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著作権の落とし穴!Nコン2024に参加する教員が今すぐ知るべきこと

一歩先ゆく音楽教育(授業準備編)
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今年もこの季節がやってきました、NHK全国音楽学校コンクール(Nコン)
2024年版のNコンに向けて、4月より参加校の募集が開始されました。

このコンクールはただの音楽競技会にとどまらず、教育的な意義も大いに含まれているため、参加を検討している皆さんも多いでしょう。私自身も青春の全てを捧げたと言っても過言ではありません。

今回は、Nコン参加に際して知っておくべき著作権に関するルールとその根拠についてピックアップして詳しく解説します。

 

 

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参加申し込みと著作権に関する注意点

Nコンに初めて参加される方や、しばらく参加されていない方もいるかと思いますが、数年の間に変更された参加規定には特に注意が必要です。
ここでは、参加規定の中から、著作権に関する重要な変更点に焦点を当て、その理解を深めていただきたいと思います。

まず、Nコン2024の参加申し込みページにアクセスしてください。
ここではコンクールの流れと参加方法が説明されており、申し込みはウェブページからまたは手書きで行い、最終的には郵送をもって完了します。申し込み手続きを進める中で、「Nコン2024参加のご案内」に目を通し、著作権に関する情報には特に注意を払ってください。

「1参加の規定とお願い」の中の「5. 演奏曲目」規定において重要なのは、「審査は提出された楽譜で行われる」というルールです。

自由曲を部分的に省略したり、移調や転調を含む改変を行う場合は、著作者(作詞・作曲・編曲者など)の許諾を事前に得る必要があります。また、楽譜提出時には「楽譜の許諾に関する報告書」も一緒に提出してください。

さらに、「1参加の規定とお願い」の中の「7. 映像・音声の利用」規定には、コンクールの演奏だけでなく、会場での客席の様子やインタビューも含めたすべての映像と音声の利用ルールについて記載があります。

広報物や出版物、CD制作に際して、コンクールの演奏だけでなく客席や会場内での様子、インタビューなども含め、すべての音声・映像記録の使用には事前の許諾が必要とされます。これには静止画や動画に対する著作権だけでなく、撮られた人の肖像権も含まれるため、プライバシー権やパブリシティ権の尊重も求められます。
参加申し込みをもって、これらの使用を許可したものとみなされますので、先生方はもちろんのこと子どもたち、(そして子どもたちの保護者)への確認が必要です。

 

 

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演奏曲目と著作権:自由曲と課題曲の扱い

Nコン2024では、演奏される曲目に関しても著作権の遵守が求められます。特に自由曲の選定と演奏には注意が必要です。自由曲を選ぶ際には、曲の著作権の状況を正確に把握し、必要なに応じて著作者の許可を得ることが不可欠です。

 

自由曲の改変と著作権の許諾

自由曲に改変を加える場合、例えば部分的に省略したり、曲を移調や転調するなどの変更をする場合、それには著作権法に従い、事前に作詞者、作曲者、編曲者から許可を得る必要があります。

改変を行う際は、その許可を示す「楽譜の許諾に関する報告書」を提出してください。
この報告書には、どのような改変を行ったかと、それに対する著作権者の許可が記載されている必要があります。

この手続きは非常に重要で、無許可での改変は著作権侵害と見なされ、コンクールの審査から除外される可能性があります。自由曲の選択と改変には慎重かつ適切に準備を行ってください。

 

課題曲の取り扱い

課題曲の場合、移調などの改変を禁じられています。

 

映像と音声の著作権

Nコンでは、演奏だけでなく、客席での様子や会場内でのインタビューなども映像や音声として記録されることがあります。
これらの映像や音声の利用には、事前の許諾が必要です。コンクールへの申し込みをもって、参加者はこれらの音声・映像記録及びその利用の許諾を与えたものとします。

映像や写真には著作権が存在し、撮られた人には肖像権があります。
肖像権は、プライバシー権やパブリシティ権としても知られており、個人が勝手に撮影されたり、映像が勝手に使用されることを防ぎます。

