【配慮が必要な生徒への対応】音楽の授業における生活指導と具体的な配慮

【配慮事項】生活指導の必要な生徒への対応 生徒対応とコミュニケーション
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音楽の授業で、特別な配慮が必要な生徒への対応に、頭を悩ませていませんか?

この記事では、私の経験を元に、生活指導が必要な生徒への具体的な対応方法を3つの視点から整理してお伝えします。

ただし、ここで紹介するのはあくまで一つの例です。生徒にはそれぞれ異なる特徴や特性、事情があるため、全員に当てはまる正解はありません。一人ひとりの生徒を理解するための一助として、参考にしてください。

 

 

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大前提:行動の責任は生徒本人だけにあるのではない

まず、生活指導を考える上で最も心に留めておくべき大切なことがあります。それは、生徒のすべての行動の責任が生徒本人にあるわけではないということです。子どものせいではなく、その行動の理由は必ず他にあります。この視点を持つことが、適切な対応への第一歩となります。

生活指導が必要な生徒への対応は、その理由によって大きく3つに分けられます。

  1. 教員側でコントロールできる内容
  2. 教員側でコントロールできない内容
  3. 時間を要するがコントロールできる内容

それぞれの内容について、具体的な対応を見ていきましょう。

 

 

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教員が直接働きかける【コントロール可能なケース】

まず、教員側の働きかけでコントロールが可能なケースです。生活指導が必要な生徒は、もしかしたら特別な支援が必要な生徒かもしれないという可能性を常に頭に入れておくことが重要です。

 

特別支援が必要な生徒への対応については「【音楽の授業】特別支援が必要な生徒への配慮|具体的な対応法3選」の動画で解説しています
【配慮が必要な生徒への対応】音楽の授業における特別支援と具体的な配慮
「この子のために、どうすれば…?」シリーズ第1弾では、音楽の授業で必要な「特別支援」の基本と、具体的な配慮のポイントを解説。生徒一人ひとりに寄り添う授業づくりの、最初のヒントがここにあります。

 

指示が伝わっていない可能性

特別支援が必要な生徒の中には、以下のような特性を持つ場合があります。

  • 特定の音が苦手
  • 長時間座っていられない、その場にいられない
  • 今、自分が何をすべきか分からない

これらの特性により、先生の指示が正しく伝わっていない可能性があります。その結果、他の生徒と違う行動をとってしまっているのかもしれません。

このような場合は、特別支援の対応と同様に、その生徒が取るべき行動を具体的に、そして丁寧に話してあげることが有効です。

 

集団行動が苦手な場合

集団での活動そのものが苦手という生徒もいます。画一的な指導ではなく、その生徒に合った方法を個別に考えてあげることで、生徒は安心して授業に参加できるようになるでしょう。

 

 

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コントロールできない内容:外部要因への連携と声掛け

次に、教員が直接コントロールすることが難しいケースです。生徒が指示に従えない背景には、教員が介入し得ない理由が隠されていることがあります。

 

家庭環境などの外部要因

例えば、以下のような家庭内の問題が影響している可能性が考えられます。

  • 家庭内が不和である(夫婦喧嘩など)
  • 保護者を怖いと感じている
  • 朝食を食べておらず、空腹でイライラしている

これらは学校側だけでは解決できない問題です。そのため、担任の先生や養護教諭、スクールカウンセラーと密に連携を取る必要があります。

 

「どうしたの?」という声掛けの重要性

このような状況にいる生徒には、授業の後などに「どうしたの?」「何か嫌なことあったの?」「この間はできていたのに、今日はどうしたの?」といった、気遣う声掛けが必要です。

繰り返しになりますが、問題行動の理由は生徒本人ではなく、他に必ず存在します。その背景を理解しようと努める姿勢が大切です。

 

生徒のこと(家庭の様子)を短時間で把握するためには、持ち物を見る・身だしなみを見るという方法があります。
【明日から使える】持ち物だけで生徒の性格が9割わかる!音楽教師が教える観察テクニック3選」「【教員必見】生徒の家庭環境まで分かる?身だしなみ3つの観察ポイント
の動画をご覧ください。

 

 

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時間を要するがコントロールできる内容:信頼関係の構築

最後は、すぐには解決しないものの、時間をかけることでコントロール可能になるケースです。これには、生徒を取り巻く人間関係が大きく関わっています。

 

クラス内の友人関係

クラスという集団の中で、友人関係に何らかの問題を抱えているのかもしれません。あるいは、わざと『ダメ』と言われていることをするのは、他の生徒に良いところを見せたい、注目されたいという気持ちの表れや、クラスに好きな子がいることのアピールなのかもしれません。

 

音楽の先生との関係性

生徒の行動は、音楽の先生自身との関係に起因することもあります。生徒が先生に対して苦手意識を持っている可能性もあれば、逆に先生を強く意識している(好意や関心など)可能性も考えられます。

これらの問題は、生徒との信頼関係が解決の鍵となります。信頼関係の構築には時間や共に過ごす経験が必要であり、すぐには結果が出ないかもしれません。しかし、焦らずじっくりと向き合っていくことで、状況は改善に向かうでしょう。

 

子どもたちの「音楽が苦手・嫌い」の理由とその対処策について「音楽が嫌いな子への授業対応:プライドを守り、やる気を引き出す指導法」の動画で解説しました。

 

 

まとめ:一人ひとりに合った指導のための連携を

今回は、配慮が必要な生徒への生活指導について、3つの視点からお伝えしました。

  • コントロールできる内容:特別支援の視点から、指示の伝え方や環境を工夫する。
  • コントロールできない内容:家庭環境などの外部要因を考慮し、他職種と連携する。
  • 時間を要するがコントロールできる内容:友人関係や教員との関係性を理解し、信頼関係を築く。

何度も繰り返すようですが、生徒一人ひとりの特徴、特性、そして抱える事情は全く異なります。したがって、「こうすれば必ずうまくいく」という唯一の正解は存在しません。

この記事で紹介した視点を参考に、まずは担任の先生や養護教諭など、身近な方と生徒の情報を共有することから始めてみてください。一人ひとりの生徒に合った指導のためには、チームでの連携が不可欠です。

 

子どものことは大学・実習で学びますが、保護者のことを学ぶ場はありません。実際に保護者との関わり方について学ぶのは現場に行ってからです。「教員のための保護者対応の3つのポイント【保護者と良い関係を保つには?】」の動画で保護者対応について解説します。

 

この記事は動画「【音楽教員向け】明日からできる生活指導|配慮が必要な生徒への具体的な対応」をもとに作成しました。

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この記事を書いた人
原口直

東京学芸大学 附属学校図書館運営専門委員会 著作権アドバイザー/元・東京学芸大こども未来研究所 教育支援フェロー

東京学芸大学教育学部卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。
東京都公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校で、教育実習生の指導、進路指導、「生活と社会に関わる音楽」分野の授業実践に取り組む。
会社員時代の経験を活かし、知的財産権教育に関する研究・発表も多数行う。

2020年春より、教室の外へとフィールドを広げ、YouTube・ウェブサイト・講演活動を通して、教員や教育実習生に向けた著作権教育コンテンツを発信中。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)

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