「教育実習が終わったけれど、お礼状は出したほうがいいのだろうか」「書き忘れてしまったが、まずかっただろうか」——実習を終えた学生さんから、よく聞く迷いです。
この記事では、お礼状を出すか出さないかの判断、出す場合の宛先・形式・基本の構成、そして指導教員が本当に受け取りたいものまでを整理します。附属学校で50人以上の教科の教育実習生を指導してきた、元中学校音楽科教員の立場から本音でお伝えします。
教育実習のお礼状は、必ず出さなければならないものではありません。私が指導した実習生のうちお礼状を送ってくれたのは教科担当の約半数で、お礼状の有無によって実習の評価が変わることはありませんでした。ただし母校での実習や、特にお世話になったと感じた場合には、感謝を形にする一通が意味を持つこともあります。
教育実習のお礼状は出すべき?出さなくても評価は変わりません
結論から言うと、お礼状を出さなかったことで実習の評価が下がることはありません。
私が勤務していた附属学校では、教科で年20人弱の音楽科の学生、学級で年10人ぐらいの学生を受け入れていました。そのうちお礼状が届いたのは、教科を指導した学生のおよそ50%です。学級で担当した実習生からお礼状をいただいたことは、ほとんどありませんでした。
附属学校では毎年たくさんの実習生を指導します。ですから、お礼状をいただかなくても特別何かを思うことはありませんでした。正直なところ、どちらでもいいのです。
もちろん、先生によって、また教科によって考え方はさまざまです。ただ「あったからどうこう、無いからどうこう」という評価にはなりませんので、安心してください。
▶ 動画では2:43〜で詳しく解説しています
それでも出したいと思ったら:宛先は教科の指導教員へ
ポイントは、「出さなければならないから出す」のではなく、「出したいから出す」という順番です。
たとえば母校に実習へ行った場合。学校によっては教育実習生が珍しく、手厚く歓迎されたり、指導教員と濃密な時間を過ごしたりすることがあります。そうした実習で「本当にお世話になった」と感じたのなら、気持ちを形にする価値は十分にあるでしょう。
宛先に迷う場合、中学校・高校であれば教科を直接指導してくれた指導教員に出すのが基本です。学級担任の先生にも特別にお世話になったのであれば、そちらに出しても構いません。
出す・出さないは、指導教員の考え方や大学の先生の考え方によってもさまざまです。最後は自分の意思で決めていいと思います。
教育実習のお礼状の書き方:郵送が基本、定型文+自分の言葉
書く場合、形式は郵送を選んでおくのが無難です。私が受け取ったお礼状は100%郵送でした。当時は学校のメールアドレスを実習生に伝えない方針でしたので、メールで連絡を取ること自体が難しい状況だったのです。現在も学校によって事情はさまざまですので、迷ったら郵送を選んでおくと安心です。
基本の構成をおさえる
お礼状には一般的な型があります。「お礼状 テンプレート」と検索すればいくらでも出てきますので、まずは次のような流れをおさえておけば十分でしょう。
- 頭語(拝啓など)と時候の挨拶
- 実習でお世話になったことへのお礼
- 実習中の具体的なエピソード
- 実習を通して学んだこと・自分がどう変わったか
- 今後に向けての一言
- 結語(敬具など)と、日付・大学名・氏名
大切なのは、この型を埋めることそのものではありません。型はあくまで器で、中身は次に書く3〜4番だと考えてください。
定型文だけでは、もったいない
定型文を使うこと自体は問題ありません。しかし附属学校では一度に5人から6人を担当しますので、全員から同じ文面が届くと「ん?」と思ってしまいます。
せっかく出すのであれば、自分にしか書けないことを入れましょう。
- 実習中の具体的なエピソード
- 印象に残った指導や、かけてもらった言葉
- 実習を経て自分がどう変わったか、何を学んだか
自分の言葉が一行でも入っていれば、その一通は指導教員の記憶に残ります。
▶ 動画では5:12〜で詳しく解説しています
指導教員が本当に欲しいのは、その後の「現状報告」
実は、実習直後のお礼状よりも受け取りたいものがあります。それは、その後の現状報告です。
指導教員は、毎年一人ひとりに全力で向き合っています。実習生を指導しても通常の業務が軽減されるわけではありませんので、負担は決して小さくありません。それでも熱を込めて指導しているからこそ、その後の行く末が気になっているのです。
教員採用試験の結果でも、就職先でも、進学でも構いません。「教員を諦めました」「実家に帰ります」——どんな報告でもいいのです。大学を卒業して何をするのか、それだけでも知りたいと思っています。
しかし実際のところ、これまで数十名を指導してきて、現状を報告してくれたのはほんの数名です。
私自身、恩師には年賀状やメールを毎年送り続けています。ただの慣例だからではありません。自分が恩師に胸を張れる人生を送っているか、報告するに値することをやっているか。それを測る定点観測だと思っているからです。その積み重ねが、学会での発表や、公立から国立へ移る動機にもつながってきました。
毎年でなくても構いません。大学卒業のときでも、その後でも構いません。ぜひ、現状を知らせてください。
▶ 動画では6:35〜で詳しく解説しています

まとめ:一番時間をかけたいのは、授業そのもの
お礼状は、文化としてとても素晴らしいものです。しかし「気持ちを形にする」「気持ちを汲む」といったことは明文化されていないため、悩んでしまう人もいるかもしれません。
時間をかけてほしいのは、そこではないのです。教育実習の本質は、授業そのものです。実習中の限られた時間は、まず授業準備に注いでください。お礼状は、そのあとでも十分に間に合います。
そして卒業のとき、あるいはその先で。ぜひ一通、現状を知らせてください。あなたのその後を、指導教員は待っています。
よくある質問(FAQ)
Q. お礼状を出し忘れてしまいました。今から出しても大丈夫ですか?
A. もちろん大丈夫です。遅れてしまったことへの一言を添えた上で、実習中のエピソードや学んだことを書いて送りましょう。時間が経っていても、気持ちのこもった一通は指導教員に喜ばれます。
Q. お礼状はメールでもよいですか?
A. 学校によって事情は異なりますが、学校のメールアドレスを実習生に伝えていないケースが多くあります。迷ったら郵送を選ぶのが確実です。
Q. お礼状の宛名は誰に送ればよいですか?
A. 中学・高校の場合は、教科を直接指導してもらった指導教員宛が基本です。学級担任の先生にも特別にお世話になった場合は、そちらにも送ってよいでしょう。
Q. 定型文・例文をそのまま使ってもよいですか?
A. 定型文は構成の参考にする程度にとどめ、必ず自分のエピソードや気持ちを加えましょう。附属学校では複数の実習生を同時に担当するため、定型文のみでは印象に残りにくくなります。
教育実習生・若手の先生向けの情報は、中学校音楽の教育実習ガイドにまとめています。実習前の準備から実習後まで、順番に読めるようになっています。
この記事は、動画「教育実習のお礼状は出すべき?書き方と宛先を指導教員が解説」をもとに作成しました。









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