皆さん、こんにちは。一歩先ゆく音楽教育、原口直です。
現在は学校での教育研究の経験と、未来につながる新しい学びについて情報発信しています。
このYouTubeチャンネルでは学び続ける先生と学生さんのために、学校で役立つ情報と提案を発信しています。
今日は1年目の教科書について話をします。
学校の1年目…初任者は、やるべきこと・覚えること・知らなければいけないことが山のようにあります。企業では入社して数日から数ヶ月くらい、新入社員だけでの集中研修があったりしますけれども、教員は4月1日から即実践!すぐに子どもや保護者の前に立たなければいけません。
この動画ではベストセラーの『入社1年目の教科書』(岩瀬大輔著)を参考にお話をします。この中で重要と言われていること、教員の相違点を挙げてみたいと思います。
この動画の他には
「教員のためのキャラづくり【他人に自分を強く印象付けるためのノウハウ】」や「快適な音楽室を作るヒントを公開!音楽教員のための音楽室づくり」「教員のための生徒の覚え方3つのコツ」など教員1年目が知ってほしいことを、まとめてアップしてあります。
併せてご覧下さい。
新入社員向けのベストセラー「入社1年目の教科書」
今日読み解くのは『入社1年目の教科書』岩瀬大輔さん著、2011年に発売されたベストセラーです。この本を、企業で4年・教員10年の経験を積んだ私が読み解きたいと思います。
まず、この本を書いた岩瀬大輔さんは様々な企業で経験を積んだ方ですので、社会人1年目とは教員でない企業の世界の教科書であるということを頭に入れておいてください。教員向けの1年目の教科書的な本もいろいろ出ていますのでそちらを参考にしてもいいですし、企業用に出ているこのような本と比較してみてもいいでしょう。
新卒(初任)でも教員ならば仕事で100点を目指したい
まずこの本では「仕事における3つの原則」として、はじめに
②50点で構わないから早く出せ
③つまらない仕事はない
この原則を語っています。
教員の世界でいうと「②50点で構わないから早く出せ」という項目については、やはりいつも100点を目指さなければいけないなと思います。
というのもこの50点で構わないというのは、上司からダメ出しをもらう…ダメ出し=反省点・改善点をいただくという前提で書いてありますけれども、教員は1年目から授業に立たなければいけません。
もちろん初めから完璧な授業はできませんけれども、上司からダメ出しを全時間いただけるわけではありませんので、やはり初めから高いクオリティを自分で思っていられるような授業を積み重ねていかなければいけないなと思います。
「③つまらない仕事はない」「①頼まれたことは必ずやりきる」これは教員の世界でもマストの項目です。
「入社1年目の教科書」を教員1年目に当てはめて解説
この本の中には入社1年目の人が気を付けること。またその心構え・根拠などが50項目で書かれています。
教員の世界と照らしながら話をしていきます。
教員の主な連絡手段はメールではなく電話であることに注意
①~⑤この5つの中で教員も大事なのは、①②③④これは大事なことです。
「②メールは24時間以内に返信せよ」については教員の連絡の主は、今はメールではありません。GIGAスクール構想で今度はメールにとってかわるかもしれませんが、今はまだ電話が主流です。そういった面で言うと折り返しは早い方がいいという点では共通です。
「⑤カバン持ちはチャンスの宝庫」については、これは教員にはあまり機会はないです。内容は上司が外出する際に同行をして勉強をしてみるということだったのですが、教員は管理職について外出するということはあまりありません。
しかし上司の姿を見て学ぶというのは教員も同じです。管理職の先生方や先輩方の動き、学級経営や授業内容などは学ぶことがたくさんありますね。
教員も復習が大切(授業後に来年用ワークシート・学習指導案を作成する)
⑥~⑩
「⑥仕事の効率は『最後の5分』で決まる」については、授業で置き換えた場合、最後の5分まとめも大事ですし、最初の5分導入もそれと同じかそれ以上に大事ですね。
「⑦予習・本番・復習は3対3対3」については、この復習の部分が教員は抜けがちだと思います。
授業をし終わった後に必ずフィードバックをして私の他の動画でも話しましたが、来年の分の簡単な学習指導案や来年用のワークシートを作っちゃうというのも、効率的な仕事をする上では重要です。
「⑩頼まれなくても議事録を書け」これも職員会議などで議事録を書くことありますが、その意味を考えて書きなさいというふうにこの本では述べられています。教員も同じことですし、学級に振り返ってみたときに学級会の運営などや話し合いではこういった議事録を書くという観点…必要かもしれません。
働き方改革を実践するためには「早く帰る宣言」が有効
⑪~⑮
「⑬朝のあいさつはハキハキと」は生徒に対して口酸っぱく言いますので、自分がもちろん朝のあいさつを率先して行う。また音楽科であれば、元気よくいい声で行うというのは大事なことだと思います。
