音楽の教育実習を前にして、何から準備すればよいか迷っている方は多いのではないでしょうか。
この記事では、教育実習シリーズ全体の構成と、実習生が最初に知っておくべきガイダンスの内容をお伝えします。実習前の心構えから、学習指導要領の読み方、授業時数の考え方まで、指導教員の視点から段階的に解説します。
教育実習生はもちろん、実習生を受け入れる先生方にもぜひ読んでいただきたい内容です。


教育実習シリーズで扱うテーマの全体像
このシリーズでは、音楽科の教育実習に役立つ情報を複数のカテゴリーに分けて発信しています。
まず教材研究について。音楽科の教育実習で最も重要な準備のひとつが教材研究です。シリーズの中でも重点的に取り上げていきます。

次に大学別の情報です。教員養成系大学に通っている方と、音楽大学に通っている方では、実習に向けての準備や視点が異なります。それぞれに向けた内容をお届けします。


続いて課程別の情報です。初等教育課程に所属していながら中学校に実習に行く方、中等教育課程から中学校・高校に行く方では、意識すべきポイントが変わります。中学校と高校の大きな違いについても整理します。


そして専攻別の情報です。ピアノ専攻・声楽専攻・管弦打専攻・音楽学や音楽教育・作曲などの専攻によって、実習準備のアプローチは異なります。専攻別に実践的な内容をお伝えしていく予定です。




実習前ガイダンスで伝える「大きな視点」から「小さな視点」へ
私はこれまで6年間で約50人の教育実習生を指導してきました。その中で毎回必ず行ってきたガイダンスの内容を、この記事でご紹介します。
ポイントは、大きな視点から段階的に小さな視点へと絞り込んでいくことです。
最初から「この授業をどう組み立てるか」という細かい話から入るのではなく、まず自分が置かれた立場の意味を理解することが、充実した実習につながると考えています。
「働くということ」を理解する
ガイダンスの出発点は、「働くとはどういうことか」という問いです。
働くということは、自分の技能や知識の対価としてお金をもらうことです。教育実習生には報酬は出ませんが、それと同じ責任感を持って臨む必要があります。この姿勢が実習の質を大きく左右します。
「教員になること」の意味を知る
次に「教員になること」についてです。
重要なのは、全労働者の中で教員はわずか3%しかいないという事実です。教員養成系大学に通っていると、周囲が教員志望や現職教員ばかりで、教員の世界がとても広く見えることがあります。しかし実際には、教員という世界はとても狭いのです。採用試験の倍率や現実の数値を直視することが、謙虚さと準備の動機につながります。
「中学校の教員になること」を自覚する
「働く」→「教員」と視点を絞った次は、「中学校の教員になること」についてです。
中学校の教員の仕事は、教科教育だけではありません。学級経営、校務分掌など、多岐にわたる業務があります。しかし教育実習で経験できるのは、そのうちの教科教育と学級運営のごく一部です。校務分掌や学級経営の多くは実習では触れられません。
だからこそ、教科教育に集中できる実習期間を大切にしてほしいのです。この期間に学べることは、現場に出てからは改めて得にくい貴重な経験です。
「中学校音楽の教員になること」と学習指導要領
さらに視点を絞り、「中学校音楽の教員になること」についてお伝えします。
重要なのは、学習指導要領をきちんと読むことです。音楽は、国語や数学のように教科書の内容を順番に進めていく教科ではありません。そのため、自分が扱う教材や活動が学習指導要領のどの点に対応しているかを、常に意識する必要があります。
自分の得意なことや好きなことに偏りすぎてしまうのは、音楽科実習生がよく陥るパターンです。「これは学習指導要領のどこに当たるのか?」という問いを持ち続けることが、教員としての視点を育てます。
「この学校・この授業」の責任を持つ
ガイダンスの最後は、具体的な配当授業の確認です。
中学校1年生では音楽の授業が週に約1.3時間、2年生・3年生は週1時間、年間35時間しかありません。そのうちのいくつかの授業を、実習生に任せることになります。これは生徒にとってかけがえのない授業時間です。担当する学年・クラス・授業の内容を具体的に確認し、責任を持って準備することが求められます。
また、実習先の音楽室にどんな設備や楽器があるか、生徒の様子はどうかといった「この学校ならではの環境」を事前に把握することも大切です。
このシリーズの活用方法
教育実習シリーズは、実習を控えた学生さんだけでなく、実習生を受け入れる指導教員にもぜひ活用していただきたい内容です。
シリーズの各動画は順次公開していますので、実習前の時期にあわせて確認してみてください。「自分は今どこに不安があるのか」「何を準備すればよいのか」を整理するきっかけになれば幸いです。
よくある質問
Q. 音楽大学の学生と教員養成系大学の学生では実習の準備は何が違いますか?
A. 教員養成系大学の学生は教育学の授業を通じて学習指導要領に触れている機会が多い一方、音楽大学の学生は演奏技術の専門性が高い傾向があります。このシリーズでは大学別に分けて情報をお届けしていますので、該当する動画・記事をあわせてご覧ください。
Q. 教育実習で学習指導要領を読む必要があるのはなぜですか?
A. 音楽科の授業は教科書の順番通りに進む教科ではないため、自分が選んだ教材や活動が「何のための学びなのか」を学習指導要領に照らし合わせて説明できる必要があります。実習中に指導教員から問われることもありますので、事前に目を通しておくことをおすすめします。
Q. 実習を受け入れる指導教員もこのシリーズは参考になりますか?
A. はい、ぜひご覧ください。ガイダンスで実習生に伝える内容の整理や、授業担当の割り振り方の参考としても活用いただけます。
この記事は、動画「教育実習がうまくいかない人は準備が足りない?音楽科実習生へのガイダンス」をもとに作成しました。










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