皆さん、こんにちは。一歩先ゆく音楽教育、原口直です。
現在は学校での教育研究の経験と、未来につながる新しい学びについて情報発信しています。
このYouTubeチャンネルでは学び続ける先生と学生さんのために、学校で役立つ情報と提案を発信しています。
今日は「困った時の相談相手」についてお話しします。
学校には様々な人たちが働いています。
教員は1人で教科・学級・学年・校務・部活動などいくつもの役割を持ちます。また、教員以外に立場や役割の違う人たちも学校に関わります。
学校で働いていて困るのは初任や若手だけではありません。
教科は勤務年数=経験につながりますが、学級は受けもつ年があったりなかったり学年が異なったりします。
校務分掌に至っては、何年たっても「この担当は初めてです」ということが出てきます。
部活動は音楽科の場合、ほとんどが始めから終わりまで吹奏楽や合唱といった音楽系の担当になることが多いですが、場合によっては初めて見る競技や年ごとに変わっていく教員もいます。
そんな時に頼りになるのが「相談相手」。
どういった時に誰に相談すればいいのか?
初任や若手の先生はもちろん、勤務年数に関わらず担当の校務が初めての人は相談相手が欲しくなります。
校務や担当は学校の地域や規模によっても異なりますので、一例としてお聞きください。
この記事は、次のようなことを知りたい方に是非ご覧頂きたい内容です。
▶内容によって適切な相談相手を見つけたいという方
▶1人教科の場合は誰に相談すればいいだろうと困っている方
▶学校外で相談相手を見つけたいという方
この動画の他には
「学校を支える人(生活編)」では学校用務員さん、学校事務員さん、スクールアドバイザー・スクールソーシャルワーカー・スクールロイヤー・スクールサポーター
音楽科に特化した「学校を支える人(楽器屋さん)」「学校を支える人(調律師さん)」の動画もあります。
併せてご覧ください。
学校内の相談相手はこんな人
教科指導の相談をしたい場合
1人教科の場合、校内に相談できる人はいません。しかし、力になってくれる人はいます。
音楽科の場合は同じ芸術で美術科の先生、実技教科の保健体育科や技術・家庭科の先生は助言をくださるでしょう。一斉と個別の指導方法の違いや評価について。
また、美術・技術家庭は文化的行事を見すえた年間指導計画についても聞くことができます。
学級経営の相談をしたい場合
同じ学年の学年群。特に学年主任が最も頼りになる存在です。毎時毎日、子どもや教科のことを相談できる相手です。
学年主任は学年全体のことを把握することで、今後の展開を読んだり、何かトラブルがあった時に子どもの背景を知っていたりします。小さなことでも遠慮せずに雑談レベルで話をしておくのは、お互いにとって良いことです。
また、そのクラスや学年を持っていた前任の先生も力になってくれます。
他の学級が始まってしまうと、当然かかりきりになってしまいます。隠したいとか言わないという訳ではなく余裕がないだけです。主体的にこちらから情報を取りに行くという姿勢が大切です。
校務の相談をしたい場合
前任者が最も効果的な相談相手です。
しかし、その前任者が異動などでいない場合もあります。初任者は、まずは前任者が校内に居るのかを確認することから始めましょう。
いない場合は、同じ分掌や同じ部で動いていた先生になるべく早く全体像を聞いておくといいです。
例えば、文化的行事が秋だからと言って「夏休みに聞けばいいかな…」と思っていたら大間違いです。夏休み中に展示品の制作を始めたり、部活や合唱等の準備をさせたり、と夏休み前から教科や部活動が動き出します。早め早めに動きましょう。
全体として、昨年度の資料や書類の記録がデジタルのフォルダか紙のファイルで残っていると思います。作成された日付に注目をして準備を計画しましょう。
日付の直前の職員会議に上げるためには、その直前の分掌会議で承認を取る必要があります。
特に新しいことをする場合は1発で通るとは限りません。「新しいこと」というのは内容を増やすとか、デジタル化するとか大々的な変更ではありません。音楽科の経験で言うと、合唱曲の決め方1つ・練習の仕方1つ、去年と違うことをする時は反対意見があります。
学校外の相談相手はこんな人
教科指導の相談をしたい場合
同じ市区町村内の同じ教科の先生とはつながりが持てます。
定期的な研究会や集まりがあったり、部活動で顔を合わせたり、実技教科の場合は市区町村の演奏会や展示会の企画運営で顔を合わせます。
