音楽教員歴10年の原口直です。
夏休み前になると進路希望調査を受験の学年だと提出をさせます。
音楽高校や音楽大学への進路志望が出てきた時に、自分のクラス以外でも音楽科として対応する必要があります。その対応で気をつけること3つを話します。
高度なソルフェージュ・楽典能力が必要
ソルフェージュや楽典は、学校の音楽の授業の中では限界があります。
しかし、音楽高校・音楽大学を受ける場合、高度なソルフェージュの力や楽典の知識が必要なことが多いです。聴音や新曲視唱などはすぐにできるものではありません。訓練が必要です。そのことをきちんと本人がわかっているかを聞くのが大事です。
楽典は必死に勉強すれば追いつくかもしれませんが、聴音や新曲視唱、伴奏付けなどはすぐに身につけられるものではないので、内容とその子の技術をきちんと把握しておく必要があります。
音高・音大への見学・体験入学を生徒に勧める
早めに受験する音楽高校・音楽大学をしぼって、その先生についたり、傾向を知ったりした方がいいので、早めに高校や大学をしぼらせるために、早めに体験入学や見学に行くように勧めましょう。なるべく早い方がいいです。1年生だからと言わず、早くしかも繰り返し行くと良いと思います。
各音楽高校・音楽大学には、体験授業があって、そのお知らせが音楽科の先生に頻繁に来ます。また、ホームページにもアップされます。体験入学のお知らせが来たら、志望の生徒に共有をして、参加の仕方や期間、楽器などを相談に乗ってあげると良いと思います。
専攻の先生・保護者とのコミュニケーション
器楽の先生への確認事項
まずピアノの先生に代表される楽器の先生に、その子が音楽高校・音楽大学を受ける技術があるのかを確認しましょう。
ピアノの先生がそのつもりでなく指導している可能性もあります。例えば、同じ「ピアノを習っている」と一口に言っても、その目的がジャズだったり、ディズニー・ジブリを弾く「ピアノを習っている」かもしれませんし、きちんとエチュードやソナタといった西洋音楽の手順を踏んで教えている場合もあります。
「ピアノの先生についている・ピアノを習っている」という生徒の言葉を鵜呑みにせず、どういったことを目的に通っているピアノ教室なのかを必ず確認する必要があります。
また、音楽高校・音楽大学には課題曲があります。習得するための技術や時間があるのか、覚悟があるのかを確認しましょう。
保護者への確認事項
次に保護者について。音楽高校・音楽大学を知っている/音楽高校・音楽大学出身である/音楽高校・音楽大学出身の友人が居る、という場合はいいですが、音楽高校・音楽大学卒業後の進路や学費について知らない方もいらっしゃると思います。特に私立の場合は学費はとても高いですし、進路が限られてくることがあります。
きちんと保護者の方にそれを説明して、それでも音楽高校・音楽大学に行きたいという場合は背中を教えてあげることも大事です。
また、体験や見学などに保護者の方が同伴できる場合もありますので、生徒と共に保護者の方にも音楽高校・音楽大学とはどういうものかを理解していただきましょう。
まとめ:音楽高校・音楽大学を志望する生徒の進路指導で大切なこと
音楽の道に進みたいと言ってくれる生徒が出てくるのは、音楽科の教員にとって、とてもうれしいことです。
しかし、それが生半可な気持ちではいけないということ、「ちょっと音楽が好き」「部活が好き」くらいではいけないことをきちんと現実を見させるのも、音楽科教員の大切な役割です。
高校や大学の先にある生徒の人生を見つめて、一緒に検討したり励ましたりしてあげましょう。音楽の先生しか相談できる人がいないのです。音楽の先生のアドバイスや知識にかかっています。
ブログ記事の内容は動画と同じです。
動画「音楽高校・音楽大学を志望する生徒の進路指導で大切なこと」も是非ご覧ください。
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