皆さん、こんにちは。一歩先ゆく音楽教育、原口直です。
現在は学校での教育研究の経験と、未来につながる新しい学びについて情報発信しています。
このYouTubeチャンネルでは学び続ける先生と学生さんのために、学校で役立つ情報と提案を発信しています。
今日は学校での訓練についてお話しします。
9月1日は防災の日でした。その日以外にも、防災に関すること・災害に関することを学校で考えるタイミング、そういった機会はたくさんあります。学校では子どもの命を守ることはもちろんのこと、地域の避難場所の拠点となったりするので、教員・学校の役割というのはとても大きいものです。
また避難訓練などは教員や子どもにとっては当たり前のことですが、大人になると疎遠になってしまうのではないかと思います。親御さんも自分の子どもの時の避難訓練の記憶はあるかもしれませんが、今現在「災害が起きた時にどうすればいいか」ということは、もしかしたら子どもたちや教員の方が考えているかもしれません。
この記事は、次のようなことを知りたい方に是非ご覧頂きたい内容です。
▶「学校の避難訓練ってどんなことをしているの?」ということを知りたい方
▶「自分が子どもだった時と同じような避難訓練なの?」ということを知りたい方
▶「ちょっと変わった訓練を知りたい」という方
この動画の他には「学校を支える人々」ということで学校外・学校内にいらっしゃる教員以外の学校を支える人々を紹介した動画を3本公開しています。
学校医(学校のお医者さん)についてやスクールカウンセラーについて紹介をしています。
教員以外に学校にいる人。例えば学校用務員さんや学校事務員さん、そして最近出てきたスクールロイヤー(弁護士)についても話をしています。
楽器屋さんや調律師さん、そういった方の話をしています。
あわせてご覧下さい。
災害を想定した避難訓練
「避難訓練」と聞いて真っ先に思い浮かべるのはどんなことでしょうか。
サイレンが鳴って「地震や火事が起きました」というアナウンスが入って、机の下に隠れたりその放送の内容によって避難する(校庭に避難したり、体育館に避難したり)ということをする。これが基本的な避難訓練です。
この基本的な訓練も、ケースをいろいろ変えて避難訓練を行っています。
例えば「火災なのか、地震なのか」ももちろんそうですけれども、どこで火災が起きたかによって避難経路を考えて変えなければいけない。そういったことを考える。また子どもの動きはもちろんですけれども、教員の動きも確認します。
中学校・高校ではそのクラスの担任が常に学級にいるわけではありません。教科によって違う先生が来たり、教科によって教室が変わったりします。そういったときに主に教員の動きとして避難訓練ではいろいろ想定して考えています。
そしてこの避難訓練は何度も何度もします。同じようなことを「もう飽きたよ」と生徒も思うかもしれませんけども、この飽きるぐらいする体に染み込ませるぐらい行うというのが大事だなというふうに思っていました。もう考えなくても動ける、考えなくても行動がわかるというイメージを持つということが大事です。
子どものためでもありますが、教員のためでもあると私は感じています。
不審者対応の訓練
不審者が入ってきた時の対応、さすまたやネット・バリケードなどといったそういった用具の使い方といったことを習ったり実践したり確認したりします。不審者が入ってきた時の教員の動き・子どもの動き。それもどこから侵入したかによって変えていきます。
実際に学校で行なっていたのは、不審者役の警察官が入ってきて、それにきちんと教員が対応できるかという訓練をしていました。訓練だとわかっていても、また不審者役が警察官だとわかっていても、それでも緊張感があるとてもこわい訓練でした。
この不審者対応は主に教員の訓練です。
「どこに誰が動くのか?」「誰が不審者の対応をし誰が子どもたちを逃すのか?」「どういった経路で逃すのか?」そういったことを考えていました。これも何度も何度も訓練をして想定をしていたのです。
不審者対応は今では必ずどの学校でも行なっている大事な訓練の一つです。
先生に対する抜き打ち訓練や消防署レクチャーの紹介
「救命救急」「消防」、色々な種類の訓練についてお話しします。
救命救急
教員は一定の周期で必ず心臓マッサージやAEDの使い方を習います。主に消防の方やそういった救命救急のプロの方・専門的な方から教わるというのが多いです。学校でのケースを想定して行いますし、AEDは実際にどこにその機械があるのか?、学校のどこで起きたときにどのAEDを取りに行くのか?といった具体的な想定をしながら、心臓マッサージ・AED の訓練をします。
