皆さん、こんにちは。一歩先ゆく音楽教育、原口直です。
現在は学校での教育研究の経験と、未来につながる新しい学びについて情報発信しています。
このYouTubeチャンネルでは学び続ける先生と学生さんのために、学校で役立つ情報と提案を発信しています。
学校に教員や関係者として入ると、始めに様々なことを覚えたり知ったりしなければなりません。
その中には教育実習で教えきれないこと…しかし、とても大切なこともあります。
指導教員として教育実習生を指導していた時は、「本当は時間があれば、こういうことも伝えたい」ということがいくつもありました。3~4週間の教育実習では主に教科教育のみに指導が限られてしまうので、その他のことを指導できないのです。
そして、いざ学校に入ると当たり前のように存在しすぎていて、立ち止まって説明したり考えたりすることがない項目もあります。今日はその1つ「学校の組織図」を紹介します。
この記事は、次のようなことを知りたい方に是非ご覧頂きたい内容です。
▶これから教育実習を控えているという方
▶実習でも大学でも学ばないことを知りたいという方
▶もっと学校のことを知りたいという教育実習生の方
この動画の他には、これから教育実習に行くという人にご覧いただきたい動画をまとめた再生リスト「教育実習編」があります。この再生リストの中には、例えば
併せて、ご覧ください。
組織図とは?
企業や団体の場合は、業種や規模によって組織図は大きく異なります。企業のサイトを検索すると、どのような組織なのかが出てきます。
企業などの組織図の例
ソフトバンクグループ
東京電力ホールディングス
文部科学省
では、学校の組織はどうでしょうか。学校によって異なりますが、文部科学省の働き方改革特別部会で使用された資料を元に学校の組織図を見ていきましょう。
(資料:文部科学省「学校の働き方改革特別部会」(平成29年))
学校の(理想的)組織図の例
組織図(例)はこちらです。
学年が6つあることから、小学校の例のようです。「例」となっているように、学校によって組織図は異なります。私は2つの中学校で勤めましたが違っていましたし、この例とも違いました。校種や地域、特色によって違うのだと思います。組織図には疑問を持たないほど、当たり前のものでした。
校長・副校長/教頭の下に主幹や主任がいます。
〇〇部というのが校務分掌です。
部の中には様々な仕事があり、部員で仕事を分担します。
どの部も部長や主任はとても重圧がかかり、人一倍しなければならないことがあります。
学年には学年主任がいます。こちらも重圧と仕事量が多いです。
学年主任は学級担任を外してもらえることもあれば、主任と担任を兼務する場合もあります。また、副担任がいる場合もあります。
中学校の場合は、教科もあります。
学校の現実の組織図は…
文科省の資料には続きがあります。
教員ならば、先ほどのようなさっぱりとした組織図には到底ならないことを知っていると思います。実際の組織図はこちらです。
中学校で各学年3学級・職員数19名の例です。
「そうそう、これこれ!」という言葉が聞こえてきそうです。
アルファベットの文字は1人の先生をあらわします。
a先生に注目して図を見ると、
総務委員会、教務委員会
●教務
教務部の主任
学習指導部の少人数担当、小中連携、情報教育
理科の教科主任
生徒指導部の教育相談
特別活動部の学校行事、テニス部の顧問
●庶務
校内会計の実習費
管理表簿の出席簿、指導要録、卒業台帳
●渉外
PTAの本部、外部協力者
●事務
施設・設備の特別教室、理科室
備品の各教科備品
となっています。
音楽科の教員はこの規模の学校なら1人です。
音楽科の教科主任を見るとq先生のようです。
就学指導委員会、文化行事委員会
●教務
学習指導部の特別支援教育・環境教育、音楽科主任、生徒会の保健委員、学校祭、合唱コンクール、なぜか吹奏楽部ではなく美術部
●庶務
実習費
●渉外
PTA総務部
●事務
教科特別教室、各教科備品、就学援助
とあります。
表の1番下には、「各職員の担当数」とあり、理科のa先生は11つの担当・音楽科のq先生も11つの担当を持っています。最も多い保健体育科のj先生は20もあります。
恐ろしいのは、ここには学級担任や副担任の分担が書かれていないこと。
肌感覚からするとa先生は学年主任で、q先生は担任といったところでしょう。
組織図の「学年主任」「各担任」という担当もさらに乗ってきます。学年や学級経営はもちろんのこと、学年独自の行事や会計も分担します。
これは大げさな例ではありません。また、子どもの人数が減る=教員の人数が減るからと言って、分掌はほとんど減りません。子どもの数が減っても、その校務にかかる時間は減っても、校務そのものがなくなるわけではないのです。
これ以外にも教員の仕事はあります
ここに学校の特色に応じた担当が加わります。
入学に試験がある学校ならば入試の担当が割り振られます。
また、研究に力を入れている学校なら研究会の運営・郵送物や冊子の作成なども加わります。
また今回は触れませんが、学校の周りとのつながりもあります。
教育委員会はもちろん、児童相談所や子ども家庭支援センター・フリースクール等、子どもを支える学校以外の組織との関わりも大切なものです。
この資料が作られた文部科学省の「学校の働き方改革特別部会」では、こういった資料を元に働き方の見直しが図られました。「働き方改革」のフォーラムや資料も出ています。改善されている、「はず」、です。
また「教員になったら学級や教科に集中できるように、校務分掌を先に学んでおきましょう」と言いたいところですが、校務は現場の中でしか伝えられないこともあったり口伝が多かったりして、現場でしか学べないことばかりです。
まとめ:【教員が多忙な理由】学校の組織図・校務分掌を読み解く
「個人情報が…」とか「学校のやり方が…」とかを全部ひっくり返して、校務を外部発注できればもっといいのになと思います。文部科学省は「学校の働き方改革特別部会」の中で教員の校務を整理しました。
・学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務
・教師の業務だが、負担軽減が可能な業務
に分けられたこの図を見たことがある人は多いと思います。
(資料:文部科学省「資料2-1 学校における働き方改革に関する緊急対策(平成29年12月26日 文部科学大臣決定)【概要】」より抜粋)
外注や削れる校務を選択してすっきりとした組織図になり、直接子どもに関わる学級や教科に時間を割けるような組織になることを期待しています。
記事の内容は動画と同じです。
動画「【教員が多忙な理由】学校の組織図・校務分掌を読み解く」も是非ご覧ください
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