皆さん、こんにちは。一歩先ゆく音楽教育、原口直です。
現在は学校での教育研究の経験と、未来につながる新しい学びについて情報発信しています。
このYouTubeチャンネルでは学び続ける先生と学生さんのために、学校で役立つ情報と提案を発信しています。
今日は「教員が著作権を知るべき理由」についてお話しします。
著作権については、「知っておいた方がいい」「興味がある人だけ知ればいい」ではなく、全員が知る必要があると思っています。
このチャンネルの中にも著作権に関わる動画はありますが、姉妹チャンネルの「原口 直の学校著作権ナビ」では、このチャンネルよりももっと詳しく説明をしています。
理由は何と言っても【需要の多さ】。寄せられる質問は、授業や学級経営ではなく、ほとんどが著作権に関するものだからです。
この記事は、次のようなことを知りたい方に是非ご覧頂きたい内容です。
▶「著作権は難しそう」と思う方
▶「学校は著作権フリーで何でも使えるんでしょ」と思う方
▶「ICT担当の先生だけが知ればいいでしょ」と思う方
この動画の他には
著作権の入口として簡単に話をしています。興味はあるけどよくわからないという人の1本目としてご覧ください。
2021年9月に開設した当チャンネルより特化した内容です。「著作権法35条」「SARTRAS」「学習指導要領」「教採解説」「子ども・教員・保護者がやってしまいがちな著作権違反」について話しています。
併せてごらんください。
著作権は学習指導要領に掲載されている
初めて著作権の話を聞いたのは、大学を卒業して社会人になってから。24歳くらいの時です。
音楽科教員ですので、幼少期からピアノ・合唱・吹奏楽など何千何万という著作物を使ったり作ったりしてきました。しかし、著作権のことについて知る機会もなければ、考える機会もありませんでした。それはとても不自然なことです。
研修で著作権の話を聞いた時に、冷や汗が止まらず背筋が凍りました。
CDのコピーや楽譜の改変…とんでもないことをしてしまったのだという気持ちで、音楽が好きで、大好きで関わってきたのに、音楽を作る人や演奏する人達に対して大変失礼なことをしていたのだと思いました。
この嫌な気持ちを他の人にしてほしくない。特に子どもにしてほしくないという気持ちは強いです。
今は学校で習う事ができます。学習指導要領に「知的財産権」や「著作権」について掲載されたからです。そのためには教員の学びが先決です。これが「教員が著作権を知るべき理由」です。
学校の中と外で著作権の扱いが違う
著作物の扱いは、学校の中と外では違います。
教員の仕事とプライベートとを気をつければいいかというと、それだけではありません。
教員が学校でしていることを、子どもたちが学校外でマネをすると違法になってしまいます。
例えば、
✓授業の課題として制作する動画に音楽を入れるのはよいですが、学校外で作った動画に既存の音楽を入れるのはNGです。
教員の学校内外の違いも同様です。
✓校内の部活動ではホルンをテナーサックスにしたりリピートをなくしたりすることができますが、学校外のコンクールでは作者に許可を得ないと失格になるかもしれません。
このように、著作権法では学校の例外について書かれている「第35条」があり、あくまで学校・授業の中のみです。第35条については他の動画「教員のための著作権解説】著作権法 第35条って何?」でも説明しています。全124条ある著作権法のうち教員が知って欲しい内容です。子どもと自分を守るために、ぜひご覧ください。
子ども・教員初任者はすでに著作権を学んでいる
2020年度から小中高と段階的に完全実施された学習指導要領。「知的財産権」「著作権」の内容が校種や教科をまたいで掲載されています。
小学校では音楽
中学校では音楽、美術、技術・家庭
高校では芸術の音楽、美術、工芸、書道と情報Ⅰ。
さらに全校種の国語にも引用や出典の考え方が載っています。
子どもたちと関係する教科の教員は著作権について学びます。学習指導要領にあるということは、もちろん教科書にも、そして教員採用試験にも出ています。最近では大学入学共通テストの現代社会でも出題されました。
つまり、小学生から大学生、教員の初任者は著作権について知っているということです。
怖いのは、この範囲に入らない先生方と保護者です。
保護者はオンライン授業(特に行事配信)の際にカギになります。行事配信をする際には、保護者が著作権について理解して協力することが条件となっています。
子どもたちが学んでいく中で大人が取り残されないよう、著作権の基本を学びましょう。
オンライン授業に著作権の知識は不可欠
小中学生1人1台端末のGIGAスクールが始まり、対面でもオンラインを使った授業や学校と家とをつなぐオンライン授業なども進みつつあります。
学校で使うオンラインでの著作物の扱いについて、2021年度から新たな動きが出てきています。オンラインで著作物を定額で使う「授業目的公衆送信補償金」です。
1人あたり、毎年、小学生は120円・中学生は180円・高校生は420円が学校設置者から授業目的公衆送信補償金等管理協会=SARTRAS(サートラス)に支払われています。これによって、オンライン上で著作物をやりとりできるのです。
支払を知らずに「学校だから、今まで紙をコピーして配付していたのと同じように、オンラインでも無料・無許可で使える」と勘違いは欲しくないですし、せっかく支払っているならば定額ですからたくさん使いましょうと申し上げたいです。
知っていれば使い方も考え方も変わります。これが教員が知るべき理由です。
まとめ:【学校と著作権】なぜ教員が著作権を知る必要があるのかを解説します
今日は「教員が著作権を知るべき理由」について話しました。
一部の担当の先生・興味がある先生だけが知っていればいいのではない!ということがおわかりいただけたと思います。
著作権法は全124条。全部知る必要はもちろんありません。
そのうち学校に関わるたった1つ「第35条」についてまず知りましょう。1つ知ると周りも気になったり、応用して考えられたりします。
「子どもの逮捕者を2度と出さない」という信念で発信している学校著作権は、教員の逮捕者を出さないためでもあります。
『原口 直の学校著作権ナビ』では、学校の現場目線・教員にわかりやすい言葉を使って、事例を紹介しています。ぜひご覧ください。
また、学校向けの研修講演を行っています。現在は教育委員会からの講演依頼もいただいています。その学校や自治体の実態に合わせて、リクエストに応じて内容をカスタムしています。
初めましての方も大歓迎です。ぜひお問い合わせください。
記事の内容は動画と同じです。
動画「【学校と著作権】なぜ教員は著作権を学ぶ必要があるのでしょうか?」も是非ご覧ください。
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