・中学校音楽の授業が「独りよがり」になりやすい理由
・授業を振り返るための3つのセルフチェック視点
・明日から実践できる具体的な行動
中学校の音楽科は、校内に先生が1人だけという一人職であることがほとんどです。相談できる同僚が近くにいないぶん、気づかないうちに自分のやり方だけで授業が完結してしまう。そんな経験に心当たりがある先生も多いのではないでしょうか。
独りよがりな授業とは、「生徒の主役化」「評価の客観性」「視野の広さ」という3つの視点で振り返ることで、気づきやすくなります。 特に教員経験が3年から10年ほどになると授業に慣れが出てくる一方で、我流のルールが固まりやすい時期でもあります。
今日はこの3つの視点から、今の自分の授業を見つめ直してみましょう。
▶ 動画では1:26〜で詳しく解説しています
視点1:授業の主役が生徒になっているか
一つ目のチェックポイントは、教員が話している時間と、生徒が実際に音楽活動をしている時間のバランスです。
音楽科は専門家であるからこそ、ついつい熱心に語りすぎてしまったり、模範演奏を何度も聞かせたりしがちです。先生が気持ちよく歌い、気持ちよく語って、先生だけが満足して終わってしまう。これでは生徒はただの観客になってしまいます。
現在の学習指導要領でも、主体的・対話的で深い学びが重視されています。これは、子供たちが「この曲をどう表現したいか」という課題を自分で持ち、音を聞き合いながら工夫していくプロセスです。教員が正解を教え込み、その通りに歌わせるだけの授業は、主体的でも対話的でもありません。
▶ 動画では2:06〜で詳しく解説しています
ポイントは、教員の役割を「正解を教える人」から「質の高い問いかけを用意する人」へ切り替えることです。 そして、子供が乗ってこない原因を「この学年はやる気がない」と決めつけないことも大切です。子供の小さな変化に気づき、実態に合わせて指導を柔軟に変えていく姿勢が求められます。去年うまくいった方法だからという前例に縛られず、目の前の子供たちにとって最適な支援ができているかを振り返ってみてください。

視点2:評価が自分の好みになっていないか
二つ目のチェックポイントは、評価基準の客観性です。
一人職で誰もチェックしてくれない環境だと、「なんとなく好きだからA」「自分の好みとは違うからB」というように、無意識のうちに音楽的な好みで評価してしまうことがあります。これは子供たちにとって納得のいかない評価になってしまいます。
評価に迷ったときこそ、学習指導要領の「資質・能力の3つの柱」という原点に立ち返ってみましょう。
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| 知識・技能 | 曲の構造や表現技法を理解し、演奏に活かせているか |
| 思考・判断・表現 | 自分なりの表現意図を持ち、それを音で表せているか |
| 主体的に学習に取り組む態度 | 粘り強く取り組み、自ら学びを振り返っているか |
教科書にある題材の目標を読み返し、今行っている活動がどの資質・能力を育てるためのものか明確にすることで、教員の感覚に頼りすぎない客観的な評価に近づきます。
具体的には、「今日の活動ではここができていればA」という指標を、授業の終わりに子供と共有できていると理想的です。 評価を行うことは、教員自身の指導が適切だったかを振り返り、次の授業の改善につなげる作業でもあります。指導と評価を一体のものとして捉える視点を持つことで、自分の授業を客観視しやすくなります。
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視点3:音楽室の外に目を向けているか
三つ目のチェックポイントは、視野の広さです。
一人職の音楽科教員は、授業準備などでどうしても音楽室にいる時間が長くなりがちです。すると、他のクラスの様子や他の先生の子供への接し方といった「外の空気」が見えなくなってしまいます。校内の他教科の授業を参観したり、学級担任と情報交換したりすることは、授業を良くするための大きなヒントになります。
視野を広げるということは、時間軸を広げることでもあります。今教えているこの1時間が、生徒の3年間の成長の中でどんな意味を持つのか。生徒が卒業した後、音楽とどう関わっていってほしいのか。長いスパンで音楽教育の価値を考える視点が必要です。
▶ 動画では7:09〜で詳しく解説しています
校内だけでなく校外にも目を向けてみてください。地区の研究会や全国規模の学会、有志の勉強会、研修会など、外の世界には多様な実践が溢れています。他者の実践に触れることは、自分の指導法をアップデートする作業であり、独りよがりな「枠」を壊すことにつながります。
他教科の指導法を音楽に応用してみるのもおすすめです。国語の先生が使っているワークシートの工夫を鑑賞の授業に取り入れたり、保健体育の先生のチーム分けの仕方をパート練習に活かしたりすることで、授業の引き出しが格段に増えていきます。
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明日からできる具体的なアクション
明日からすぐに実践できるアクションとして、他教科の先生の授業を見に行くことをおすすめします。全部見る必要はありません。15分だけ、一コマだけでも、他の教室の空気を感じるだけで視野は確実に広がります。「あの先生の指示の出し方は分かりやすかったな」という小さな気づきで十分です。自分の授業を外から眺めるための鏡として、他者の視点を取り入れてみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 一人職だと、どうしても授業が独りよがりになりやすいのでしょうか?
A. 相談相手が身近にいない分、その傾向は出やすいといえます。ただし、3年目以降は自分から振り返る時間を意識的に作ることで、我流のルールが固まってしまう状態を防ぎやすくなります。
Q. 授業の評価が主観的になっていないか、どう確認すればよいですか?
A. 「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」という3つの観点に立ち返り、今の活動がどの資質・能力を育てるためのものかを確認することが有効です。
Q. 校外の研修に参加する時間が取れません。他にできることはありますか?
A. まずは校内の他教科の授業を短時間でも参観することから始められます。15分程度の参観でも、自分の授業を見直すきっかけになります。
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この記事は、動画「中学校音楽の授業が独りよがりにならない3つの視点」をもとに作成しました。