NHKコンクールの参加申し込みを通じて、これらの権利を許諾しているとされるため、教員や保護者はこの点を生徒や保護者と十分に確認し、了解を得ることが必要です。

 

自由曲の著作権調査方法

自由曲の著作権状況を調べる方法についてもお話しします。これはとても大切ですので、注意して慎重に行ってください。

音楽著作権管理団体、例えばJASRAC(ジャスラック)Nextone(ネクストーン)のデータベースを利用して、選んだ楽曲が管理されているかを確認します。また、その曲が放送やインターネット配信で使われることについて許可が出ているかも確認する必要があります。

Nコン2024のウェブサイトには「自由曲の著作権の調べ方」というページがありますので、そこに書かれている手順に従ってください。具体的な例も掲載されていますので、それを参考にすることができます。この手続きを通じて、自分たちが選んだ曲を安心して使うことができます。
「パプリカ」のように、放送と配信の管理が異なる曲については特に注意が必要です。

自分の学校で歌いたい自由曲をJASRACやネクストーンで検索し、必要な許可の要否を確認してから申し込みを進めてください。

 

 

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楽譜の著作権について

楽譜に関しても著作権の遵守が求められます。特に、楽譜の改変を行う場合、その内容には厳格なルールがあります。
楽譜の部分的省略、移調、転調、楽器の追加や変更、楽譜上にない手拍子や足踏みの追加も全て改変に含まれます。これらの改変を行う際には、著作者全員の許諾を得る必要があります。

改変を行う場合は、「楽譜の許諾に関する報告書」を提出することが必要です。
この報告書は、改変の内容とそれに対する著作権者からの許可を示す重要な文書です。無許可で改変を行った団体は審査対象外となるため、許可を得る手続きを早めに適切に行うことが重要です。

さらに、楽譜のコピーについても著作権法で原則として禁止されています。
楽譜の複製は、学校では「授業の場合に限り」最小限の範囲内でのみ許されています。しかし、「授業」ではありませんので、Nコン参加に当たってコピーする際には原則通り著作権者の許諾が必要です。この点も注意が必要で、審査対象外にならないよう、正しく手続きを行ってください。

 

 

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まとめ:著作権の重要性とNコンでの適用

Nコンへの参加を検討している皆さんにとって、著作権を知ることは非常に重要です。

著作権は音楽を始めとするすべての創作物に適用される知的財産権の一種で、作品が生み出された瞬間から自動的に発生します。Nコンでは、楽譜の使用、演奏曲の選定、映像と音声の記録と利用に至るまで、すべての段階で著作権のルールが厳格に適用されます。

著作権法には多くの条項がありますが、特に重要なのは、「著作物を使う際、増やす際、または変える際には、原則として著作者の許諾が必要である」という点です。
例外として、学校教育の場での許諾不要での使用が許される場合もあります(著作権法35条)が、Nコンでは原則に従って著作者の許諾を得ることが必要となります。

 

学校での著作権の扱いを学ぶ前に、まず著作権の原則を知りましょう。「学校における著作権入門(学校でコピーが許される理由とは)」の動画で解説しています。

 

このため、著作権を知ることは、コンクールに参加するためだけでなく、普段の学校での授業や学級経営においても重要です。

YouTube動画「著作権の落とし穴!Nコン2024に参加する教員が今すぐ知るべきこと」では、さらに詳しくNコン申込み方法を解説しています。あわせてご覧ください。

 

学校での著作権については、以下のサイト・動画もご覧ください。現場の先生方に寄り添うことを意識しながら、著作権について分かりやすく解説しています。
ウェブサイト「原口直の学校著作権ナビ」
YouTubeチャンネル「原口直の学校著作権ナビ」
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この記事を書いた人
原口直

東京学芸大こども未来研究所教育支援フェロー/公立中学校音楽科教員

東京学芸大学教育学部卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。
東京都内の公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校において、教育実習生の指導・進路指導・新しい学習内容「生活と社会に関わる音楽の授業実践」を重ねる。
会社員時代の経験を活かした知的財産権教育の研究・発表実績多数。

2020年春より教室からYouTube動画・ウェブサイト・講演にフィールドを移し、教員や教育実習生が学ぶためのコンテンツを発信している。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)

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