【音楽教員必見】新年度準備に役立つ!音楽室の作り方完全マニュアル

音楽教員のための音楽室の作り方【快適な音楽室作りのヒントを紹介】 音楽の授業力アップ
音楽の授業力アップ
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こんにちは、音楽教員歴10年の原口直です。
このサイトでは、音楽教員のための指導や生活に役立つ情報を発信しています。

今回は、「音楽室の準備」についてお話しします。音楽室は音楽の先生にとっての“戦場”とも言える場所。どのように整えるかによって、授業のやりやすさが大きく変わります。

音楽室の作り方は人それぞれで、正解はありません。学校の構造や備品によっても可能なこと・不可能なことがありますので、あくまでヒントとしてお聞きください。

 

 

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授業を想定して音楽室を準備する

音楽室の準備で最も大切なことのひとつは、「授業を想定する」ことです。

年間授業計画を立てた際に、どの領域を中心に据えるかを明確にすることで、授業しやすい教室の形が見えてきます。

年度の始めに立てる年間指導計画。学校に1人しか音楽科教員がいない場合は、1人で3学年分を立てることになります。「音楽科の年間指導計画の立て方」では、どんな点に気を付けたらいいのか抑えるべき「ツボ」を紹介しています。

 

歌唱を主とする場合

  • 合唱や独唱がしやすい隊形が重要
  • ピアノの位置、楽譜や譜面台の配置に配慮
  • 生徒の動き(前後左右)を考慮

 

器楽を主とする場合

  • 楽器の配置が最優先
  • 動かしにくい大きな楽器の位置
  • 指導者の近くに配置すべき
  • 楽器コンセントの位置に注意
  • 合奏時の配置や、準備・片付けのしやすさも考慮

 

私は和太鼓の授業を行っていました。生徒に学年末にアンケートをとっても和太鼓が楽しかったと書く子は少なくなかったです。そんな和太鼓の授業内容について「【音楽の新学習指導要領】中学校音楽科における和太鼓の授業実践例(和楽器指導)」で解説しました。

 

創作を主とする場合

  • 録音機器や音響機材の使いやすさが重要
  • 教室全体の音響環境を配慮

 

鑑賞を主とする場合

  • スクリーンや黒板の位置、光の入り方などが重要
  • PowerPointを使うのか、視聴覚教材中心か
  • スピーカーや黒板の活用法に応じた配置
  • 生徒が長時間座る環境の整備

 

「鑑賞の授業をどのようにするか」というのは歌唱と並んでとても多い…実践例の多いものだと思います。「10分で理解する音楽鑑賞授業の3つのコツ【定番曲「魔王」のチェックポイントも紹介】」では、鑑賞の授業をこれから作る人にはヒントになるような、すでにある人には見直すきっかけ・視点を提供できるようなお話をしました。

 

 

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スクリーンと黒板の位置関係に注意

今や授業でスクリーンを使用しない日はないほど、スクリーンは黒板以上に重要な要素となっています。

  • PowerPointや視聴覚教材が生徒の見やすい位置か
  • 窓の位置により明るさのバランスを調整
  • 高すぎず低すぎず、全生徒から視認可能な位置に設置
  • スクリーンと黒板の配置関係を考慮
    • 黒板を覆うようにスクリーンがある学校も
    • 黒板の脇にスクリーンがある場合も
  • スクリーン固定式/黒板移動式、その逆など、使用頻度に応じて配置を決定

 

「音楽教員のための板書とパワポの使い分ける方法」の中で、黒板・パワーポイントを活用するときの音楽室の作り方について触れています。

 

 

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備品(机・椅子・譜面台など)の確認と工夫

学校によって、机や椅子の有無は様々です。

 

  • クラス人数分の机がない場合も
  • 机付きの椅子を使用している学校もある
  • 備品の有無をまず把握
  • 足りない場合は副校長・教頭・周囲の先生に相談
    • 倉庫に余っている可能性も
    • 別教室から譲ってもらえることも
    • 新規購入も相談可能

 

椅子

  • 背もたれあり/机付き/丸椅子/重い/軽い椅子など様々
  • 丸椅子は机や台としても使えて便利(話し合いもしやすい)
  • パイプ椅子から丸椅子へ変更する際は、理由を管理職に明確に伝える

