10分で理解する音楽科の和楽器指導3つのポイント【入手方法・教材探し・楽器管理】

10分で理解する音楽科の和楽器指導3つのポイント【入手方法・教材探し・楽器管理】 一歩先ゆく音楽教育(授業準備編)
一歩先ゆく音楽教育(授業準備編)
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皆さん、こんにちは。一歩先ゆく音楽教育、原口直です。

現在は学校での教育研究の経験と、未来につながる新しい学びについて情報発信しています。
このYouTubeチャンネルでは学び続ける先生と学生さんのために、学校で役立つ情報と提案を発信しています。

 

今日は和楽器基礎の基礎についてお話をします。

和楽器は学習指導要領で扱うように記載されています。
しかしながら教員自身が西洋音楽の知識や技能…ピアノや五線譜、ドレミといった音楽の知識を持っているということが多いので、和楽器の指導に自信がないという方、また知識が十分でないのではないかなと思っている方がいらっしゃると思います。

または和楽器の授業を受けたことがある人も、実際に楽器を叩いたり鳴らしたりではなくDVDを見て終わったということもあるのではないでしょうか。

この動画では「和楽器指導の基礎の基礎」として指導の注意点。
それからすでにある授業の改善のポイントなどの観点をお話できればと思います。
また1つの授業だけではなく、中長期的な見方をお話しします。

 

この動画のほかには「基礎の基礎シリーズ」として、

 

また和楽器については、

【音楽の新学習指導要領】中学校音楽科における和太鼓の授業実践例(和楽器指導)
和太鼓を使って三宅島・八丈島の地理や歴史を学ぶということをお話ししています。

 

これらの動画もあわせてご覧ください。

 

 

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学校への和楽器の導入方法は2つ

和楽器を手に入れるには2つ選択肢があります。
1つは買う、もう1つは借りるです。

学校で和楽器を「買う」方法

まず「買う」についてですが、和楽器は他の西洋楽器同様、とても高いです。和太鼓などは1台ン万円からン百万円するものもありますし、和太鼓だけではなくその台や備品なども必要になってきます。
大きな金額は学校の予算、1教科の1年の予算ではとても買えないものですので、中長期的な見方が必要になってきます

例えば音楽科の予算で無理なのであれば、行事に割り当てられる備品、それから自治体や学校に割り当てられる特別な予算。そういったものも視野に入れて長い目で「楽器を買う」ということを計画した方がいいです。

和楽器をどうしても買いたいというのであれば、管理職や事務の方にあらかじめ話をしておいたり、和楽器の指導をしなければならないという理由や熱意。そして「学習指導要領に和楽器を扱うことが書いてある」ということなどを力強く、根気強く話していくこと。またそれを何度も繰り返すことが大事です。

 

音楽の授業をする上で様々な教材や教具が必要になります。「音楽教員のための授業で必要な教材・教具の購入方法」の動画では、もともと学校にあるもので足りなくなった場合どうすればいいかということにポイントを抑えて話をしました。

 

学校で和楽器を「借りる」方法

もう1つの方法「借りる」についてです。私がいた東京都の区では、区で持っている和楽器がありました。和太鼓の他にもお三味線やお箏などを区で管理していました。

持ち回りで使うことができますので、きちんとスケジュールを立てて、いつの時期に何を何台必要かということを年度の初めにスケジューリングしておく必要があります。
何が何台必要かというのは、具体的な授業のビジョンも見えてなければいけませんので、何年生の何クラス、どのようなタイミングでどんな授業で行うのかというのを、始めに確認しておく必要があります

またそういった自治体の持ち物でなくても、近隣の学校が持っていたりします。
中学校になくても小学校にあったり、隣の大規模の中学校にはあるとか、そういったこともありますので、近隣の学校に「こういったものを持っていませんか」「何月ごろ使わせていただけませんか」という相談をするのもいいと思います。

 

買うのが難しければ「借りる」これ和楽器を入手する。ここからがスタートです。

 

 

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選んだ授業教材は「芸能」か「創作作品」か?

