などで検討が進められる見込みです。最新情報は文化庁や文部科学省の公式発表でご確認いただくことをおすすめします。

 

 

まとめ

2026年6月に成立した著作権法改正について、3つのポイントを見てきました。学校の授業や行事での音楽利用は変わらないこと、学校外の合唱団活動では新しいルールに気をつける必要があること、そしてこの改正が音楽を生み出す人たちへの恩返しになるということです。

法律の改正と聞くとハードルが高く感じられるかもしれませんが、音楽を愛する私たちにとっては身近なテーマでもあります。子どもたちにとっても関心を持ちやすい話題かもしれませんので、授業の中で少し触れてみるのもよいかもしれません。

参考:文部科学省「著作権法の一部を改正する法律案が参議院本会議で可決され成立しました」(2026年6月17日発表)


教育実習・若手の先生向けの情報は、中学校音楽の教育実習ガイドにまとめています。実習前の準備から実習後まで、順番に読めるようになっています。

なお、学校内での著作権の扱い(第35条・SARTRASの詳しい仕組み)については、学校著作権の専門サイトで詳しく解説しています。

 

この記事は、動画「著作権法改正2026|音楽の先生が知っておくべき3つのポイント」をもとに作成しました。

note連載「音楽の先生のための著作権Q&A」も更新中

音楽科教員が著作権について現場で迷う場面をQ&A形式で解説する連載です。

▶ note連載はこちらへ

この記事を書いた人
原口直

東京学芸大学 附属学校図書館運営専門委員会 著作権アドバイザー/元・東京学芸大こども未来研究所 教育支援フェロー

東京学芸大学教育学部卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。
東京都公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校で、教育実習生の指導、進路指導、「生活と社会に関わる音楽」分野の授業実践に取り組む。
会社員時代の経験を活かし、知的財産権教育に関する研究・発表も多数行う。

2020年春より、教室の外へとフィールドを広げ、YouTube・ウェブサイト・講演活動を通して、教員や教育実習生に向けた著作権教育コンテンツを発信中。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)

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