学校行事の中でも、卒業式は特別な意味を持つ式典です。この大切な式典をさらに印象深いものにするためには、適切なBGMの選曲が欠かせません。
音楽はその場の雰囲気を高めるだけでなく、記憶に残る演出として重要な役割を果たします。しかし、選曲には学年の意向や行事のテーマを考慮するだけでなく、著作権にも配慮が必要です。
この記事では、卒業式を例に、学校行事のBGM選びのポイントを分かりやすく解説します。
学年やクラスの思い出を反映した曲の選び方、トレンドや定番曲を探す方法、さらには著作権を守った音楽利用の基礎を紹介します。
円滑に行事を運営するための参考になさってください。
学校行事のBGMの役割とは?
学校行事におけるBGMは、単なる背景音楽ではなく、行事の雰囲気を作り出し、感情を高める重要な役割を果たします。特に卒業式のような節目の行事では、音楽がもたらす効果は絶大です。
行事を盛り上げる音楽の力
音楽は、会場全体の雰囲気を調整し、参加者の気持ちを一つにまとめる力を持っています。感動的な場面ではしっとりとした音楽がその瞬間を引き立て、楽しい場面では明るい音楽が場を盛り上げます。
卒業式では、退場時に使用する軽快な曲や、卒業証書授与の厳かな曲が、その場面ごとの空気感を演出します。
卒業式における音楽の特別な役割
卒業式は、在校生や卒業生、保護者、教職員が共有する特別な時間です。そのため、BGMには次のような役割が求められます:
・感動を演出する:卒業生の思い出や成長を想起させ、式典を特別なものにする。
・会場全体の雰囲気を整える:開始から終了までの流れをスムーズにし、一貫したテーマを感じさせる。
・思い出をつくる:後日、「あの曲が流れていた卒業式」として記憶に残る。
適切なBGMの選択は、単に音楽を流す以上に、行事そのものの成功を左右する要因となります。
卒業式という一生に一度の瞬間を彩る音楽を選ぶ際には、その役割を意識して計画しましょう。
卒業式にふさわしいBGMの選び方
卒業式のBGM選びは、式典の雰囲気や参加者の思い出を形作る重要な要素です。感動的で印象に残る式にするためには、以下の3つのポイントを意識することが大切です。
定番
卒業式にふさわしい定番曲は、世代を超えて愛されるものが多く、会場全体の一体感を生み出します。
定番曲を探す方法
・卒業式でよく使われる曲を、GoogleやSNSで検索する(例:「卒業式 定番曲」「#定番卒業ソング」)。
・音楽関連の雑誌やアンケート調査を活用する(例:『教育音楽』のアンケート結果)。
・オムニバスCDや卒業式用プレイリストを参考にする。
例曲
パッヘルベルの「カノン」
バッハの「G線上のアリア」
海援隊の「贈る言葉」
レミオロメンの「3月9日」
定番曲は広く知られているため、安心して利用できるだけでなく、会場の多くの人々に共感を与える力があります。
トレンド
その年の流行曲を取り入れることで、卒業生や在校生にとって新鮮で記憶に残る式を演出できます。
トレンド曲を見つける方法
・SNSで「#令和」「#トレンド卒業ソング」などのハッシュタグを検索する。
・現在流行中のアーティストやヒット曲をチェックする。
・在校生や卒業生に「今年話題になった曲」を尋ねる。
取り入れる際の注意点
・式典の雰囲気に合うかどうかを確認する。
・保護者や教職員にも共感されやすい曲を選ぶ。
トレンド曲は、その年ならではの思い出を作り、卒業生にとって特別な思い出となるでしょう。
子供の希望
卒業生や在校生の意見を反映することで、式の内容に親近感が生まれます。
意見を取り入れる方法
・卒業生と卒業生を送る在校生に尋ねる。
・曲を提案してもらう際に、こちらからシチュエーションを提示する(例:入場時、退場時)。
・選曲理由を説明させる。
注意点
・単なる人気投票ではなく、卒業式の場面や対象にふさわしい曲かどうかを確認する。
子供たちの意見を尊重することで、卒業生にも在校生にも心に残る式を作ることができます。
これら3つのポイントを意識して選曲することで、参加者全員が思い出に残る卒業式を演出できるでしょう。卒業式にふさわしい曲を選ぶ際には、行事のテーマや対象者の気持ちに寄り添った選択を心掛けてください。
音楽を形づくっている要素を使った選曲理由の説明
卒業式のBGM選びをより効果的にするためには、「音楽を形作っている要素」に注目することも重要です。この要素を理解し、それをもとに選曲理由をすることで、卒業式にふさわしい楽曲を選び、式典の感動をさらに高めることができます。
音楽を形づくっている要素とは?
