「アウトリーチを効果的に使いたいけれど、どうすればいいかわからない…」
「外部講師を呼ぶ際の注意点や、具体的な進め方が知りたい」
このような悩みを持つ音楽の先生方へ。この記事では、外部から講師を招き、専門的な指導や演奏鑑賞を行う「アウトリーチ」について、その活用方法を解説します。
芸術鑑賞教室や和楽器の指導などで用いられるアウトリーチは、子どもたちにとって貴重な体験となる一方で、担当教員には入念な準備が求められます。
この記事では、アウトリーチの依頼先の探し方から、当日の準備、そして次年度につながるフォローアップまで、具体的なノウハウを3つのステップでご紹介します。この記事を読めば、アウトリーチを円滑に進め、教育効果を最大化するためのポイントが分かります。
アウトリーチの依頼先、どう探す?多様な探し方を紹介
アウトリーチを実施するにあたり、最初のステップは外部講師や団体を探すことです。探し方にはいくつかの方法がありますので、ご自身の状況に合わせて活用してみてください。
斡旋団体や専門団体に問い合わせる
芸術鑑賞教室などを斡旋している団体は数多く存在します。一つの団体で多様なジャンルの音楽や芸能を扱っている場合もあれば、特定の分野に特化している団体もあります。
- 郵送物や電話営業: 学校には多くの団体から案内が届くため、何もしなくても資料が集まることがあります。
- ウェブ検索: こちらから探す場合は、「芸術鑑賞教室」などのキーワードで検索すると、様々な団体や演目が見つかります。
口コミを活用する
実際に体験した人の声は、非常に参考になります。
- 他校の先生からの口コミ: 他校の先生に、過去に依頼した団体の内容や評判を聞くことは、非常に有効な情報収集の手段です。
- 校内の先生からの口コミ: 異動がある学校では、先生方が過去に様々な芸術鑑賞教室を経験していることがあります。「あの学校で見たあれが良かった」「何年前に見たこの内容が良かった」といった校内での口コミは、とても貴重な情報源です。
知り合いのツテをたどる
自分や他の先生の知り合いに、芸術鑑賞教室を斡旋していたり、演奏や指導ができたりする方がいる場合があります。こうした人脈をたどるのも一つの方法です。
市や区からの紹介・提携
自治体が斡旋してくれるケースもあります。例えば、東京都のある区では、和楽器の講師を区から紹介してもらえる制度がありました。このように、自治体と特定の団体が提携している場合があるため、お住まいの市区町村の制度を確認し、有効に活用しましょう。
保護者からの情報
保護者自身やその知り合い、あるいは子どもの兄弟が通う別の学校で見た演目の評判など、保護者からの口コミも大事な情報源となります。
講師を気持ちよく迎えるための「準備」のポイント
依頼先が決まったら、次は準備です。外部の先生を招く上で、事前の段取りは非常に重要です。特に和楽器や伝統芸能の講師を呼ぶ際は、細かな配慮が求められることがあります。
講師からの要望への対応
講師の先生から、環境や備品、生徒の服装などについて、事前に細かな指定を受ける場合があります。
- 環境整備: 「ほこりやちりがないように」「楽器をこのように配置しておいてほしい」など。
- 備品準備: 「机は何脚、椅子を何脚このように配置してほしい」など。
- 服装の指定: 「生徒はこのような服装で来てほしい」など。
講師の先生が最高のパフォーマンスを発揮できるよう環境を整えることが、アウトリーチ成功の鍵です。
講師の迎え方・送り方の段取り
当日の動きを事前に打ち合わせておくことも大切です。
- 来校時間と待機場所: 何時に来ていただくか、校長室にお通しするのかなどを確認します。
- 来校人数: 何名でいらっしゃるのかを事前に把握し、校長先生のスケジュール調整や、お茶出しの準備などを進めておきます。
予算の確認(お茶菓子など)
講習や演目の合間に、お茶菓子などが必要になる場合があります。どこから、どの予算で支出するのかを、あらかじめ管理職や事務方と打ち合わせしておくことが重要です。
授業内容の事前共有
講師の先生方には、対象となる児童・生徒の学習状況や、今回の授業が単元の中でどのような位置づけにあるのかを伝える必要があります。事前に打ち合わせの時間が取れれば理想的ですが、当日すぐに授業に入る場合も想定し、以下のような準備をしておくとスムーズです。
- 内容をまとめたプリントを1枚用意しておく。
- あらかじめメールなどで連絡しておく。
写真使用の許可取り
学校だよりや学級だより、ウェブサイトなどで活動の様子を発信する際に、写真を使用しても良いかどうかの許可を取っておくことも忘れてはなりません。著作権に関わる重要な確認事項です。

次年度につなげるための丁寧な「フォロー」
授業や公演が終わった後のフォローは、次年度以降の関係性にも影響する重要なプロセスです。
お礼状や生徒の感想を送る
まずは音楽科としてお礼の手紙を送りましょう。生徒たちの感想文を添えると、講師の先生方にとって大きな励みとなり、大変喜ばれます。
活動報告の共有
もし学校だよりや学級だよりで活動の様子を紹介した場合、その掲載物を同封すると、講師の方にも喜んでいただけるでしょう。
来年度の相談
次年度の依頼についても、この段階で軽く触れておくとスムーズです。
- 実施の意向: 来年度も依頼する可能性があるのか、未定なのか。
- 具体的な情報: 実施する場合の時期、対象学年、人数など。
もし来年度の実施が難しい場合は、「まだ決まっていない」「担当が変わるかもしれない」といった理由を伝え、「改めてこちらからご連絡します」と伝えるなど、丁寧な対応を心がけましょう。
まとめ:アウトリーチを有効活用し、子どもたちに良い経験を
今回は、学校教育におけるアウトリーチについて、探し方・準備・フォローの3つの観点から解説しました。
外部の専門家に来ていただくことは、教員自身にとっても勉強になり、自分の専門外の指導を補ってもらえるという大きなメリットがあります。準備に手間がかかり、様々な面に気を配る必要はありますが、それ以上に得られるものは大きく、何よりも子どもたちにとって非常に良い経験となります。
日々の業務は多忙かと思いますが、アウトリーチを有効活用することで、子どもたちの心に残る特別な音楽体験を届けられます。ぜひ、この記事を参考に、次の一歩を踏み出してみてください。
この記事は動画「「芸術鑑賞教室、どうすれば…?」担当の先生必見!アウトリーチ準備の完全ガイド」をもとに作成しました。
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