Nコン ミュージックビデオ部門に参加するときの著作権・著作隣接権の注意点

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Nコンのミュージックビデオ部門は、歌うこと以外のかたちで合唱に関わりたい生徒が活躍できる、新しいチャンスです。この記事では、MV部門に参加するときに顧問の先生が生徒に伝えておくべき著作権・著作隣接権の注意点を4つに整理してお伝えします。

 

 

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Nコン ミュージックビデオ部門とは

NコンのミュージックビデオMV部門とは、合唱の課題曲に合わせて学校の生徒が制作したミュージックビデオを応募・公開する部門です。歌唱だけでなく、動画の絵コンテ、演出、スマートフォンでの撮影・編集など、様々な得意を持つ生徒が関われることが大きな特徴です。

ただしこの部門は、動画をインターネット上で一般に公開することが前提となるため、著作権の取り扱いが通常の授業や合唱活動とは大きく異なります。

Nコン2026
NHK全国学校音楽コンクールの公式ホームページです。

 

 

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①合唱の魅力を伝える新しいチャンスになる

ポイントは、参加できる生徒の幅が広がることです。これまで「歌が苦手だから合唱部は…」と感じていた生徒も、動画の絵コンテを描く、演出のアイデアを出す、スマートフォンで映像を編集するといった役割で、生き生きと参加できます。

こうした「歌以外の得意」を持つ生徒が、MV制作をきっかけに合唱部に興味を持ち始めるケースは実際に多いのではないでしょうか。部員集めや、クラスの結束力を高めることにもつながるでしょう。

 

 

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②授業の例外ルール(著作権法第35条)はコンクールには使えない

重要なのは、著作権法第35条の例外は「授業の範囲」に限られるという点です。

著作権法の基本的な考え方は「作った人(著作権者)に許可を取る」ことです。しかし学校現場では、授業の過程での利用であれば許可なく著作物を使えるという例外規定(著作権法第35条)があります。この条文により、授業でCDの音楽を使ったり、オンライン授業でGoogle Classroomやロイロノートにアップしたりすることができるのはこのためです。

しかしここで大切なのは、第35条の例外が認められるのは「教員と生徒の間」という授業の範囲に限られるという点です。コンクールへの応募、さらにNHKのウェブサイトなどで一般に公開される行為は、この範囲を超えています。したがって第35条は適用されず、通常のルールに則った正式な権利処理が必要になります。

▶ 動画では3:11〜で著作権法第35条の範囲について詳しく解説しています

 

▼著作権法35条など、学校での著作権の基本についてはこちら

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③著作隣接権とは何か——音源は必ず自分たちで用意する

著作権とよく似た「著作隣接権」についても、しっかり理解しておきましょう。

著作権は、曲を作った作詞者・作曲者が持つ権利です。一方、著作隣接権は、その曲を「伝える人」——歌手・演奏家・レコード会社——が持つ権利です。「作った人が著作権、伝える人が著作隣接権」と覚えておくと分かりやすいでしょう。

問題になるのは、JASRACなどで著作権の許諾を得たとしても、市販CDの伴奏音源やインターネット上のカラオケ音源をそのまま動画のBGMに使ってしまうと、著作隣接権の侵害にあたる可能性があるという点です。レコード会社や演奏者一人ひとりから個別に許可を取ることは、現実的にきわめて困難です。

そのためNコンの規約でも、動画で使用できる音源は「自分たちが歌った歌声」と「自分たちが新しく演奏・録音した伴奏」のみと定められています。この規定の背景にあるのが、この著作隣接権の問題です。動画に使用するすべての音源は、自分たちで新しく演奏・録音したものを使うようにしましょう。

▶ 動画では6:14〜で著作隣接権について具体的な例を挙げながら解説しています

 

 

④生徒が撮影・編集するときに伝えておくこと

生徒の自主的な制作活動はとても素晴らしいことです。しかし「作ってみて」と投げかける前に、いくつかの注意点を事前に共有しておきましょう。出来上がってから修正・削除することは難しいですし、時間をかけて制作した生徒にとっても辛い経験になりかねません。

