音楽教員歴10年の原口直です。
今日は皆さんからいただいた質問に答えます。
大学生が社会人になる前にやるべきこと
学生の時に勉強すべきこと。大学時代にやっておいた方がよかったこと。
・旅行
・和楽器
それまでの自分の常識、価値観、固定概念を覆す・ぶっ壊すもの。
旅行
二十歳の時、「着物を着る代わりに海外旅行に行かせてほしい」と両親にお願いして、自分でチケットを手配したり、飛行機を予約したり、回る先を考えたりして一ヶ月くらいのヨーロッパ・ニューヨーク旅行をしたことが一番大きな思い出です。
和楽器
それまで持っていた音楽の価値観を崩したものです。
それまで自分は西洋音楽しか知らず、やってこなかったし、世界で最も優れた音楽だと思っていて疑問を持つことはありませんでした。しかし、和楽器に出会って、「音楽」というものが世界にたくさんある音楽のうちのたった一つであるということに気づいたのです。
和楽器を通して、西洋音楽で説明がつかないようなことが日本の音楽にたくさんあることに気づかされた。
もし、自分が今大学生なら
動画編集・撮影
パワーポイント
を勉強しておいたかなと思います。
教員になるまでの経歴について
他にも私のキャリア形成についての質問がいくつか上がっていたので、自己紹介動画で触れられなかった詳しい部分を話します。
教員志望ではないまま教育実習へ行きました
そもそも、私は教員志望では全くありませんでした。周りの友だちが教職を取る、教員になりたいという人が多かったので、流されて教員免許を取ろうと思ったのがきっかけです。
そんな中、教育実習に行った先で歌唱の授業をやることがありました。私は歌唱については技術も知識も自信があり、きちんと準備をして、教材研究をして自信があったのですが、授業で生徒が全然歌ってくれなかったのです。それがショックでした。
そして、彼らは休み時間になった瞬間に歌い始めたのです。それはポピュラー音楽でした。その時に「あぁこの子たちは歌いたかったのだ。歌いに授業に来たのに、私はこの子たちを歌わせてあげられなかった」ということに、ものすごくショックを受けました。
自分が歌の技術・知識があり、教材研究したのにこの子たちを歌わせられなかったんだな。その差は何だろう、その溝は何だろうと考えた時にポピュラー音楽だなと思ったんです。
当時、ポピュラー音楽については全然詳しくなく、西洋音楽をバリバリしていましたので、むしろポピュラー音楽を下に見ていました。大変失礼な話です。でも、生徒が望む音楽はポピュラー音楽なんです。自分できちんと教員になる前に、ポピュラー音楽を知って教員になりたいと思いました。
マスコミ入社を目指すも全滅!非常勤講師・芸能事務所で勤務
教員採用試験は受けず、新卒でマスコミを受けましたが全滅でした。高倍率で有名ですし、全然対策もせずに挑みましたので当然落ちます。マスコミにあきらめがつかずに、卒業してすぐは非常勤講師をしつつマスコミに行きたいなと思って1年が過ぎた後、縁があって芸能関係の仕事に就くことができました。
そこで私は色々ポピュラー音楽・ビジネス音楽の裏側を学びました。それまで「電気を通す音楽なんて音楽じゃない」と生意気なことを言っていましたが、やはり100万枚売れるCDには100万枚売れる理由があるし、5万人を集めるコンサートには5万人を集める音楽があると知りました。裏側の人たち、戦略が働いているのだなと4年間みっちり学ばせてもらいました。
社会人採用の枠で教員の世界へ
4年後、教員採用試験が頭をかすめて調べると、社会人枠があることを知りました。社会人経験があると教採が優遇されることを知って、受けてみようと思い受けました。教壇に立つ時には、自分にポピュラー音楽…生徒が好きな音楽についての知識があると自信を持って立つことができたので、私はこの回り道が良かったと思っています。
教育実習での失敗と苦労・現在まで心にとどめていること
教育実習に2回行きました。大学3年次は附属学校。4年次には出身校に行きました。
一番苦労したのは、計画通りに行かないことです。
