【配慮が必要な生徒への対応】音楽の授業における特別支援と具体的な配慮

【配慮事項】特別支援が必要な生徒への音楽の授業における対応 音楽の授業力アップ
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新しい年度が始まると、学級担任の先生から「この生徒は特別な配慮が必要です」といった引き継ぎを受けることがあります。「この生徒には特別な配慮をお願いします」新年度、学級担任の先生からそう引き継ぎを受け、音楽の授業で具体的にどう対応すれば…と、不安に感じた経験はありませんか?

この記事では、音楽教員歴10年の経験から、特別な配慮が必要な生徒への対応について、音楽の授業に特化した具体的な方法をご紹介します。

なお、特別な支援が必要な児童生徒の細かい分類や特性については、多くの専門書がありますので、そちらをご参照ください。

 

 

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特徴①:大きな音や高い音が苦手な生徒

まず挙げられる特徴として、特定の音に対する苦手意識があります。

 

苦手な音の具体例

生徒によっては、以下のような音が非常に苦手な場合があります。

  • 高い音:グロッケンのような金属的な高音
  • 甲高い音:和楽器で使われるチャンチキや鐘の音
  • 大きな音:和太鼓やシンバルのような迫力のある音

これらの音を聞くと、強い不快感を示したり、耳を塞いだりすることがあります。

 

対処法:物理的な距離とツールの活用

音に敏感な生徒への配慮として、以下のような方法が考えられます。

  1. 座席の工夫 音が鳴る楽器やスピーカーから、なるべく遠い席に移動させてあげましょう。物理的に距離を取るだけで、生徒の負担を大きく軽減できる場合があります。
  2. イヤーマフや耳栓の活用 座席の配慮だけでは不十分な場合は、イヤーマフ耳栓の使用を検討します。最近では、子ども向けのイヤーマフも増えており、ライブやフェスなどで子どもの聴覚を守るために利用される機会も多いようです。

 

生徒の特性に合わせて、その子に合った方法を考え、安心して授業に参加できる環境を整えることが大切です。

 

色覚特性と聴覚過敏の生徒への配慮方法については「【配慮事項】学校での子どもの多様性(外国籍・聴覚過敏・LGBTなど)」の動画の中でも紹介しています。

 

 

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特徴②:じっとしているのが難しい生徒への関わり方

授業中、長く椅子に座っていたり、同じ場所にじっとしていたりすることが難しい「多動」の特性を持つ生徒への対応です。

 

対処法:安全の確保とエリアの指定

最も重要なのは、生徒の安全を確保しつつ、授業に参加できる環境を作ることです。

  1. 音楽室からの離脱を防ぐ もし生徒が音楽室から出てしまった場合は、必ず追いかけて音楽室内に戻すことが基本です。一人での対応が難しい場合は、ためらわずに他の先生に協力を求めましょう。
  2. 「椅子」に固執しない 「椅子に座る」という行為自体が難しい場合もあります。その際は無理強いせず、床にテープで線を引くなどして「このエリアの中にいようね」と活動範囲を区切ってあげる方法が有効です。椅子に座らなくても、音楽室にいられる安心できる場所を作ってあげましょう。

 

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特徴③:音を止められない生徒

歌や器楽の授業で、全体が静かにするべき場面、つまり音を止めるべきタイミングで、音を出すのをやめられない生徒もいます。

 

伝わりにくい言葉かけ:「静かに」では伝わらない?

このような生徒に対して、「静かに!」「やめて!」「うるさい!」といった抽象的な言葉で指導しても、効果が薄い場合があります。なぜなら、生徒自身が『次に何をすべきか』を具体的にイメージしにくいからです。

 

対処法:具体的な行動の指示

大切なのは、具体的な行動を分かりやすく伝えることです。

  • 歌唱の場合:「口を閉じてね」と声をかけたり、口を閉じている絵を見せたりします。また、事前に「この合図が出たら音を止める」というルールを決めておくのも良いでしょう。
  • 器楽の場合:「楽器を(床や机に)置いてください」と、具体的な行動を指示します。楽器を置く場所をあらかじめ決めておき、そこに戻させる習慣をつけることも有効です。

 

教員だって怒らなくていいのなら怒りたくないです。しかし、学校生活の中でどうしても怒らなければいけない場面は出てきます。教員生活で身につけた怒り方を「【先生のための生徒指導】もう感情的に怒らない!叱責を「絆」に変えるプロの技術」で紹介しました。

 

 

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まとめ:一人ひとりに合った対応を

今回は、特別な配慮が必要な子どもたちへの対応について、3つの特徴と具体的な対処法をお伝えしました。

しかし、ここで紹介したのはあくまで一例です。生徒の特性や必要な対応は、一人ひとり全く異なります。

最も大切なのは、情報を鵜呑みにするのではなく、目の前の生徒をよく観察し、その子に本当に合った対応は何かを考え、実践していくことです。この記事で紹介した視点を参考に、ぜひ先生自身の言葉と工夫で、生徒一人ひとりが安心して音楽を楽しめる環境をつくってあげてください。

 

生活指導の必要な生徒については、色々な特徴・特性があります。「【配慮事項】生活指導の必要な生徒への対応」で解説しました。ひとくくりに考えないで、一つの例として参考にしてください。

 

この記事は動画「【音楽の授業】特別支援が必要な生徒への配慮|具体的な対応法3選」をもとに作成しました。

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この記事を書いた人
原口直

東京学芸大学 附属学校図書館運営専門委員会 著作権アドバイザー/元・東京学芸大こども未来研究所 教育支援フェロー

東京学芸大学教育学部卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。
東京都公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校で、教育実習生の指導、進路指導、「生活と社会に関わる音楽」分野の授業実践に取り組む。
会社員時代の経験を活かし、知的財産権教育に関する研究・発表も多数行う。

2020年春より、教室の外へとフィールドを広げ、YouTube・ウェブサイト・講演活動を通して、教員や教育実習生に向けた著作権教育コンテンツを発信中。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)

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