その時に日々の相談事をできる先生を探したり、「今後連絡をしてもいいですか?」などと聞いたりして、つながりを持っておきましょう。
学級経営・校務の相談をしたい場合
学級や校務については、学校それぞれのルールや文化があるので校外の先生に相談することはあまりありません。異動した前任者が校外にいても、実際に動き出すと連絡を取って聞くことはあまりないのではないでしょうか。
校外のつながりで最も強いのは同期です。
同じ市区町村の初任者研修=初任研で出会った仲間は心強い友です。数年経って異動や結婚出産などのライフイベントが始まるとバラバラになってしまい、今では疎遠になってしまった人もいます。しかし、同期と過ごせた始めの1~2年はとても心強く印象に残っています。
教員が書籍・SNSで情報収集するときの注意点
教科・学級・校務…情報が多くあるのが書籍。教育書です。
大きな本屋さんに行くと「教育書ってこんなにあるのか!?」ということがわかります。読み継がれる名著から最新の教育に関するもの、また新しい視点やすばらしい実践があります。今はamazonなどのネット上でも探すことができたりkindleなど電子書籍を読んだりできるので、住む場所に関係なく情報が集められます。
SNSにも教育の情報は多くあがっています。
保護者向けのものや一般的な興味関心ごととしての教育・研究者による分析が多いです。
現職の教員自身がSNSのアカウントを持ったり発信したりということは、禁止されてないとしてもためらう人が多かったと思います。しかし、2021年に3月に文部科学省が始めた「#教師のバトン」で、現職教員がSNSでの発信が目に見えるようになりました。もちろんこれ以前もSNSでの情報発信をする人はいます。
書籍もSNSも発信することや内容についてはそれぞれの考えのもとですが、受け取り側が情報の受け取り方や解釈を丁寧に慎重にすることは大切だと思います。
子どもたちに情報教育をする時と同じように、情報を取捨選択する力は大人にとっても大切なことだと感じます。
学習指導要領で目にする『情報活用能力』。
文部科学省が発表している資料の『情報教育の3観点8要素』の中には、情報の発信者と受信者の視点があります。
受信者の観点で見ると、
・必要な情報の主体的な収集・判断・処理
・情報活用の基礎となる情報手段の特性の理解
・情報を適切に扱ったり、自らの情報活用を評価・改善するための基礎的な理論や方法の理解
といった点でしょうか。
相談したいことがあった時に、
・目の前にいる先生に聞くのか?
・書籍や論文を読むのか?
・Google先生に聞くのか?
・Twitter・Facebookの#で情報を収集するのか?
何が最もふさわしい方法かをまずは選ぶ力がなければいけません。
文中の「課題の目的に応じた情報手段」や「情報手段の特性の理解」にあたります。
これは「学校内の相談相手はこんな人」「学校外の相談相手はこんな人」で話した学校内外も同じです。
相手がどんな人なのか?/相談できる相手なのか?/どのような項目において相談できるのか?を判断するのは、対面であろうがオンライン上であろうが同じことです。
情報を受け取る側だけだとしても、書籍の著者やSNSの発信者が自分の悩み解決にふさわしい相手かを見極める必要があります。
YouTubeでしゃべっている私のこの話も、YouTubeという特性を理解した上で情報を取捨選択なさってください。
まとめ:【悩んでいる先生へ】教員のための相談相手の見つけ方
今日は「相談相手」について話しました。
学校の規模によって、人数構成や世代の構成が違います。
教科や学年・分掌を何人が持つか。1人がいくつの担当をもつか。1つの校務をどんな背景や経験をもつ人が何人で取り組むか。本当に様々です。
相談する相手を見つける時は素直に、謙虚に、かつ大きな声で「困っています」をアピールすることです。
教員は困っている人に手を差し伸べたくなるという、とても大切な本能を持っていると思います。望むような解決につながらなかったとしても、解決へのヒントや道を示してくれるはずです。
始めに言ったように、特に分掌や部活動は勤務年数関わらず「初めて」という人もいます。困っていることを抱え込まずに発信しましょう。
記事の内容は動画と同じです。
動画「【悩んでいる先生へ】教員のための相談相手の見つけ方」も是非ご覧ください。
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