学習指導案を練りに練って、きちんと練習をして、教材研究をして、知識や技術を身につけて授業に挑んでも、やはり生の生徒を前にするとうまくいかない、計画通りいかないというのが苦労しました。
教員になって経験を積んでくると、学習指導案通りいかないところがおもしろいと思えるようになってきましたが、そう思えるまでは少し時間が必要でした。
先生からもらったアドバイスは、お2人の指導教員の先生ともに私が好きなようにやらせていただいた印象があります。
教育実習での私の思い出
4年次の長野県の高校で実習しました。当時、「自然音・環境音」に興味があって、長野県でしか歌えない歌が絶対あると思い、「歌唱の授業を外で歌わせてください」とお願いしたのです。
長野県の山を仰ぎ、緑の中で、風に吹かれながら歌ったら、ここでしか生み出せない音楽ができると思って実践したのです。外で歌いたいと言った時も反対をされませんでした。
3年次の実習では国歌についてやったのですが、内容的に授業が難しいかなと思いましたが、先生は一切反対せず好きなようにやってごらんなさいと言ってくださったのが、すごく心の支えになっていました。
今も生きている教育実習の教え
自分が教育実習を担当した時も、出たアイディアに対してなるべく「無理」「できない」と言わずに考えてくれたことをやってみようとしました。もちろん、生徒の発達段階に応じてこれは無理かな、難しいかなというものもありましたが、持ってきたアイディアに反対をせずにできる方法を一緒に考えてあげたというのは、自分が指導教員の先生にそうしていただいたからという理由があります。
それから「教材研究が100としたら、授業に行かされるのは氷山の一角で2か3だ」というのも教育実習でいただいた言葉の中でずっと感じていた、現場でも思っていたことです。
教育実習前に準備すべきこと
動画の中の【再生リスト:教育実習編】を見ていただくと大変うれしいです。
それ以外のことですと、体・心の管理・準備が必要です。
大学生活とはタイムスケジュールがまるで違いますし、新しい環境で気を張ったり、気をもんだり、気をつかったりということが待ち受けています。それを2~3週間続けるので、心身が健康な状態を作っておくのは大事です。具体的に言うと、早起きをできるようにする、睡眠時間をたっぷりとるといったことが大事です。
子どもたちが興味があることをいくつか知っておくのもいいと思います。例えば、今はやっている音楽・アニメ・漫画・YouTube・ボカロ、こういったことを少し知っておくと生徒と話が弾むので事前に準備しておくといいです。
教育実習生のよくやる失敗と対処法
よくあるのは、授業中に突っ走ってしまうことです。
学習指導案をしっかり練って、教材研究をしっかりして、授業に対する思い入れが強く熱くあるのですが、それが裏目に出てしまって生徒がついてきていないのに一人で突っ走ってしまったり、反応が全くないのに学習指導案通りに進めるために突き進んでしまったりということがたまにあります。
対応方法は授業は生ものなので、生徒の反応をしっかり予測すること。予測以外のことが来てもうろたえずに、しっかり受け止めて、学習指導案通りに寄り添って進めていくのが大事です。
予測される生徒の反応をいっぱい考えるのもそうです。担当した実習生には、反応は100個考えておきなさいと言いました。100個考えておくと、101個目が出てきた時にうろたえずにできるよと話していました。何が出てくるかわからないから考えない、ではなくていっぱい考えて考えて考えた上で、初めて違うことが出てきた時に対応できると話していましたので、小中高校生がどのような反応をするかしっかり予測しておくといいです。
ブログ記事の内容は動画と同じです。
動画「【視聴者の質問①】教員になる前に企業に就職した理由・教育実習での苦労・実習生のよくやる失敗(全4回)」も是非ご覧ください。
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