【声を出さない音楽の授業?】自然音・環境音を取り入れた授業実践例

【声を出さない音楽の授業?】自然音・環境音を取り入れた授業実践例 一歩先ゆく音楽教育(授業編)
一歩先ゆく音楽教育(授業編)
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皆さん、こんにちは。一歩先ゆく音楽教育、原口直です。

現在は学校での教育研究の経験と、未来につながる新しい学びについて情報発信しています。
このYouTubeチャンネルでは学び続ける先生と学生さんのために、学校で役立つ情報と提案を発信しています。

 

学習指導要領の中には自然音・環境音という言葉が出てきます。

実際に音楽の教科書には「静けさと日本の音」というページがあって、静けさの中にある自然音や環境音に耳を傾けようというページもあります。自然音や環境音も授業に取り入れる例は合唱などに比べてとても少なくて実践があまり発表されていませんが、今こそ自然音や環境音を授業でやってみてはいかがでしょうか。

 

今日は私がやっていた実際の授業を紹介します。

この記事は、次のようなことを知りたい方に是非ご覧頂きたい内容です。

▶外でできる授業を知りたいという方
▶声などを出せなくてもできる授業を知りたいという方
▶自然音や環境を授業に取り入れてみたいという方という方

 

この動画のほかに、

音楽のオンライン授業実践例《教材:春 第1楽章》
自然音や環境音からつながる定番の《春》の鑑賞、その実践を話している動画。
【ピアノ・楽譜・音楽室不要の歌唱授業】屋外で歌うという音楽の授業実践を紹介します
それから外で歌おうという授業実践も他の動画で喋っています。私が西洋音楽教育に疑問や違和感を持って外で歌うという授業に発展させたという話をしています。そちらもあわせてご参照ください。

 

 

 

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自然音・環境音の授業内容(導入と展開)

授業を行っていたのは中学校1年生6月だいたい2時間くらいの扱い。

導入

まず音とは何かというところから話を始めます。
授業中に私がバーッとしゃべっている中で、私がもし黙ったらここは無音になるだろうかというところで生徒から意見を聞きます。

 

授業の導入の作り方は「始めの5分が左右する!生徒を惹きつける授業の導入の作り方」の動画で詳しく解説しました。

 

展開(ワークの内容)

実際に音を聞くというところをやります。
この内容は自然音や環境音の研究者マリー・シェーファーの『サウンド・エデュケーション』という本の中に出てくるワークをやっています。

 

Bitly

 

まずは生徒1人1枚紙を配って、横向きに置かせて真ん中に丸を書かせます。日の丸くらいの大きさの丸です。

そして、3分黙るので自分が聞こえた音、それをその紙に書くように指示をします。
丸の中は自分が発した音、そして聞こえてきた音の方向や自分からの距離、何回聞こえたかどんな音がしたか。自分がどんな音を発したかということをそこに書かせます。

3分シーンとなるととても長い時間のように感じられますが、みんなたくさん書いてくれます。
周りの音でいうと、誰から鼻をすすった音とか道にバスが通った音がしたとか、ヘリコプターが通った音がしたとか。
自分が発した音だと、紙に文字を書くその音、それから自分がくしゃみをしてしまったとかそういった事をたくさん書いてくれます。

全部書き終わったらそれを3つに分類します。
人が発する音:Human、自然が発する音:Nature、機械が発した音:Technology、頭文字を取ってHとNとTこの3つの音に分類かせます。この分類の過程では3つに分類できないという壁にぶち当たったり、複合的…例えばNとHの音だとかそういうことに気づいて学びを深めていきます。

これができたら今度は外に出ます。
私の学校には中庭がありましたので、中庭に出て同じような行動をします。3分間黙って音を聞く。その聞こえた方向や音の種類。それから自分からの距離などを書かせます。

教室に戻ってきたらそれを3つに分類させて、「何の音が多かったか」とか「どんな音に魅力を感じたか」とか「一番大きい音は何だったか」「一番弱い音は何だったか」「一回しか聞こえなかった音は」「何か継続して聞こえた音は何か」「一番美しいと思った音は何か」「自分しか聞こえない音は何か」などといろいろ深めていきます。

その中で自分が気に入った音を一つ見つけて、発表させるという授業の展開でした。

 

音楽の授業で活用するワークシートを作るときの3つのコツについて「音楽のワークシートの作り方」で解説しています。

 

 

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自然音・環境音の授業を6月に行う理由

6月は梅雨なので雨という要素が入るのです。
屋根に雨が叩きつける音や葉っぱに落ちる音。また雨の降り方などによっても水の音が全然違うので、私は6月にやることにこだわっていました。

このように自然音や環境音に興味を持たせて、鳥の音があったというふうに発表してくれる子が必ずいますので、その鳥の声から《春》の鑑賞に持って行きました。
作曲者のヴィヴァルディは春の音を聴いてこの曲を作ろうと思ったんだとか、小鳥の鳴き声をこのような旋律やリズムで表しているんだ。そういうところに結びつけることができるのです。

 

趣味を持つことは、ワークライフバランスを保つためにはとても大事なことです。その上で、自分の趣味を広げると教材に結び付くこともあるかもしれないという話を「私の趣味(一見すると無関係の趣味が音楽教育の教材につながるという話)」で紹介しています。

 

 

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まとめ:【声を出さない音楽の授業?】自然音・環境音を取り入れた授業実践例

今日は自然音・環境音の授業への取り入れ方、実践をお話ししました。

自然音・環境音はとても身近な教材です。また他の教材と組み合わせたり、他の活動と組み合わせることもとても簡単にできます。自然音や環境音にまず先生が興味を持って、そこから教材に落とし込んでいくということ是非してみてください。

 

ブログ記事の内容は動画と同じです。
動画「【声を出さない音楽の授業?】自然音・環境音を取り入れた授業実践例」も是非ご覧ください。

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この記事を書いた人
原口直

元東京学芸大こども未来研究所教育支援フェロー

東京学芸大学教育学部卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。
東京都内の公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校において、教育実習生の指導・進路指導・新しい学習内容「生活と社会に関わる音楽の授業実践」を重ねる。
会社員時代の経験を活かした知的財産権教育の研究・発表実績多数。

2020年春より教室からYouTube動画・ウェブサイト・講演にフィールドを移し、教員や教育実習生が学ぶためのコンテンツを発信している。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)

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