また今は働き方改革「⑭『早く帰ります』宣言する」これとても大事な考え方だと思います。
あらかじめ「今日は○○があるので何時にあがる、部活をよろしくお願いします」とか「音楽室の戸締りをしておきますので、確認お願いします」とか。そういったこと…とても重要なことです。
研究会・YouTubeチャンネルを活用して教員の学びの機会を確保する
⑯~⑳
「⑯仕事は盗んで、真似るもの」という考え。
これも機会があれば是非やって欲しいことですが、研究授業などは年に数回だったり、同じ科目の先生の授業を見るという機会…特に音楽科は他の学校に行かないと見られないのでなかなか盗む機会がないですね。
雑誌を見たり、研究会に足を運んだり、この YouTube チャンネル「一歩先ゆく音楽教育」を生かしていただければ嬉しいです。
それから「⑱仕事は総力戦」これはまさに学校は総力戦ですね。
様々な事に対して教員が一丸となって取り組む。特に行事。これは先生方一人ひとりがチームとなって束になって、行事の成功に向かっていきます。音楽科が主になる合唱コンクール・合唱祭で、皆が成功に向かっていく姿を見るととても感動しますし、ありがたいなぁと思います。
「数十年後の将来に」「間接的に」子どもの役に立てば良いという考え方
㉑~㉕
ここでは「㉓目の前だけでなく、全体像を見てつなげよ」というところをピックアップしたいと思います。
目の前、子どもたちのすぐ前今やっていること、この時間・この活動だけではなくて長い目で…例えば単元ごと・学期ごと・学年ごと、もっと言うとこの子どもたちの数年後・数十年後を見る。そういう広い気持ちで目の前のことをするというのもいいと思います。
今教えていることが、すぐ今日明日に役に立つと思えないかも知れませんし、教員も子どももそのように思えないことがあるかもしれませんが、「数十年後にこれを思い出してくれればなぁ」とか「数十年後にこの考え方…直接的でなくても間接的に生かせるそういう場があればいいな」と思って進められると、今日この日の今の活動に全力を捧げられるのではないかなと思います。
企業勤務の社会人と同様に新聞を読んで資格試験を受験しよう
㉖~㉚
ここでは「㉙新聞は2紙以上、紙で読め」それから「㉘ペースメーカーとして資格試験を申し込む」これを取り上げたいと思います。
まず「㉙新聞は2紙以上、紙で読め」についてですが、今は新聞でなくても様々な情報源があります。教員が情報源というと、なかなか外の情報を手に入れるというのは自分からやろうと思わないとできないのですが、もちろん一般紙を読むのもいいですし、ちょっと場の違うところ…例えば日経新聞を読んでみるとか、全く関係のない雑誌などを読んでみるとか。教育と直接関係のないことから情報を得るというのもとても大事です。
もちろん音楽に関しての今の流行・生活や社会の中の音楽。そういったことに対する情報を集めるのも、新聞以外にも今はサイトなどでも見れますので、是非その辺から情報を得て欲しいと思います。
「㉘ペースメーカーとして資格試験を申し込む」についてですけれども、私が推奨するのはGoogle認定教育者など、これから求められる技術が身につけられる資格試験です。
教員には教員免許更新講習というのが数年に一度やってきますので、その際に教育に関することはきちんと学ぶことができます。それ以外にこれから求められることや社会で求められること。そういったことを教育の場以外に持っていると、自分のペースメーカーになるのではないでしょうか。
Google認定教育者も「自分のスキルアップのためにしていたら、学校に活かせそうだな」それくらいの気持ちでいいと思います。
【合格への道】音楽教員が挑むGoogle認定教育者試験 part1:プロローグ
【合格への道】音楽教員が挑むGoogle認定教育者試験 part2:トレーニング
【合格への道】音楽教員が挑むGoogle認定教育者試験 part3:トレーニング所感
【合格への道】音楽教員が挑むGoogle認定教育者試験 part4:試験当日と試験結果
中学生になると年上のお兄さん・お姉さんが「先輩」になる
㉛~㉟
「㉟目上の人を尊敬せよ」これもとても大事なことですね。教育の場として教員が先輩や管理職の先生を尊敬するのはもちろん。そういった姿勢を表すというのも大事です。
というのも中学校の場合、小学校の5年6年の年の差…その「目上」ではなく、急に中学校1年生と2年生では先輩・後輩という関係が出来てきます。特に部活動です。そういった部活動で先輩・後輩の関係を見せるときに、教員がその先頭に立って「先輩をこのようにする、後輩をこのように使う」というのを教えていくのも大事だなと思います。
例えば椅子並べなどをする場合に「1年生がやりなさい」というふうに顧問から言ったり、3年生の役割は「こうこうこうだよ」ということを話したりというのも大事なことです。中学校では急に先輩・後輩の差ができてきますので、それは何かということを教えていく。これも教員の背中、態度が大事だなと思います。
日常生活の場面で感動を表現することの教育的意味とは?
