皆さん、こんにちは。一歩先ゆく音楽教育、原口直です。
現在は学校での教育研究の経験と、未来につながる新しい学びについて情報発信しています。
このYouTubeチャンネルでは学び続ける先生と学生さんのために、学校で役立つ情報と提案を発信しています。
今日はブランクについてお話しします。
教員になる時に大学卒業してすぐに教員になる人もいますが、教員になるまでにブランクがある私のようなパターンもいらっしゃると思います。
教員免許を持っていて「今やってみたくなったな」という方もいらっしゃれば、かつて教員をしていたけれども退職や家庭の事情などで一旦離れていて「戻りたい、復活したい」という方もいらっしゃるかもしれません。
また、この動画では免許を持っていない方のお話もします。社会人経験を経た方はその経験を活かして「学校で何かできないかな?」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。
中教審が出している「令和の日本型学校教育を担う教師の養成・採用・研修などのあり方について(関係資料)」の中の採用では、社会人などの多様な人材の活用というのを上げています。今日はその中身も詳しくお話しします。
この記事は、次のようなことを知りたい方に是非ご覧頂きたい内容です。
▶教員免許の有無に関わらず「教員をやってみたいな」という方
▶「教員になるのに大卒すぐでなくて大丈夫なの?」と思う方
▶教員になりたいけど「ブランクがあるのは心配だな」と思う方
他の動画では、
小中学生1人1台端末のGIGAスクール構想や採用の状況や教員だから魅力的なこと。そういったことをお話ししている動画。
大卒すぐ教員採用試験を受けて教諭になることだけが道ではないということをお話しした動画。まさに私がそれを体現していますので、そういった話をした動画もあります。
併せてご覧下さい。
教員免許があるけどブランクのある方へ
まず教員免許があって、ブランクがある方。
「教員になりたいな」「学校に戻りたいな」もしくは「今、学校にチャレンジしてみたいな」という方。
まず確認!教員免許の期限が切れていないか
まずは「教員免許の期限が切れていないか」をチェックしましょう。
教員免許は教員免許更新講習を受けなければなりません。その免許が有効であるかというのがまず第一に気にしなければいけないところです。
受験資格の年齢制限は緩和しつつある
そして教員採用試験を受けるにあたっての受験資格。
これが今までは年齢制限があり40歳45歳50歳くらい、その大まかな壁があったのですが今はそれが緩和されつつあります。
始めに言った中教審の資料の中でも、この年齢制限をなくしていくという話が書いてあります。そもそも設けていない自治体もあります。また設けていても特例措置などがあったりするので、教員採用試験の年齢についてはぜひ最新情報を調べてみてください。
学校は大きく変わりつつある(GIGAスクール・働き方・学習指導要領)
また以前に学校で働いていた方で、「また復活したい」「学校に戻りたい」という方に気をつけてほしいのは『学校は変化している』ということです。
小学校中学校の1人1台端末はもちろんのこと、この2020年21年22年で学習指導要領が変わりました。
また以前大変だったと言われる代名詞である『働き方』こういったところにもどんどん変化が出てきています。
例えば「東京都の教員採用試験実施要項」によると、
「部活をアウトソーシングして部活動指導員を採用しています」
「スクールサポートスタッフやスクールカウンセラーといった周りの方の支援がある」
「研修やサポート制度がある」
「ベビーシッター費用の補助が出ます」
といったことも書かれています。
実施要項にこういったことが書かれるというのは大学卒業だけではない人を見据えているという証拠だと思います。
教員免許を取得していて学校で教員をしてみたいという方は、ぜひこういった点に気をつけてみてください。
教員になりたいが教員免許がない方へ
大学で取れる教員免許。「その時には教員なんて考えていなかった」もしくは「教員になりたかったけど、取れる学部・学科ではなかった」という方に朗報です。
教員免許はない方でも教員になるチャンスがあります。
またそれを中教審の資料では後押しするような制度が出てきています。
教員資格認定試験
教職員支援機構が行っている試験です。数年前までは文科省の管轄でしたが、最近ではこの教職員支援機構が行っています。高卒で大検資格があれば、試験を受けて小学校二種の免許が取れるという制度です。