 

他人の著作物を画面に映さない

アニメキャラクターのぬいぐるみやポスター、有名ブランドのロゴ、商業音楽がBGMとして流れている状態での撮影は、それだけで権利侵害にあたる可能性があります。できるだけシンプルな背景で撮影するよう伝えてください。

 

撮影場所の許可を取る

公園や街中などでロケ撮影をする場合、必ずその場所の管理者に事前に許可を取るよう指導してください。また一般の方への気配りも、大切なマナーです。

 

インターネット公開の責任を教える

今回の動画はNHKの公式ウェブサイトなど、全国に広く公開される場で公表されます。内輪のSNS投稿とは異なる「責任感」と「当事者としての意識」を、撮影前に生徒全員で共有することが大切です。映った生徒も、撮った生徒も守ることにつながります。

 

保護者からの肖像権・プライバシー同意書を取得する

生徒の顔が映る動画をインターネットで公開する際は、出演する生徒全員の保護者から、公開を前提とした書面での肖像権・プライバシーの同意書を事前に取得してください。学校外でのロケ撮影では、背景に映り込んだ一般の方の顔や車のナンバープレートについても、撮り直し・カット・モザイク処理などの配慮を徹底してください。

 

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まとめ——ルールを知ることが、生徒の自由な発想を守る

Nコンのミュージックビデオ部門は、合唱活動の可能性を広げるすばらしい機会です。著作権法・第35条・著作隣接権と、少し難しく感じる部分もあるかもしれません。しかし、こうしたルールを最初にしっかりと整えることこそが、生徒たちが安心して自由に、最高のアイデアを発揮できる舞台を用意することにつながるのです。

ぜひNコンの規約を一緒に確認しながら、子どもたちのキラキラした感性に寄り添う形で、新しい合唱の表現に挑戦してみてください。

 

 

よくある質問

Q. NコンMV部門に応募する際、授業で使っていた音楽素材をそのまま動画に使えますか?
A. 使えません。授業内での利用を認める著作権法第35条は、コンクールへの応募や一般公開には適用されません。動画に使用するすべての音源は、自分たちで新たに演奏・録音したものを用意する必要があります。

Q. JASRACに申請すれば市販CDの音源を動画に使えますか?
A. JASRACへの申請は作詞者・作曲者(著作権者)への許諾です。それとは別に、レコード会社・演奏者が持つ著作隣接権の処理も必要になります。著作隣接権者への個別許諾は現実的に難しいため、自分たちで録音した音源を使うことが求められています。

Q. 生徒が撮影した動画に、街で聞こえていた音楽が入ってしまいました。そのまま使えますか?
A. 著作隣接権・著作権の双方で問題になる可能性があります。編集の段階でその部分をカット・無音処理するか、撮り直すことをお勧めします。

Q. 公園でロケ撮影しても問題ありませんか?
A. 必ず事前に公園の管理者から許可を取ってください。また、一般の方の顔や車のナンバープレートが映り込まないよう、撮影アングルへの配慮も大切です。


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本記事は著作権法の一般的な考え方をもとに解説しています。最新のNコン規約・応募要項については、NHK全国学校音楽コンクール公式サイトでご確認ください。

 

この記事は、動画「Nコン ミュージックビデオ部門の参加方法と著作権の注意点」をもとに作成しました。

この記事を書いた人
原口直

東京学芸大学 附属学校図書館運営専門委員会 著作権アドバイザー/元・東京学芸大こども未来研究所 教育支援フェロー

東京学芸大学教育学部卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。
東京都公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校で、教育実習生の指導、進路指導、「生活と社会に関わる音楽」分野の授業実践に取り組む。
会社員時代の経験を活かし、知的財産権教育に関する研究・発表も多数行う。

2020年春より、教室の外へとフィールドを広げ、YouTube・ウェブサイト・講演活動を通して、教員や教育実習生に向けた著作権教育コンテンツを発信中。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)

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