今回は教育実習シリーズとして、声楽専攻の学生の皆さんに向けたアドバイスをお届けします。
声楽専攻ならではの特徴を踏まえて、実習に向けた準備を進めてください。
合唱指導におけるビブラートの扱いに注意
声楽専攻の学生にとって、合唱や歌唱は得意分野であり、意欲的に取り組む方が多いでしょう。力や技術を発揮することは素晴らしいことですが、注意すべき点があります。それが「ビブラート」です。
普段の独唱ではビブラートを付けて歌うことが多いと思いますが、教育実習の現場、特に中学生や高校生にとっては、ビブラートが指導上の障害になる場合があります。私自身も声楽専攻でしたが、あえてビブラートをつけずに歌う練習をしていました。つい普段の歌い方でビブラートが出てしまいがちですが、それをすべて排除して歌えるよう練習しておくと良いでしょう。
ビブラートは使い方次第です。初期段階の合唱指導では音が取りづらくなる弊害があり、純正律を目指す高度な合唱では、ビブラートは好ましくない場合もあります。独唱の延長線上で授業を展開するのではなく、授業の中で求められること、生徒が何を必要としているかをきちんと考え、模範演奏をしてください。
他の領域にも積極的にチャレンジを
二つ目のアドバイスは、他の音楽領域にも積極的にチャレンジすることです。声楽専攻であるがゆえに、歌唱に偏りがちですが、器楽・創作・鑑賞といった他の領域にも目を向けて、授業をバランスよく構成することが重要です。
自信のある歌唱領域をあえて外し、それ以外の領域を授業で扱うという挑戦も良いでしょう。4領域すべてをバランスよく扱えるように意識して、教育実習に臨んでください。
生徒の楽譜の見え方を理解する
三つ目のポイントは「楽譜の見え方」に関する理解です。私たち音楽の専門家は、旋律・リズム・強弱記号など、楽譜から多様な情報を読み取って演奏します。しかし、生徒にとってはその見え方が異なる場合があります。
例えば、生徒は、時に楽譜を見て歌うといっても、実際には歌詞だけを見ていることがあります。歌詞だけで旋律やリズムを歌えてしまっている場合もあり、私たちと同じ情報を同じタイミングで得ているとは限りません。
この違いを理解していないと、指導の内容や声かけにずれが生じることがあります。生徒が楽譜を見ているからといって、自分たちと同じ認識であると思い込まないように注意しましょう。
まとめ:専攻の力を教育の場で活かすために
今回は、声楽専攻の学生の皆さんに向けて、教育実習に役立つ3つの重要なポイントをお話ししました。これまで培ってきた声楽の技術や努力は、実習の現場で大いに役立つはずです。
模範演奏をした際に生徒から「オーッ」という声が上がったり、拍手をもらったりする瞬間は、非常に嬉しいものです。自分の専攻を活かしつつも、教育現場に合った指導を意識し、実りある実習となるよう準備を整えてください。
この記事は動画「【教員を目指す人へ】声楽専攻の教育実習生へのアドバイス:合唱・授業構成・楽譜の見方を押さえよう」をもとに作成しました。
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