 

譜面台

  • 常備している学校もあれば、机代わりに使う学校も
  • 譜面台をあまり使用しない場合は教室の片隅に置く程度で十分
  • 書く作業には硬めのファイルを下敷きとして生徒に配布
  • クラス人数分を基準に備品を配置すると管理しやすい
  • 予備もあると便利だが、個数管理しやすい配置にする

 

音楽教員のための副教材の選び方」で副教材の選び方を紹介していますが、音楽室内の装備によって、準備する副教材も変わってくると思います。

 

 

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掲示物の工夫

掲示物には教員の個性が出ます。

  • 音楽の要素の言葉のマグネットを常に貼っておく
  • 作曲家の肖像、音楽史、歌詞の掲示など学校ごとの工夫
  • 授業効率化に役立つ掲示も有効
  • 「椅子が必要か」「譜面台が必要か」「隊形」などを掲示
  • 生徒が教室に入った段階で準備ができるようにする
「音楽を形づくっている要素」とは、音色やリズム、テクスチャーや構成、強弱などといった言葉です。この言葉を説明する時にどんな教材を使ったらいいのか、私の10年の実践から「【音楽の新学習指導要領】『音楽を形づくっている要素』の指導に使える教材」の動画で解説しました。

 

私は下記のように、「椅子・譜面台が必要か」「どのような隊形で座って欲しいか」を常に掲示しておきました。授業に来た生徒がこれを見て、「今日はこのように座る、椅子が必要だ」と把握していました。

授業開始とともに授業が始められるような工夫…これも掲示物でいくらでもできると思います。

 

原口直の一歩先ゆく音楽教育

 

 

ピアノは音楽室の象徴

  • 音楽室には基本的に1台のピアノが設置されている
  • ピアノは常にピカピカに磨いておく
  • ピアノを大切にする姿勢は、生徒への教育にもつながる
  • ピアノの上に物を置かないように徹底
  • 初任時に学んだ指導として実践している

 

中学校音楽における授業規律の指導方法」でお話しているとおり、私は授業規律を確立するための一環として楽譜や楽器の扱いを徹底していました。生徒へ指導するだけでなく音楽教員自らも楽器を大切に扱う必要があります。

 

 

その他:音楽室を定期的に見直す

  • 常設物(キーボード、大型打楽器、棚、ラジカセなど)の必要性を4月のタイミングで再検討
  • 必要な時に必要な分だけ出すスタイルに
  • 使わない棚は処分も検討
  • 教員自身が居心地の良い空間を作ることも大事
    • 加湿器、好きなキャラクターや香りなど
    • 職員室・準備室・研究室も居心地の良い空間に

 

音楽室にあると助かる物。また、これから学校の予算を有効に使うなら、これを買ってほしい・揃えてほしいというもの、予算の計画を立てるときに頭にあると良いよというものを「音楽教員・教育実習生必見!音楽室で役立つ便利グッズ3選」の動画で紹介しました。

 

 

まとめ:この機会に音楽室を見直そう

今回は音楽室の準備についてお話ししました。

新任の先生や新しい学校に赴任する先生はもちろん、引き続き同じ学校で勤務する先生も、ぜひこの4月の機会に音楽室を見直してみてください。今見直さなければ、1年間ずっと同じ状態のままになってしまいます。自分にとっても生徒にとっても心地よい、効率的な音楽室を目指していきましょう。

 

この記事は動画「【音楽教員必見】音楽室の作り方完全マニュアル|新年度準備で授業が変わる!」をもとに作成しました。

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この記事を書いた人
原口直

東京学芸大学 附属学校図書館運営専門委員会 著作権アドバイザー/元・東京学芸大こども未来研究所 教育支援フェロー

東京学芸大学教育学部卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。
東京都公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校で、教育実習生の指導、進路指導、「生活と社会に関わる音楽」分野の授業実践に取り組む。
会社員時代の経験を活かし、知的財産権教育に関する研究・発表も多数行う。

2020年春より、教室の外へとフィールドを広げ、YouTube・ウェブサイト・講演活動を通して、教員や教育実習生に向けた著作権教育コンテンツを発信中。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)

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