また食物アレルギーが出た時の対応(エピペンの扱い方)についても習いました。どのように保管をしていて、どのように持って、どこに指すのか。そういったことも練習用のエピペンを使って実際に蓋を開けたり、ももに刺したりという訓練をしていました。
子どもの日常的な学校生活を守るのはもちろんのこと、例えば宿泊先で起こった場合、それから部活動の間に起こった場合、そういったことを想定しながら訓練を受けていました。
消防署のレクチャー
避難訓練と合わせて消防の方が来てくださって、色々な講習を受けました。
オリロー
ご存知でしょうか。校舎の高いところから逃げる時に階段がないところで布の袋状になっているものを滑り降りる滑り台のようになっている、その筒の中を通っていくというのがオリローです。普段は教室の隅に設置してありますけれども、それを実際に出してオリローで1回滑ったことがあります。
始めはとても怖かったですけれども、安全性を確認したり使い方を確認したりするといった機会を年に1回設けていただきました。
煙体験テント
それから消防の方にしていただいたのは、テントを張りここに煙を充満させてその中を通っていくという訓練です。これは生徒全員とやりました。
運動会で立てるような長いテントを2つぐらいつなげて、その中を煙で充満させてハンカチや制服の肘などでおさえながら中を通っていく、背を低くして手を前に広げながら進んでいくという体験をしました。
体に悪くない煙ではありますけれども、それでもせき込んだり目に痛かったりという記憶があります。また特殊な煙ですので、ちょっと変な臭いがしたなという記憶があります。そういった体験を経ることで、煙の中でどう逃げるかということを子どもと一緒に教わることができました。
消火器や消火栓
そういった道具の扱いも定期的に習っていました。
先生に対する抜き打ち訓練の内容とは?
様々な方法・様々なケースで行なっていました。
予告なしの訓練
普段は予告がある=「避難訓練をこの日に行います」「何時ごろベルが鳴ります」ということを周知した上で行ないますけれども、たまに予告なしで行ったりします。
そういった避難訓練を考えるのは生活指導部の先生方が多いですけれども、その先生方しか知らなくてそれ以外の教員は初めて知ったという時もあります。当然、災害は予告なしにきますので、そういった訓練も必要だなと感じていました。
訓練中に子ども・教員がいなくなる
避難訓練で逃げる時、廊下や階段を降りていく子どもたちその中から、企画をしている生活指導の先生が何人か子どもを引き抜いて校舎の中に置いておきます。
なぜそんなことをするかというと「誰がいなくなったか」というのを生徒や教員が把握できるかという訓練です。
避難訓練をした際、必ず校庭や体育館などで点呼をすると思います。教員や学級委員などが行うことが多いですけれども、その点呼も大事な訓練の一環です。生徒を予告なしに引き抜いておくことで「誰がいなくなったのかということをわかるか」ということを確認するのです。
避難訓練はもちろん、毎日朝に出欠を確認して誰がいるのかいないのか把握をします。それはこういった避難訓練や災害の時に「そのクラスに何人居るのか」ということを把握するためでもあるのです。
また、子どもだけではなく教員がいないときにどうすればいいかということを、子どもに訓練することもあります。教員担任などが避難した先にいない時に「誰が点呼を行うのか」「誰が把握するのかそういった生徒への訓練もしていました」
ひと口に避難訓練といっても色々な種類があり、さまざまな災害を想定して行なっていたのです。
まとめ:学校の危機管理対応(避難訓練・不審者対応訓練・先生への抜き打ち訓練も…)
今日は学校での訓練についてお話ししました。
学校は安心安全な場所として子どもの命を守ることが最優先です。そのための訓練・練習を教員も子どもたちも日頃からしているのです。災害から学ぶ、そして災害に備えるという意味では、この訓練はとても大事なことだと思います。
記事の内容は動画と同じです。
動画「学校の危機管理対応(避難訓練・不審者対応・先生への抜き打ち訓練も…)」も是非ご覧ください。
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