とはいえ試験は難しく1次と2次に分かれています。
1次では「教科および教職に関する科目」がⅠ~Ⅳからまであって試験時間は合計で7時間にもなります。
またそれを突破して2次に進んだ場合、模擬授業・グループ討議や課題論文などといったものが待っています。
こちらは教員採用試験ではありませんので、この資格試験に受かった上で教員採用試験を受ける必要があります。かなりの勉強、根気、努力が必要だと思います。
そしてこの教員資格認定試験を見直そうという動きが、中教審の中で上がってきています。関係資料にもその内容が載っています。
特別免許状
教員免許状は大学の間に単位をとって、実習に行って…という流れがありますけれども、教員免許状を持っていなくても「優れた知識経験等を有する社会人が持つことができる」というのが、この特別免許状です。
この特別免許状を活用するように後押しするというふうに中教審では書かれています。
免許を持っていない方が学校の教員になれる2つの制度「教員資格認定試験」「特別免許状」。
この2つについて、後押しする動きが出てきています。制度やこれからの変化についてぜひ注目してみてください。
5年の社会人生活を経て音楽科教員に転職した私の実体験
音楽のブランクをどのように考えるかというのを特化してお話しします。
音楽(楽器や声楽など)は『1日サボると3日戻る』と言われます。これが本当なのかということも書いてあるような書籍もあったりします。実体験としてもちろん練習を続けなければ、自分の技術がどんどん衰えていってしまうという実感はあります。
大学卒業後の5年間のブランクの中身
しかし私の場合は、大学を卒業してから東京都で採用されるまで5年間のブランクがありました。この5年間非常勤講師を1年間、しかもそれは特別支援の学級。(音楽科ではない)そして4年間の社会人経験。
この5年間の中でほとんどピアノには触らなかったですし、歌も本気で歌わなかったです。もちろん両方とも音楽は身近にありました音楽を聴くことはありましたが、他人が演奏している音楽だったり、ジャンルはクラシックではなくポピュラー音楽だったりという感じです。
この5年間のブランク。
教員採用試験の実技試験こそ苦戦しましたけれども、それ以降教員になってから本当に「ブランクがあって苦労したな」と思ったことはあまりありません。
普段の練習を重ねるだけで十分
もちろん普段の練習を重ねるというのは、当たり前のことです。しかし「それで十分まかなえていたな」と思えます。特に年間のブランクがあった後に所属した社会人の合唱団でも、全国大会に出場するなどの結果が出ましたので、ブランクが枷になったということはあまり感じられませんでした。
この理由は、「音楽家」と「音楽科」に求められる能力が全然違うということにあると思います。
もちろん一定の実技の技能は必要です。例えば共通教材を弾き語りができるとか、定番の合唱曲を全パート歌うことができるとか。そういった一定の能力は必要ではありますが、自分が努力するその仕方を知っていれば大丈夫ですし、それまでにピアノや声楽などで様々な知識や技能を身につけていますので、その生かし方さえわかればOKだと思います。
音楽科のブランク「何年開いているからもう無理かな」と諦めずに、是非過去に自分が身につけてきたピアノや声楽・楽器の知識や技能を信じて、学校の音楽科に生かしてみてください。
合唱指導の際、音楽家の場合は3つの視点ですが音楽科の場合は5つの視点が必要だということを事例を交えてお話ししています。
まとめ:ブランク期間は教員志望者の武器になる(5年の社会人生活を経て教員に転職した私の体験)
色々な知見や経験を持った人を学校の教員として採用したいという色々な流れが出てきている中で、ブランクがあることが逆に強みになるかもしれません。
自分には関係ないことと思わずに「自分の持っている技術や知識・経験が学校で生かせるかもしれない」と思ってください。様々な人々の知識や経験を集結して、学校・子どもたち・教育をより良くするということをぜひ考えてみましょう。
記事の内容は動画と同じです。
動画「ブランク期間は教員志望者の武器になる(5年の社会人生活を経て教員に転職した私の体験)」も是非ご覧ください。
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