私が以前に出した「民族音楽を音楽の授業教材とする時に気をつける3つのこと」という動画もぜひ合わせてご参照ください。

 

教材に選ぶ際にはまず2つ…「芸能」か「創作作品」か。この2つがまず大きな分岐点となります。

芸能は日本各地にある和楽器を使った芸能のこと。
創作作品は和楽器を使った作曲されたものです。

この芸能か創作か。白黒はっきりと分けることは難しいです
創作作品も芸能をもとにつくられたものもあります。これは西洋音楽でも同じことが言えますね。それを踏まえて「芸能」と「創作」この2つの特徴について話します。

 

授業教材で「芸能」を扱う場合のポイント

まず「芸能」私が扱っていたのはこちらです。芸能の場合は地元へのリスペクトを忘れないようにしましょう

そのためには地元の知識…地理や歴史のことなどを話す。またはできれば現地に行ってその芸能を生で観たり、できることならば習ったり、それから現地に行って資料を集めたり、お話を伺ったり。また現地で見られなくても発表会やイベントなどで、その芸能を生で見るというのがとても重要です。

そしてこの芸能の場合は「口唱歌」これも動画「【音楽の新学習指導要領】口唱歌の解説と授業実践例」を出しておりますので、学習指導要領に新しくのった口唱歌…これが教えやすい。これが芸能の特徴です。

口唱歌を口伝するという和楽器特有の伝承方法。西洋音楽と対比できるものがありますので口唱歌や口伝を伝えるためには、和楽器・芸能はもってこいだと思います。

 

 

授業教材で「創作作品」を扱う場合のポイント

そして「創作」の作品についてです。この場合は何を目的にするかということを明確にしておきましょう

創作の作品は五線譜で西洋音楽のルールにのっとって書かれたものが多いです。その西洋式の楽譜を用いて、和楽器の何を教えたいかというのを明確にしておきましょう。
「西洋音楽の器楽合奏を和楽器バージョンにする」そこで留めてはもったいないです。ぜひ和楽器特有の文化や歴史、こういったものも取り入れてみてください。

 

創作の授業はアクティブ・ラーニングに見えがちですが注意が必要です。詳しくは「【音楽の新学習指導要領】アクティブラーニングとは?音楽の授業実践例の紹介」でお話しました。

 

和楽器の教材を探す際は「芸能」か「創作作品」か。この2つ。まず決めてスタートしてみてください。

 

 

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和楽器のメンテナンス方法

西洋楽器も同様ですが和楽器もメンテナンスが必要です。それも10年20年30年と長いスパンでメンテナンスを頭に入れておく必要があります。

 

例えば和太鼓の場合、他の学校の和太鼓を聴いたりすると皮が完全にたるんでしまって「ボヨン、ボヨン」という音しかしない太鼓があります。和太鼓は叩けば叩くほど皮は伸びてゆるんできますので、メンテナンスが必要です。

この場合2通りあって「皮を1度はがして、それを引っ張ってまた打ち付ける」という方法と「皮ごと取り替える」という方法があります。もちろん後者のほうがお値段は高いです。また楽器が拘束されてしまう時間も違ってきますので、張り替え・貼り直し。ぜひ検討してみてください。

使用頻度や保管している環境にもよりますけれども、10年たったら1回楽器屋さんに見てもらった方がいいのではないかなと思います。

 

裏のベテラン音楽科教員と言ってもいいかもしれない学校付きの楽器屋さん。どういったことをお願いできたり、してくださるのかという話を「【学校を支える人】音楽教員のための楽器屋との付き合い方」で紹介しました。

 

また和太鼓で言うとバチ。これは消耗品です。和太鼓の単元が終わったらバチを見直して、ささくれや凹みがないか確認をしましょう。

和太鼓を長持ちさせるには管理も重要です。管理場所や温度・湿度の設定。それから毛布でくるんだり、ケースがあったりする場合もありますので、太鼓屋さん・楽器屋さんに相談して管理方法も徹底しましょう。

 

メンテナンスは和楽器にとってとても大事なことですし、「買って終わり」にならないように予算を長期的に組んできちんと和楽器を管理しましょう。

 

 

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まとめ:10分で理解する音楽科の和楽器指導3つのポイント【入手方法・教材探し・楽器管理】

私は和太鼓の指導が大好きなので、和太鼓・和楽器については思い出もありますし、経験や知識も少し人よりは多いかなと思っています。
西洋音楽・声楽ももちろん大好きですけれども、この和楽器を取り入れることによって西洋音楽の良さも見えてきますし、和楽器でしかできないことも見えてきます。

和楽器の授業を怖いとか何したらいいかわからないとか敬遠せずに、ぜひいろいろな実践を知って取り組んでみてください。

 

記事の内容は動画と同じです。
動画「10分で理解する音楽科の和楽器指導3つのポイント【入手方法・教材探し・楽器管理】」も是非ご覧ください。

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この記事を書いた人
原口直

元東京学芸大こども未来研究所教育支援フェロー

東京学芸大学教育学部卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。
東京都内の公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校において、教育実習生の指導・進路指導・新しい学習内容「生活と社会に関わる音楽の授業実践」を重ねる。
会社員時代の経験を活かした知的財産権教育の研究・発表実績多数。

2020年春より教室からYouTube動画・ウェブサイト・講演にフィールドを移し、教員や教育実習生が学ぶためのコンテンツを発信している。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)

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