㊱~㊵
ここでは「㊱感動はためらわずに伝える」これは音楽科としてまた教員という表現者としてとても大事なことだと思います。
感動と言っても大きなものでなくてもいいです。大きなもの…つまり涙を流すような感動でなくてもいいんです。ちょっとした些細なこと「この子がこういう手助けをしてくれた」とか「あの子がこんな一言をかけてくれた」こういった小さい感動を全員に共有すること。これもすごく大事なことだと思います。
そういうことを伝えると、子どもは伝えた子も伝えられた子も「そういうことをすればいいんだ」「相手の心を動かすことができるんだ」「大人の先生の心がそれでうれしくなってくれるんだ」ということを分かることができます。
「㊱感動をためらわずに伝える」広い意味でだけではなく、ぜひ身近な日常的な小さなこと。ここを考えてみましょう。
音楽教員にとって「寝ること」も仕事です
㊶~㊺
ここでは「㊷休息を取ることも『仕事』だ」
教員は非常に働いている時間が長いと言われています。休息を取ること。これもとても大事な仕事の一つだと考えてください。睡眠をとることはもちろんですし、学校外で他の活動や習い事をすることも同じです。
特に音楽科の場合は寝るということはとても大事なパフォーマンスをするための仕事なのです。寝ずに何かを頑張るというスポーツマン的なものはもう古いかもしれませんね。場合によっては良いですけれども、だからすごい、だから偉いというわけではもうありませんので、「休息を取る」とても大事なことです。
お金の知識をタブー視しない
㊻~㊿
「㊾悩みは関係ない人に相談」これ非常に良いと思います。まったく学校と関係のない人に話すのが1番いいです。同じ教員であっても、校種が違ったり・地域が違ったり・(中学・高校なら)教科が違う人に相談するというのはいいと思います。
学校の中にいると、学校のことしか見えません。音楽の教科の中にいると、教科の中しか見えません。それを珍しがってくれたり、面白がってくれたり。時にバカにしてくれるような人に相談するのがいいと思います。
教員の悩みを言ってみたら「そんなことに悩んでいるの?」と笑われる。他の社会人の人がそういうふうにするというのはよくあることで、それぐらいちっぽけなことだったり、くだらないことだったりするかもしれません。「関係のない人に相談をする」その相談相手を作っておくのもいいですね。
「㊾何はともあれ貯蓄せよ」このYouTubeチャンネルの中でも、私が見てほしい…でも再生数がなかなかのびないというのが「お金の考え方」についてです。保険・貯金・投資について話しているお金のこと。教員は安定した収入が定年までもらえるので、あまりお金の事をしっかりちゃんと相談したり考えたりする機会がないかもしれません。
本当はすごく大事なことですし、私のように教員をいったん辞めて他のことにチャレンジする、その考える礎となっているのは、きちんとした貯蓄に関する知識でもあります。教員もお金のことをきちんと考える。それは自分の夢や自分のチャレンジそれを後押ししていることかもしれません。
チャンネルの中の動画もぜひ併せてご覧下さい。
ブログ記事の内容は動画と同じです。
動画「ベストセラー「入社1年目の教科書」を教員1年目(初任者)に当てはめて解説」をご覧ください。
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