音楽を形づくっている要素とは音楽の学習指導要領にも記載されており、音楽の授業で使っている生徒も知っている言葉です。
これらの要素の言葉を使うことで、楽曲が式典の雰囲気や意図に合っているかどうかを説明してみましょう。
具体例:卒業式にふさわしい曲を分析
パッヘルベルの「カノン」
・音色:弦楽器の美しい音色が心地よい。
・テクスチュア:複数の旋律が重なり合う構造が、厳粛な雰囲気を演出。
・速度:ゆったりとしたテンポが卒業式の荘厳さにぴったり。
・反復:繰り返されるコード進行が安心感を与える。
この具体例を参考に、「なぜこの曲が卒業式にふさわしいのか」を要素の言葉を使って説明することで、選曲の意図をより明確にできます。
音楽要素を活用するメリット
・説明が具体的になる
・教職員や生徒に曲を提案する際に、選曲の根拠を論理的に説明できるようになります。
音楽を形づくっている要素を理解して選曲することで、卒業式だけに止まらず学校行事のテーマや場面に合った最適な曲を選択できるでしょう。
著作権を考慮した安全な音楽の利用方法
学校行事のBGMを選ぶ際、音楽そのものの選び方だけでなく、著作権のルールを守ることも非常に重要です。学校行事で音楽を使用する際の具体的な条件や注意点を理解することで、自信をもってBGMを行事で利用することができます。
許諾が不要な音楽利用の条件
学校行事では、以下の場合に音楽を使用しても許諾が不要とされています:
非営利・無料・無報酬での利用(著作権法第38条)
市販のCDを卒業式や入退場のBGMとして流す場合は、非営利目的であれば許諾が不要です。
例えば、会場内での再生や式典の演出の一環としての利用がこれに該当します。
授業における教育目的の利用(著作権法第35条)
授業の一環として位置づけられる学校行事(卒業式など)で、かつ、教員・子供間における教育目的での著作物の利用であれば許諾が不要です。
許諾が必要な場合とその対応策
一方で、以下のようなケースでは許諾が必要です:
録画・録音する場合
卒業式を記録としてDVDにする、または学校のホームページで公開する場合は、著作権者の許諾が必要です。
許諾を得る際の料金は、使用する楽曲の数や録画時間、配布枚数などによって異なります。
サブスクリプション音楽サービスの利用
SpotifyやApple Musicなどのサブスクリプションサービスは、基本的に個人利用が前提となっており、学校での利用は利用規約に違反する可能性があります。
サービスの利用規約を必ず確認し、適切な範囲で使用してください。
著作権についての正しい理解を深める
著作権法第35条や第38条の基本的なルールを把握しておくことで、自信を持って音楽を利用できます。
詳しくは、「原口直の学校著作権ナビ」のYoutube動画・ウェブサイト、著作権情報センター(CRIC)・JASRACなどの情報を参考にしてください。
まとめ:学校行事を彩るBGM選びのポイント
学校行事、特に卒業式は、生徒・教職員・保護者にとって特別な時間です。その式をさらに感動的で思い出深いものにするためには、適切なBGMの選択と著作権の配慮が欠かせません。
選曲のポイント
学年やクラスの意向を反映し、定番曲やトレンド曲、そして生徒の希望をバランスよく取り入れることが重要です。また、選曲理由を音楽を形づくっている要素を使って説明することで、選曲に説得力と教育的な価値を持たせることができます。
著作権を守った音楽利用
学校行事で音楽を使用する際は、非営利利用や教育目的で許諾が不要な場合と、録画やインターネット公開などで許諾が必要となる場合の違いを理解しましょう。安全で適切な利用を心掛けることで、自信をもって音楽を活用できます。
卒業式は、音楽によってその感動が大きく変わります。選曲や音楽の利用に細やかな配慮を加えることで、生徒たちにとって忘れられない瞬間を演出することができるでしょう。この記事を参考に、ぜひ素晴らしい学校行事・卒業式を作り上げてください。
この記事の内容を、YouTube動画「卒業式の感動を演出!学校行事のBGM選びと著作権ルール解説」で、さらにわかりやすく解説しています。
ぜひご覧ください。
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